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【全体オーバーホール】気になる料金や作業内容は?■2023年06月12日更新

広島県広島市にある『動く』自転車屋【サイクルサービストグト】のnoteをご覧いただきありがとうございます。

我が家の絶対神(妻)に気付かれないよう、パーツを少しずつ購入している『快適長持ち系自転車安全整備士』ノーリー(店長)です。
自転車もカバンやクツ同様、得意な使用場面というものがあります。
となると、用途によって自転車を使い分けるのも自然なことです。
私物でまだ組んでいないフレームセット(どれも一旦分解したもの)が3本あるので、ワクワクしています。
愛着あるフレームセットを復活させたり、思い切って用途に合わせた仕様で組み直すのもなかなか楽しいものです。

■今回の患『車』

さて、今回はクロスバイクのオーバーホールをご依頼いただいたのでご紹介します。
まずはお預かり時点での写真です。

※個人情報に繋がる箇所は隠しています。

★ブランド
【GIANT】(ジャイアント)
★車種(グレードは推察)
ESCAPE RX4(エスケープ・アールエックスフォー)
★年式
おそらく2014

主な使用用途は通勤だそうです。

今回は事前の打ち合わせでカセットスプロケットとチェーンは交換することになっています。

リアディレイラーには打痕がありますが、動作には大きな問題は無いようです。

スポークが折れていて、リムも摩耗しているため、リアホイールも交換となります。

ブレーキシューもご覧の通り、

前後とも大きく摩耗しています。
ブレーキ本体はともかく、少なくともブレーキシューは要交換ですね。

ケーブル類は分解してみないと断言はできませんが、できそうなら再利用します。

こだわりのアクセサリーにも年季が入っているように感じますね。

チェーンリングには汚れが蓄積しているだけでなく、部分的にサビも見受けられます。

BBも抜き取ってみないと状態はわかりません。
要交換か、再利用可か。

トップチューブバッグを活用されていたためか、フレームにスレ(薄キズ)があります。
ダウンチューブにもキズはありますが、使っていればキズは付いてしまうものです。
それだけ愛車と過ごしてきたということでしょう。

光が当たって見えにくいですが、シートステーにもチェーンステーにもスレは生じています。

シフターとブレーキレバーは一体型です。

砂埃を噛んでいるのが写真でもわかります。

サドルは初期のままでしょうか。
白いサドルはオシャレですが汚れが目立ってしまいます。
できるだけキレイにしましょう。

奇跡的にハンドルバーに残ったままになっていますが、ベルは破損しています。
車輪の脱着でバイクをひっくり返すことがあるそうで、その時の影響かもしれません。

■クロスバイクのオーバーホール

オーバーホールと言えば基本は分解・洗浄・チェック・下処理・組付・調整・仕上げ等、やるべきことがたくさんあります。

自転車は分解してみなければ見えない部分も多いです。
その見えない部分がどんな状態になっているかで、必要な工賃や部品代も大きく異なります。

ダウンチューブにはアクセサリーの跡が残っています。

リアのVブレーキ台座さえも抜き取っています。
これは後でネジの精度を上げるためです。

車種にもよりますが、今回はヘッドカップ(上ワンと下ワン)も抜いています。

フロントフォークには古くなったグリスが残っていて、汚れも呼び寄せています。

フォーク側のブレーキ台座は抜けない構造でした。

僅かにサビ、そして汚れも見えますね。

BB(ボトムブラケット)シェル内にはこんなにたくさんの汚れが詰まっていました。
ケーブル類フル外装(外通)タイプでもこうなります。
1年~2年に1度はオーバーホールが推奨される理由のひとつです。

■再利用できるものには下処理を

オーバーホール工賃が組立工賃より高額なのには理由があります。
組立だけなら新品をそのまま組み付けて調整するだけだけですが、オーバーホールで部品再利用となると下処理が必要だからです。
この下処理が状態によってはとてつもない時間がかかります。
今回はいつもよりもっと詳細に分けて紹介しましょう。

◆ヘッドパーツ

ステアリング機能(ハンドル操作)に関わるのがヘッドパーツです。

明らかにグリスも劣化しています。

これも分解チェックしてみなければ、再利用可か要交換かの判断ができません。

僅かにサビも見受けられます。

ついでにステムのボルト類も洗います。

【NO.92】(ナンバーキュージューニ)のハイクオリティ・ウォッシャーが大活躍!
自転車の洗車にも使える高性能な洗剤です。
ちなみにこの洗剤は当店でも販売しています。

↑できるだけサビを落とし、しっかり洗浄したのがコチラです。
見違えるほどキレイになりました。
今回のヘッドパーツは全て再利用できそうですね。
組み付けはまだ先なので、ヘッドパーツの下処理は一旦ここまでにしておきます。

◆フレームに付いている小物類

ケーブルガイドやボトルケージ用ボルト、リアディレイラーハンガー等も洗浄します。

高性能洗剤が大活躍!

