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【海外作家】好きな短編集5選

Q:以前にも同じ話題で書いてませんでしたっけ?
A:前回は「好きな短編集10選」で書きました。しかしたった10冊選ぶだけで足りるわけがないのでまた書きます。


海外作家の邦訳小説を、好んでよく読みます。
長編作品もいいけど、どちらかと言うと短編集が好みで、手許に置いてある本も短編集が多め。

それゆえ、以前こういう記事を書きました。

しかし。
これを書いた時も、断腸の思いと言っても過言ではない勢いで10冊に絞ったわけです。
他にも好きな作品はたくさんある。

とはいえ、一記事に10冊は多いかも。
(その前に書いている「長編小説5選」は公式マガジンに入れてもらっているし)

5冊ぐらいがちょうど良いのかな、というわけで今回から(から?)5選にしてみました。
よろしければお付き合いくださいませ。




1.『自由の牢獄』ミヒャエル・エンデ

「自分の判断で自由に選べる」ことは、本来なら当然の権利だし、歓迎するべきことです。
けれど、多すぎる選択肢と置かれた状況によっては、その「自由に選べる」ことが耐え難い苦痛にもなる。
表題作に限らず、書名に冠された「自由の牢獄」という言葉が全体のテーマになっているのかな、と思っています。収録作の中でも特に『ミスライムのカタコンベ』は、初めて読んだ時からちょっと忘れられない作品。



2.『モーム短篇選(下)』サマセット・モーム

ほんとに好きなんですモームさん。だから今回も取り上げます。岩波文庫から出ている上下巻のうちの「下巻」です。
前回書いた新潮文庫の短編集『ジゴロとジゴレット』と重複する作品もいくつかあります。それでも敢えて載せたのは、本作で読める『詩人』という数ページの短編が、モームさんの中でも特に好きな作品だから。憧れてやまない存在、それこそ「推し」がいる人ならきっと刺さるものがある、そういう普遍性を帯びた名作です。



3.『犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ

罪を犯した人々を描く短編集。
著者のシーラッハ自身が弁護士であることも大きいと思うけど、事実を簡潔に述べる淡々とした文体の作品たちが並びます。
愛情も絶望も何もかもが同価値に書き連ねられる客観的な文体は、それゆえに読む側へと特定の感情を強制しない。「衝撃の結末」とか「◯回泣ける」とかの、読む前から読み手の感情や感想を誘導するような宣伝文句とは対極にある、誠実な姿勢だと思います。



4.『あなたの人生の物語』テッド・チャン

小説を読みながら、著者の知性に胸打たれ高揚する……って体験もなかなか出来るものではないし、そういう経験をさせてくれる作品はやっぱり好きにならざるを得ません。
本作収録の『理解』は、主人公の知性の高まりがどんどん加速する様を文章で表現した怪作です。読んでいてめちゃくちゃ興奮しました。
(ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』を読了済みの方は、あの文章を読み進める興奮を想像してみてください)
他にも『ゼロで割る』のようなアイデア勝利の作品も楽しくて好ましい。読書体験という点で言えば、間違いなく掛け値なしのものをくれる作家です。



5.『九マイルは遠すぎる』ハリィ・ケメルマン

美しく秀逸なタイトルの、連作短編集です。
探偵役のニッキィと語り手の「わたし」の軽妙なやり取りを楽しく読み進むうちに、いつの間にやら最適解に導かれている……という爽快感は、普段ミステリーを読まない人にも自信を持って勧められる類のもの。
「時の試練に耐える」というような表現をしたのは村上春樹さんでしたっけ? そういう作品が持つ、普遍的な良さを味わえる点においても良書と言いたい。



おわりに:今後も書く気満々です

じっくり本を読む時間を取れないと、言葉や発想が分かりやすく枯渇するようです。書くことも読むことも、無理せず欲張りに続けていきたいな。

というわけで、今後も書く気満々です。
(そのうち国内作家でも書きたいね)
お読みいただき、ありがとうございました◎

#66日ライラン6日目


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