私が好きな、おいしい文学。

私はこの連休、
おいしい文学をたっぷりと読んだ。

おいしい文学とは
物語の中に
食べ物が中心に据えられて
描かれている小説のこと
(私の中ではそういう意味)で
私はそういった小説が、こよなく好きだ。

文章で表現されると、その食べ物を
より深くゆっくり味わっているような
そんな感覚になるからかもしれない。

ここのところ私が出逢った作品が
とても素敵なものばかりで、
いろんな人にぜひ読んでいただきたいので
いくつか紹介させて欲しい。

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その① 「うしろむき夕食店」 (冬森灯さん)

祖母と孫娘で営む小料理屋には、色々なお客さんがやってくる。それぞれに抱えるものは違うけれど、この小料理屋では誰もがその料理の美味しさとふたりの人柄に安心感を覚えている。面白いのが、おみくじでメニューを決められるシステムがあるということ。その人の背中をぽん、と押してくれるような料理と言葉に出会うことができる。

まずこの作品はとにかく、
料理の描写が絶品。
こんなお店があったら通ってしまいそう。
(それとお料理とお酒の組み合わせも最高。)
ストーリーとしても、
心に響く部分が多くて
大好きになった作品。


その② 「それからはスープのことばかり考えて暮らした」(吉田篤弘さん)

会社を辞め、ひょんなことから「トロワ」というサンドイッチ屋さんで働き始める男性が主人公。そこでの新商品としてスープを作ることに。「おいしいスープを作るには?」主人公の研究がはじまる。本の最後にはそのスープの作り方が載っている。

登場するみんながあたたかくて、
すごくほっこりする。
それにサンドイッチとスープという
もう最高すぎるコンビネーション!
本最後のスープの作り方、おもしろい☺️
この世界観にずーっと浸っていたくなるような大切にしたい作品だった。


その③ 「パンとスープとネコ日和」(群ようこさん)

50歳を過ぎてパンとスープを提供する小さなお店をオープンさせた主人公。ネコとの生活も愛くるしい。素材を大切にしている自然派のお料理が美味しそう。気の合うスタッフとふたりで丁寧に心を込めて作っているところも印象的。

上手くいかないことも悲しいこともあるし、
心の奥で突っかかっているような記憶も
実は持っているけれど、
ひとつひとつ向き合って、
そして通り過ぎてゆく。
迷っても、
抗ったり、攻撃的にならず
「色んな人がいるね」と
受け止めていくところがいいなあと思った。


その④ 「虹の岬の喫茶店」(森沢明夫さん)

窓の外には海が広がっている。亡き夫が言っていた美しい虹を見るために、女性は辺鄙な場所で喫茶店を営んでいる。そこはコーヒーと音楽を楽しむことができる空間で、お客さん一人ひとりにぴったりな曲をかけてくれる。メロディは元気をくれたり、心の内を表現してくれたり、気づきをくれたり。どこをとっても美しい雰囲気のある作品。

実際に小説に出てくる曲を聴いてみた。
小説に「音」の印象がが加わることで、
場面がより立体的に感じられる。
喫茶店を営む悦子さんは歳を重ねていても
茶目っ気があり、
それでいて懐が深くて
私の憧れの女性である。

最後の章は、特に胸がきゅっと、
切なくなった。
余韻を味わいたくなる作品だった。

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以上がわたしお気に入りの
おいしい文学です。
素敵な本に出逢えた時の
喜びったらない!☺️

ちなみに私は
窓際に座ってやわらかい光の中で
のんびり読むのがだいすき

一人でも多くの人に
やさしく美味しくあたたかい物語が
届きますように🌱

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