樹脂パーツも洗浄します。
今回使った洗剤は樹脂パーツでも安心です。

リアのブレーキ台座もここで洗浄しておきます。

ついでにブレーキ本体固定用のボルトも洗浄します。

当店名物の『ヅケ』です。
ボトルケージ台座のボルトもサビ防止効果を狙ってオイル漬けにします。

ブレーキ台座には後でさらに下処理をします。

◆クランクセット

自転車で特に負荷がかかる部分ですね。

ギアには汚れがこびりついていることも多いので、1度で洗いきるのではなく、何度も繰り返して洗浄しなければなりません。

1回目である程度の汚れは落ちました。

そこから分解して、さらに洗浄を繰り返します。

クランクも細部までしっかりと。
どうしても落ちない汚れもありますが、できるだけキレイにしたいものですね。

↑キレイになったチェーンリングですが、これでも写真上部に汚れがこびりついています。

ブラシだけでなく、いろいろな道具を駆使しなければなりません。

チェーンリングナットやボルトもヅケにします。

サビは専用のケミカルを使って、できるだけ磨き落とします。

◆ブレーキ

ブレーキ本体もできるだけ分解洗浄します。

今回、ブレーキシューは交換しますが、後で比較のために使うのでついでに洗浄しちゃいます。

非常に細かいネジ類もあるので無くさないようにしなければなりません。
ブラシも使って丁寧に洗浄し、水分を取り除きます。

こういうリンク(可動)部分には必要に応じて注油もします。

◆保安部品とグリップ

ベルは要交換のため省略。

前後のリフレクターと、ついでにグリップです。

これらは食器用中性洗剤で洗います。
パーツによってケミカルだけでなく、洗剤も使い分けるのが当店のやり方です。

このネジ類もヅケにします。

これでまたサビにくくなるでしょう。

今回はグリップも再利用することになりました。
希に切らないと外せない状態になってしまったグリップもあるので、今回はラッキーかもしれません。

◆ハンドルとレバー

レバーもできるだけ分解します。
シフターとブレーキレバーが一体型になっているタイプなので、取り扱いには細心の注意が必要です。

たまにカバーのネジ頭がダメになっていて絶望することもありますが、今回は無事でした。

水洗いできるものはどんどん洗います。

シフターは水でバシャバシャ洗うわけにはいきません。
各種ケミカル類を駆使してできるだけ掃除し、必要箇所には注油もします。

こうして見ると小さいネジ類も多いですね。
それぞれヅケにして長持ち処理をしています。

シフターを組むためにはシフトインナーケーブルを通しておかなければなりません。
ケーブル専用のグリスを使います。

このネジがとてもナメやすいので、慎重に作業しなければなりません。

シフトインナーワイヤーを通して組んだ状態です。

◆錆びたQRレバーが…

今回、フロントホイールは再利用します。

というワケでQR(クイックリリース、クイックレリーズ)レバーも再利用するので、せきるだけキレイにしておきたいものです。

他の気になるネジ部分同様、ネジ山の精度出しもします。

これをやっておくと、後々とても助かるシーンが多いです。

気になっていたサビも…

こんなに落とすことができました。
サビ防止のための下処理も進めます。

◆アクセサリー類

ボトルケージと携帯ポンプホルダーですね。

パッと見ではキレイかもしれませんが、

やはり汚れはたまっています。
こういうアクセサリー類は普段外すことがなかなかありません。

これを機に徹底的に洗っちゃいましょう。

随分キレイになりました。

この通り!

