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赤穂緞通工房ひぐらし

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赤穂緞通の工房とギャラリーです。 見学と購入ご希望の方はHPからご連絡ください。 http://akodantsu.com/
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2020年5月の記事一覧

ハリウッド黄金期のアカデミー美術賞取った若草物語

ハリウッド黄金期のアカデミー美術賞取った若草物語

テレビをつけっぱなしでギャベ作りに勤しんでいたところ、目の隅に見覚えある絨毯が映った。それって日本人には祇園山鉾の懸装品として知られているアンティークインド絨毯じゃないの?
1949年のハリウッド映画「若草物語」の中で、ふんだんに博物館級の絨毯が使われているのです!舞台は19世紀後半のアメリカの良家。

しかもあきらかにベスやジョーの衣装の色合いを絨毯に合わせてる!

絨毯が敷かれているのは、ボス

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日曜に地元朝市に行くまっとうな暮らし

日曜に地元朝市に行くまっとうな暮らし

今日は朝から備前福岡の市という朝市に行ってきました。刀鍛冶が研ぎをしてくれるというので、前々から行きたいと思っていたのです。

眩しいばかりの五月の朝、ブルーラインという自動車専用道路の終わりにあるメタセコイアの群木を横目に(秋には黄葉がとても綺麗)、

入り組んだ入り江のヨットハーバーや鄙びた漁港を横目に、

辿り着いた小さな朝市。
でも内容は素晴らしくて、若いお兄さんが一人で手作りしているコチ

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ひぐらし引きこもり日記ラスト

ひぐらし引きこもり日記ラスト

緊急事態宣言解除ということで、引きこもり日記はこれでお仕舞いです。
普段の暮らしとそれほど変わらないながら、誰かに強制されるのは余り気分の良いものではなかったのは確かです。ただこの日々に私の暮らしの質は明らかに変わりました。自分の本性というものが見えてきたってかんじ。

・ネットを使う時間が増えた。その中でもこのnoteという媒体がとても頼りになることを実感した。こんなにも色々な人たちが自分の考え

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ひぐらし引きこもり日記19 衝動買い

ひぐらし引きこもり日記19 衝動買い

私は買い物が苦手である。子どものころから欲しいものが無いままに大きくなってしまった。なのでお小遣いはいつも余っていた。大人になってもウィンドウショッピングは苦痛で、必要最小限の品をリストアップして、さっさと買うのが常であります。
なので、生まれて初めて衝動買いをした時のことをはっきり覚えている。
郡上八幡、風情のある呉服屋さんの2階に上がった時に目に飛び込んできた郡上紬。この品は私に巡り合うのを待

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ひぐらし引きこもり日記18 立寄り温泉

ひぐらし引きこもり日記18 立寄り温泉

そろそろ出口が見えてきたコロナ禍、残念ながら兵庫県はいまだに緊急事態宣言が解除されず。兵庫県では主に沿岸都市部に多数の感染者が発生していますが、わが町赤穂を含む西播磨地域はまったく発生無し。これを一括判断っておかしいんじゃないか?そこで自分的自主基準を決めてみました。
・極力人類との接触を避けながら自分の生活水準を落とさない。
・自宅にいる限り2m以内の人類との接触は宅配便以外ない!
 これはブツ

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ひぐらし引きこもり日記17 写真

ひぐらし引きこもり日記17 写真

さわやかな初夏の一日 、柿の木は益々葉が茂ってきました。
連休はずっと家で調べものして過ごし、日曜に久しぶりに仕事で出かけましたが、継続可能なコロナ対策がいきわたっていて接触者のカウントをする必要がなくなってきました。赤穂御崎の割烹のご主人はマスクなんかしないって突っぱねてたけど、お客様に指摘されてしぶしぶつけるようになったそうな。味見する時に不便でかなわんってぼやいてられました。
この1週間で濃

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シルクロードの東の果て 文様考察2

シルクロードの東の果て 文様考察2

「Chinese Carpets」は工房六月の蔵書を借りています。この本を渡してくれる時に赤穂緞通とそっくりの文様がある!といっていた19世紀新疆の絨毯。
縦糸横糸は綿でパイルは絹、珍しい文様と解説にあり。96×178cm。

