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一編のエッセイと、やさしいミルククラウンの夜

最近、大好きな本。
「すてきなあなたに」
というエッセイ集。

シリーズが1から6まであって
単行本は一冊300ページほど。
季節に沿ったショートエッセイが
たっぷりと、収録されている。


今までエッセイ集って
あまり読まなかったのだけど、

この本は、著者・大橋鎭子さんの
上品な言葉選やちょっと古風な言い回し、
描かれる場面の温かさが好きで

今ではベッドに入ってから眠りに落ちるまでの
まどろみタイムのお供に。


昨日読んだ一編、
「お星さまのプレゼント」というお話。
(下記は要約したもの)

ご近所のママ友達に
子育てでなかなかゆっくりお茶に行く時間が
取れないという話をした数日後、

その方からメールが。
「ポストに、プレゼントを入れておきました。」

ポストの中のクリーム色の紙袋には
雑誌と紅茶のティーパック、
ラッピングされた
お星様の形のクッキーが入っていました。

気遣いに感謝しつつ、
子どもがお昼寝をしている間に
熱い紅茶を淹れて
かわいいクッキーをひと齧り。
ささやかなプレゼントのおかげで
肩の力がほぐれる
おうちのカフェタイムとなりました。


単なるモノのプレゼントではなく、
安らぐ「  時間  」のプレゼントをもらったお話。

うぅ、、たまらなく素敵。
(実際には大橋さんの豊かな表現で描かれるので
もっともっと素敵!)


大橋さんのエッセイには

身の回りで起きたほっこりする出来事、
友人、知人の素敵な言葉や振る舞いのお話、
誰かに教えてもらった美味しいレシピの紹介、
日本にはない、外国の粋な習慣など、


暮らしの中で得た学びと発見が
美しく可愛らしい文章で綴られている。

読んでいると
そのあたたかな感性が
自分の中にも
養われていくみたいで、

そこが嬉しい。

お守りのようなこの本を
眠る直前まで読む。
ベットのサイドテーブルが
すっかりこの本の定位置になっている。


やさしいものに触れると

そのやさしさの雫がが自分の心の中に
ぽちゃん  と落ちて

それがちいさなミルククラウンを作る。

ゆるい波を起こし、波紋を描く。

無色平坦だった心の一部が
やさしさに
じんわり染まっていくような、
そんな感じがする。


貰ったやさしさのおかげで
自分の心がやさしくなるのだ。


やさしさは伝染する。
(と、私は思っている。)


強い人や、賢い人が
生き残っていくことができる社会なのかなあと
感じることもあるけれど、

やっぱり私はやさしい人になりたい。

やさしいものに触れると
いつもそう思う。


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