◆シートまわり

サドルを固定するヤグラも砂埃が蓄積しやすい部分です。

まずは最小単位まで分解します。

サドルもできるだけキレイにしましょう。

裏側はこのように砂埃等で汚れています。
この汚れは避けられませんよね。

ここはどれくらいキレイにできるものか…

シートクランプ用ボルトは錆びついています。

サビも除去して洗浄し、ヅケにした後の状態です。
当店のオーバーホールでボルトも良い感じになりました。

◆スタンド

通勤・通学等の日常用として愛車を使うなら便利なスタンド。

もちろん分解洗浄します。

ボルトの長さが微妙に異なるので注意が必要です。

今までの積み重ねて内部が錆びているかもしれませんが、これから少しでも快適長持ちするように注油もします。

◆ディレイラー

ディレイラーも頑固な汚れが残っている部分のひとつです。

何度かに分けて繰り返し洗わなければなりません。

特にプーリーにはこのように汚れがこびりついていたりします。

こそげ取るように除去しました。

チェーンやスプロケット、チェーンリングの掃除を自分でやるユーザーさんはたくさんいると思います。
しかし、プーリーは忘れられがちです。

まあまあ汚れが落ちました。

ここまできたら、分解の準備をします。

分解してさらに洗浄を続けます。
プーリーの汚れはなかなか頑固です。

洗っても洗っても汚れがこびりついています。

ようやく素手で触れても汚れないレベルにまで洗浄が完了しました。
根気の要る作業です。

そして分解した他のパーツもできるだけ隅々までキレイにしました。

できるものはどんどんヅケにしています。

リアディレイラーのケーブルアジャスターも分解して洗浄・長持ち処理をしてから組み直しをします。

リンク部分には注油もしておきましょう。

フロントディレイラーも同じように洗浄・注油をしました。

◆BB(ボトムブラケット)とペダル

BBは錆びついていました。
回転時にゴリゴリ感はあるものの、絶対に今すぐ交換しないとダメというほどではありません。

もしかしたら新品への交換になるかもしれませんが、念のため掃除は進めます。

スクエアテーパータイプのBBを使う場合、シェル幅と軸長には要注意です。

クランク固定用のボルトは洗浄してサビ除去してからヅケにしました。

↑まあまあキレイになった状態です。

ペダルも一旦洗います。

回転に異常が無いのでそのまま再利用決定です。

◆フロントホイール

今回はフロントホイールを再利用します。

↑グリス切れを起こしているのが伝わるでしょうか?

一部サビも発生しています。

サビを落としてみて、再利用できるかどうか…。

フロントハブの部品を全て分解洗浄しました。
サビを落としてみたらダメージはほとんど見受けられなかったので、再利用可能です。

グリスをタップリ使います。

フロントハブは仕上がりました。
ガタも無く、回転も滑らかです。

ニップルはサビていますが、これは今のところ放置します。
予算があればニップル交換も可能ですが、ブレーキシューが当たるリム面(ブレーキエリア)の摩耗も少し出ているので、今回はフロントホイールにはあまりお金をかけない方針です。

リムフラップも交換時は来ていますが、タイヤの側面に亀裂があることから、次回のタイヤ・チューブ交換のタイミングで一緒に交換予定です。
テープでの補強だけはしておきます。

リアホイールは新品になります。
【SHIMANO】WH-R501-Rです。
当店では新品のホイールもセンターチェックやフレの確認をし、異常があれば調整もします。
どうしても輸送中にアクシデントが起きることもあるからです。

それにしても、このホイールの価格もずいぶん上がってしまいましたね…。

■まだまだ続く下処理

ここまででもずいぶんの工程を踏んできました。
しかし当店のオーバーホールだと下処理はまだまだ続きます。
地味だけど後々効いてくる作業『ネジの精度上げ』です。

◆BBシェル

JIS規格のBBシェルなら、ネジ部分の精度を上げるためにタップがけもします。

また、必要に応じてフェイシングもしておきます。
今後、BBを上位グレードのものに交換する可能性もあるので、いまのうちに済ませておくと後が楽になります。

ついでにケーブルガイドを固定するための雌ネジもさらいます。

◆フレームの各種ダボ

今は何も付いていませんが、今後の通勤でリアラックを付けるかもしれません。
その時に苦労しないで済むよう、完全分解したついでにネジ山の精度を上げておきます。
こうすればもしユーザーさん自身で作業をする時にも作業の難易度がかなり下がるので、ユーザーさんにとってもメリットは非常に大きいです。

