「チーズはどこに消えた?」に「横浜Fマリノス」を代入すると最強の教科書が完成した。
「安定した仕事に就け」「絶対に仕事をやめてはいけない」
これは未だに僕の父がよく口にする言葉だ。
そして、多くの大学生と話をしているとこの言葉に苦しめられている子が非常に多い。
「私が/僕がやりたいのはこの会社でやるこういう仕事。でも親が「安定していないからダメだ」「名前を知らないからダメだ」と言ってくる。どうしたらいいか」
こんな相談を毎年、そして毎日のように聞いている。
僕は、大抵「安定した仕事」とはどういう意味なのだろう?と尋ねている。
おそらくは「大手や公務員」「福利厚生がしっかりしている」「給料がいい」とかそんな言葉が返ってくる。果たして、それらは本当に「安定している」と言えるのだろうか?
この問いに対して、僕が考えていることは「安定な仕事なんてない」ということだ。(まあ、様々なご批判はあると思うが、あくまでも僕の1つの意見なのでご容赦いただきたい)
そもそも、「安定の定義」なんて人によって異なる。
例えば、「長時間働くのはいやだ。定時で働くことこそ安定だ」と言う人と「ちょっと勤務時間は長くなるかもしれない。でも一緒に働いている人たちがすごく魅了的だからこの仕事は安定だ」と言う人。
「仕事内容ではない。金。給料が多ければ安定だ」と言う人と、「給料は少ないけど、仕事の内容ができる仕事が安定だ」と言う人。
どれも「正解」だ。そもそも、答えなんてないのだから。(労働基準法を無視して働くことは、僕はいいと思っていない。念のため(笑))
では、皆さんにとっての「安定した仕事」とはどんな物だろうか?
この答えを導き出すのにスペンサー・ジョンソンの「チーズはどこへ消えた?」という本を思い出した。
この本の内容を簡単に要約すると、次のようになる。
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2匹のネズミと2人の小人が食料にするためと幸せになるために、迷路の中でチーズを探し回っている。両者とも「これだけあれば安泰だ」と満足できる量のチーズを見つけた。その後のプロセスがネズミたちと小人たちで異なった。
ネズミたちは、チーズに満足せず「新たなチーズ」を探し回った。
小人たちは、「将来安泰だ」と言って、何も行動に移さなかった。
しばらくしてどうなったか。
ネズミたちは新たなチーズに辿り着き、それこそ「安泰」を手に入れた。
小人たちは?
「食べたらなくなる」ということに気づかず、ある日チーズが消えた。
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さて、いかがだろうか?
僕はこのチーズを「仕事」に代入して考えた。
みんなの言う「安定した仕事」は、本当に未来永劫「安定している」と言えるのだろうか?
社会は変化している中で、「変化せずに安定し続ける」なんてことはあるのだろうか?
確かに、大手企業の方が動くお金の額も大きい。でもそれは「会社が潰れにくい」というだけであって「会社を守るために従業員を守りきれない」なんてこともあるのではないだろうか?
そして、これからさらに18歳人口の減少は加速する。必然的に働き手は少なくなるのだから、仕事の効率化や、生産性が高い人物が重宝される。
「テレワーク」「フリーランス」「パラレルワーク」「副業」という働き方は当たり前になってきて、1人で多くの会社の一員となって仕事をしていく未来になっているのかもしれない。
だから、「これからは個人の時代だ」なんてよく言われているのだと思う。
またもや身内の恥を晒すようだが、我が家の話だ。
ふと機会があり実家に戻って仕事の話をした。
父はそろそろ定年退職を迎え、派遣スタッフとして働いている母もそろそろ契約満了。
「次、どうするの?」と聞いたら、何にも考えていないのだ。
母は、「何か仕事をしたいけど、もうこんな年齢だと雇ってくれる会社はない。この時代、家にパソコンがないとダメだよね。何にもできない」と現状については理解できている。だが何か動き出す勇気は出せていないようだ。上の本で例えると、ネズミの一歩手前派。
父は、「俺は営業しかやっていないから、資格も技術も何もない。仕事なんてないんだよ。アルバイトは食っていけない。なんとかしがみついて頑張っているんだ。文句言うな」まあ確かにたかだか25歳の息子にこんなこと言われたらイラっともするだろう。ただ、上で書いた本で言うと小人派であることがわかる。
彼らは目の前の「チーズ」が消えかけて入れ途方にくれているのだ。
最近、本業の仕事をしていてとても疑問に思っていたことがある。みんな「できない理由」ばかり考えていて「どうしたらできるか?」を考えないのだ。
確かに、できない理由を探した方が圧倒的に簡単だ。前年同様の物をただただ繰り返した方が楽で、新しいことを始めるといろいろ問題も起きてきて大変だ。
でも、そこに何かヒントがあるのではないだろうか?
上で述べた本と、この実家での会話を通じてこう思った。
本業はもちろん一生懸命やる。でも、さらに+αでなんでもいいからとりあえずやってみれば、「個人で働くスキル」をなんでもいいから身につけておけば、つぎのチーズがどこかで見つかるかもしれない。見つからなくても、勉強にはなるはずだ。動かないのはもったいないな。
と思ったのだ。
これから就職活動を始める大学生のみんなには特に頭に入れておいてもらいたい。
これからは自分の人生なんだから、自分の「正解」を自分の言葉で掴めるようになった方が、人生的には幸せじゃないか?
そして、「内定」はゴールなのだろうか?「早く内定を取ったから偉い」なんて僕は全く思わない。
「まだNNT。(ない内定)周りの友人たちをみて心が折れそうになる。逃げたくもなる。でも、納得いくまでやってやるんだ!」と言っていた子が、社会人になってとても楽しそうに過ごしているのも僕は知っている。
しかも、これを横浜Fマリノスを例に上げるとさらに面白い。
再度説明すると長くなるので、気になる方は他記事ですでに上げているのでチェックしてみていただきたいのだが、マリノスと言うクラブそのものが、この本でいうところの「超ねずみ」に当てはまっていて僕は魅力的だと思ったのだ。
「サッカー」とチーズがあるにも関わらず、e-Sportsに積極的に取り組んでいたり、どのクラブも取り組んでいない「無料のFマリノスデュアルスタジアム」であったり。一見すると「サッカー以外に投資して事業を行うなんて」と思うかもしれないが。この状況下で大当たりしているのではないか。次々と「違うチーズ」を探していて、しかもそれがユーザーにとってもかなり面白いしハマる!だから、マリノスというクラブは様々な方面から愛されているのではなかろうか?
勇気を持って一歩踏み出す。
この言葉に説得力を持たせるためにも、まずは自分から、と思ったから、プライベートの時間を使って文章を書いている。
もし少しでも誰かの力になったり、ためになったりし続けて、いつかどこかに新しいチーズが見つかったらいいな、と思っている。
おしまい!
(余談)
ちなみに、本記事ではたびたび身内の恥を晒すように我が家の人物が登場し、その度に「父」を悪いお手本として書いている。
しかし、彼の考えは「もったいないな」とは思うが否定する気は毛頭ない。
彼の我慢強さや、絶対に芯がぶれないと言うところはすごいなと思うことがあるし、考え方は論理的で隙がない。口喧嘩なんてしよう物なら絶対に勝てない。自らの経験に基づいて絶対にこちらを言い負かしてくる。
だからこそ、チーズがなくなりそうになっている彼に、その論理的思考で「一歩歩けばいいのに!」と思ってしまうのだ。全然嫌いなわけではないので先に申し添えておく。
まあ、実家に帰って話をするたびに「古いな」とよく言ってしまっているのだが。(笑)
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