そしてこちらが収集の中の赤穂緞通、未手入れ。94×190cm
推定制作年代は明治末期から大正時代。
もうここまでそっくりだと、現物を見本にして作ったとしか思えません!
額縁

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シルクロードの東の果て 19世紀

シルクロードの東の果て 19世紀

赤穂緞通はどうして生まれたか?の続きです。
1845年前後の清は激動の時代でした。アヘン戦争が1840年に勃発し、南京条約1842年、北京条約1860年と続きます。
そして中国の絨毯は進出してきた英国を中心とする欧米列強によって流出していきます。一方ペルシャ絨毯は最盛期が17世紀までといわれ、18世紀にはアフガンの侵略などにより急速に技術が衰えたそうです。このクラッシックペルシャ絨毯は19世紀から

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赤穂緞通はどうして生まれたか?

赤穂緞通はどうして生まれたか?

さて、ずっと私が疑問に思っていたことがあります。
赤穂緞通は児島なかという女性が弘化年間(1845年ごろ)に高松で万暦氈を入手し、それを再現しようと試み、明治3年(1870年)座布団大が完成、明治7年(1874年)に一畳織り完成、という点。地元の郷土史研究家による資料の中に明記されていますし、一般的に公開されている赤穂緞通の紹介にもそのように説明されています。
赤穂緞通についてはこちらがわかりやす

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シルクロードの東の果て 文様考察

シルクロードの東の果て 文様考察

ひぐらし引きこもり日記13で書いた内容の続きです。

昭和49年9月に日本橋三越で開催された「中国の古緞通展」図録より
包頭絨毯「花王団文」19世紀後期 125×65 2枚

上の額縁部分に使われている紗綾形文は、日本でも古くからある文様だとぼんやり思ってましたが、明の時代に日本に渡ってきたらしいです。
そして紗綾文は包頭の西の寧夏の緞通にもよく使われていて、このサイズはイスラム礼拝用に作られたと

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ひぐらし引きこもり日記16 五月

ひぐらし引きこもり日記16 五月

定点季節観察の柿の木はすっかり葉っぱが濃ゆく大きくなって、向かいの鹿久居島がもうすぐ見えなくなる。山はつつじが咲き終わって藤が盛りになった。

今日は久しぶりに出かけて予約されたお客さまのお相手をしてきました。
お客さま3人とスタッフ2名、マスクをして距離を取って接客。
ついでにオンライン展示会の打ち合わせ。ゆる~い販売体制の赤穂緞通ですが、6月に予定していた展示会が無くなったので重い腰を上げまし

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ひぐらし引きこもり日記15 犬と猫

ひぐらし引きこもり日記15 犬と猫

古いパソコンから出てきた写真はなかなか整理がつかない。資料とかは最初からクラウドに保存しているので、パソコン本体にはその他の雑多なものが溜まっている。私はアルバムってのに興味なくて、阪神淡路大震災の時に全壊した家から自衛隊員に頼んで持ち出してもらった品のトップが写真アルバムだったと聞いて仰天した記憶がある。写真って人の命を懸けても救いたいものなんだ。。
自分の小さいころの写真はたぶん納戸の奥の古い

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ひぐらし引きこもり日記14 帰る場所

ひぐらし引きこもり日記14 帰る場所

生まれ育った大阪郊外の町は今ではすっかり様子が変わってしまい、風情のあった昭和の家々は高層マンションに立ち代わり、懐かしい人ももう誰も残っていない。そして帰る故郷を持たない私は、時々夢に出てくるとても懐かしい場所もかなり抽象的で、目が覚めてみると、それがどこなのかはっきりしないことが多い。認知症で徘徊する人は、こことは違う何処か、本来の自分の居場所に帰ろうとすると聞いたことがあるが、それは夢で見る

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ひぐらし引きこもり日記13 謎の文様

ひぐらし引きこもり日記13 謎の文様

赤穂緞通の文様の中で私が一番気になるのは、このどう見ても中国風の緞通の文様。作られたのは化学染料が使用されていることや糸の状態から推定で昭和初期。

2枚組で入手し、しばらく赤穂御崎の森の家に敷いていました。
ちょっとのあいだ手放さないでおこうと思ったのです。
これと似た文様がシルクロードの要衝の地であった新疆ウイグル自治区ホータンで一時期作られていました。
http://www1.tcn-cat

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