↑左右で比べると違いは一目瞭然。
左は精度上げをした雌ネジ、右はまだです。

両方済ませました。

ブレーキ台座固定用のダボも確認ついでに精度上げします。
台座はそうそう交換する機会がありませんが、錆び付きやすい素材です。
交換したい時に、当たり前に交換できるようにしておきましょう。

ディレイラーハンガーも交換頻度が高いパーツです。
フレームの身代わりで破損してくれる部品なので、当たり前に交換できるようにしておきます。

◆フロントフォークの各種ダボ

ブレーキ台座も精度上げをします。

側面のダボも、

エンド付近のダボも忘れません。

◆その他ネジ類

主要な部分や、分解時に特に気になったネジはまとめて精度上げをしています。

↑ブレーキ本体固定用とブレーキインナーワイヤー固定用です。

ブレーキ本体も今回は気になったのでやっておきます。

↑左右で比べるとわかりやすいですね。
右が精度上げしたもので、左はまだ精度上げしていません。
塗膜がネジの回転に悪影響を及ぼしていたようです。

交換式Vブレーキ台座も抜かりはありません。

フレームへねじ込むためのネジ、ブレーキ本体を固定するために受けるネジ、どちらも精度上げしています。

これだけカスがでました。

今回はクランクも気になったのでペダル固定用の雌ネジも精度上げしています。

■ここまで分解しても…

組立・調整をしてみないと要交換なのか、再利用可なのか判断しづらいパーツもあります。

全てがきちんと互換性等の条件を満たした上で新品ならほぼノープロォブレムですが、そうでない場合(特に全体オーバーホール)は後で必要部品の追加が生じることも多いです。
ただし、当店では問答無用で部品を発注・組み付け、そして後になって代金を請求するということはしません。
時間はかかりますが、追加費用が生じそうな時点でユーザーさんにご連絡し、やり取りを重ねながら作業を進めます。

■いよいよ組立開始ッ!

◆フレームに取り付ける小物類

↑シフトインナーワイヤーを通すケーブルガイド

リアディレイラーハンガーは固着防止のためにフレームと当たる部分に薄くグリスを塗っています。

ボルトにもグリスを少し塗っています。

ボトルケージ用ボルトにグリスを乗せて…

各部ダボへねじ込み、精度上げした雌ネジに油膜を張ります。

今回のフロントフォークはスチール製なので、効果は抜群です。
サビ防止に繋がります。

精度上げしたので、できるだけ長持ちさせたいですね。

後々カスタマイズするかもしれないし、しないかもしれません。
それでも、できるうちにやっておく方がいいでしょう。

ブレーキ台座は簡単に抜けないよう、ネジの緩み防止剤を使います。

しっかりと固定できました。

◆ヘッドパーツとハンドルまわり

グリスをふんだんに使い、分解したパーツを組み直します。

すでに馴染みが出た上でキッチリ洗浄・組付しているので、もしかしたら新品異常の性能になっているかもしれません。
実はオーバーホールをすることで、新品時の性能を超えることって意外とあるものです。

ヘッドパーツが当たるチューブには雨に強いグリスを塗ってあります。

慎重かつしっかりとヘッドパーツを圧入!

無事にヘッドパーツは戻りました。

フォークが抜け落ちないよう、ステムまで組んだらトップキャップを仮締めします。

グリップの仕様の都合で、先にハンドルまわりも仮組みします。

最終的には角度や位置を合わせるので今は無視して進めます。

ハンドルバーが付くと自転車っぽくなりますね。

◆車輪

前後ともタイヤとチューブは再利用します。

バルブの角度はリムに対して直角になるようなイメージで組み付けます。

シュワルベのチューブを筆頭に、バルブコア分解可能なタイプはバルブコアもチェックします。

フリーボディーにグリスを塗る必要はありません。
ただし、素材によってはサビ防止のためにグリスを塗っておく場合もあります。

↑グリスを薄く伸ばすように塗った状態です。

カセットスプロケットのロックリングにもグリスを塗っておきます。
これはネジ部分の固着防止が理由です。

最初は素手でじっくりねじ込み、最後に専用工具を使います。
これで前後の車輪が揃います。

◆シートまわりといろいろ

前後の車輪も付きました。

シートチューブ内部とシートクランプ内側に固着防止のために薄くグリスを塗っています。

組み直したサドルとシートポストをフレームに仮止めします。

この時点でバリアスコートを施工済みです。
バリアスコートについては別の機会にご紹介します。

リアディレイラーハンガーのアライメント調整中です。

↑これはパンクして廃棄となったチューブです。
これがとても役に立ちます。

このようにキックスタンドを固定する箇所に巻き付けておくことで、フレームにキズが入りにくくなります。
もちろん、すでに入っているキズはどうしようもないし、今後これでキズが絶対に入らないというわけではありませんが、ガード力が上がるのは間違いありません。

いい感じにスタンドを取り付けできました。

◆ブレーキ

まずは本体を固定し、動きも確認します。

ブレーキシューは新品です。
動作に問題は無いのでブレーキシューを仮止めします。

ブレーキインナーワイヤーも再利用します。
使用状況や保管環境も良かったのでしょう。
もちろん、ワイヤーにも長持ち処理をします。
命に直結するブレーキワイヤーは長持ちさせたいものです。
砂埃を吸着しやすいというデメリットはありますが、使用状況も考慮して耐久性重視でプレミアムグリスを使いました。

↑当店の思いやり作業のひとつ、『ダミーアウター工法』です。

リアブレーキのインナーワイヤーがトップチューブの下に露出して通っています。
このまま車体を担ぎ上げたりすると、インナーワイヤーがトップチューブにキズをつけてしまいます。

そこで余っているアウターケーブルを適切にカットし、元々装着されていたシリコン製のケーブルカバーを再利用してインナーワイヤーの露出を無くしました。
こうすることでフレームにキズが入りにくくなります。
また、このユーザーさんはトップチューブバッグも愛用しているので、単純にライナー管を通すよりはメリットが大きいと判断しました。

特にリクエストが無かったので、インナーワイヤーの末端処理は当店の独自技術『MEF』(マーブルエンドフィニッシュ)で仕上げています。
インナーエンドキャップを使いたければ、もちろんそれも可能です。
素材的にも衣類へのダメージも少ないのがMEFのメリットですが、現状では色が赤と黒のマーブル(そして基本的に赤が圧倒的に多い)というデメリットがあります。

前後とも動作は良好ですが、フロントはブレーキノイズが発生しました。
ブレーキシューはシマノ製の新品ですが、ホイールは洗浄したとは言えリムが少しすり減った状態だったのが原因かもしれません。
極上のブレーキタッチより、ノイズを無くすことを優先するためにフロントだけブレーキシューにトーインをつけました。

◆駆動系

↑写真の上側が元々付いていたBBで、下側が新品のBBです。
元々付いていたBBは信号で言えばイエローくらいの状態で、絶対に今すぐ要交換というわけではないものの、ゴリゴリ感がありました。
軸長がほぼ同じでお手頃価格のBBが運良く当店の在庫にあって良かったです。

とりあえずリアディレラーをしっかり組み付けました。
プーリーの回転も滑らかになっています。

BBシェルには水にとても強いグリスを採用しました。

『110』と書いてあるのが軸長です。
クランクセットを再利用するので、軸長は大きく変えるわけにもいきません。
納期の都合で次回に交換となるかと思いましたが、在庫があるなら話は変わります。
今なら工賃の追加は無しで部品代だけで新品のBBが付きます。
それなら今交換しておく方がユーザーさんにとっては断然お得です。
ユーザーさんと相談し、BBも今回交換することになりました。

下処理をキッチリやっているので、気持ちいいくらいにスルスル入っていきます。

しっかりと固定済みです。
やはり最初の組立品質はとても重要だと思います。
オーバーホールも同じで、どこでやるか?
誰がやるか?
どうやるか?
これで同じ車種でも品質に大きな差が出ます。

クランクセットを組み直すので、ボルトには固着防止のグリスを塗っています。

チェーンリングの歯も劣化しているので、そう遠くない未来に交換時が来るでしょう。
その時に困らないように、ここでも下処理に手を抜くわけにはいきません。

クランクセット装着完了!

ペダルのネジ部分には固着防止剤を塗っています。

クランクの種類やグレードによっては、このようにペダル固定時にバリが出てくることもあります。

まあまあの大きさのバリです。
工具を使って取り除いておきました。

フロントディレイラーは少々歪んでいるようですが、動作確認をしてみないと要交換か再利用可なのか判断を迷います。
とりあえずセオリー通りに固定しました。

今回採用したKMCのチェーンのジョイント方法は『ミッシングリンク』です。
整備性はかなり良くなりますが、脱着の回数には注意しなければなりません。

リアディレイラー調整済み。

フロントディレイラーも調整が終わりました。

◆保安部品

リアリフレクター(赤い反射板)の取り付けにも廃チューブが活躍しました。

フロントリフレクター(白い反射板)も再利用して取り付けました。
ベルは元々のジャイアント純正品が破損していたので、自由度の高いキャットアイのものを採用しています。
ライトはユーザーさんが持っているそうです。

■完成ッ!

オーバーホールがメインで他は消耗品の交換だけなので、ヴィジュアル的には大きな変化はありません。

しかし、明らかにキレイになっています。

トップチューブバッグによる塗面の擦り傷はほとんど目立ちません。

シートステーもキレイになりました。

ハンドルバーの角度やレバーの角度等は納車時に調整します。

ブレーキインナーの末端処理も

シフトインナーの末端処理もMEFです。

リアはホイールもブレーキシューも新品です。

フロントはノイズ軽減のため、トーインを付けています。

チェーンとカセットスプロケットも新品です。

リアホイールも新品になっています。

↑頑固な汚れを取り除いたチェーンリング。

BBも新品です。

バリアスコートの効果で、フロントフォークのツヤもしっかり出ています。

スタンドがフレームをキズ付けにくくするために廃チューブを利用しています。

廃チューブはなかなか優秀で、こういう部分にも使えます。

■料金等のお話

オーバーホールに限らず自転車の整備作業はショップによっても方針が違うだけでなく、同じ店でも担当者によっても異なります。
ユーザーさんがその自転車をどう使うのか?
そういう背景も十人十色なので、当店では同じ車種でもやり方を変えるべきだと考えています。
特にオーバーホールは1台1台、状態が大きく異なり、同じ状態の車体は基本的にありません。

単純に新品フレームに新品のパーツを組み付けて完成させる組立よりも、分解・洗浄・チェック・下処理・組付・調整・仕上げ等のやることが多いオーバーホールの工賃はどうしても高くなります。
今回の作業内容だと、基本工賃は¥33,000-です。
(※2023年06月11日時点)
ただし汚れ具合やサビ具合、どこまで部品を再利用するかで工賃は変動し、車種の仕様や車体に取り付けてある装備によっても金額は変わります
また、消耗品を含めた部品代も必要ですが、状態を見てみないと詳しい見積もりを出すことができません
ユーザーさんは交換しなくても大丈夫だと思っていても、プロから見たら寿命を過ぎていた…なんて状態の部品は本当に多いからです。
当店に作業(特にオーバーホール)のご依頼いただく場合、原則としてまずは当店にて全体点検を受けていただいてからの話になります。

◆遠方のユーザーさんへ

当店は広島県広島市にありますが、広島市外へも動きます。
プロに依頼したくてもショップへ持って行く手段が無い、という人もいるかもしれません。
有料にて愛車をお預かりしに伺い、整備をしてユーザーさんの元へお届けするというサービスもご用意しています。

◆現在キャンペーン実施中!

当店にて点検を受けてから、規定の期限までにその車体で当店へオーバーホールをご依頼いただいた場合、事前点検の料金を全額分、工賃一式からお値引きします。
この機会に当店のオーバーホールで、大きな安心感を持って愛車と永く付き合っていきませんか?

■こういう時にオーバーホールがオススメ!

◆中古で自転車を手に入れた

ネット通販やフリマアプリ、SNSでの個人売買等、中古で手に入れた車体にはとにかくリスクがつきものです。

↑こういうリスクもありますが、車体の状態が不明であるというリスクも無視できません。
状態不明のまま乗り出して事故などの災難に見舞われないよう、『転ばぬ先の杖』としてご利用いただくことをオススメします。

◆前回のオーバーホールから2年くらい経過

使用用途・頻度、保管場所の環境等でも車体の寿命が大きく変わるのは事実です。
それでも目安としては1年~2年に1度は全体オーバーホールをオススメします。
自転車には人間と違って自然治癒力はありません。
何もメンテナンスをしなければ状態は悪化する一方です。

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当店は出張修理等が多いため、決まった店休日や営業時間という概念がありません。
他店様が営業していない時間帯でも予約制にてご依頼等を承ります。
また、当店にて自転車の販売(防犯登録含む)も行っておりますが、他店様にてお買い上げの自転車の組立や点検及び調整、修理やカスタマイズ、オーバーホール等のアフターケアも大歓迎です。

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