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名文引用箱

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読んだ本の中から名文を引用し箱の中に放り込んでゆきます。
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#読書

名文引用箱

《ある意味では、党の世界観の押し付けはそれを理解できない人々の場合にもっとも成功していると言えた。どれほど現実をないがしろにしようが、かれらにならそれを受け容れさせることができるのだ》(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

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《自由とは二足す二が四であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる》(ジョージ・オーウェル『一九八四年』)

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《「誰もものごとの結果に対して責任を取ろうとしないことに、うんざりしているんだ。何か問題が起きれば、それはぜんぶシステムのせいにされる。でも、システムがそうなったことに責任がある人間が、誰かいるはずだよ!」》(マルク=ウヴェ・クリング『クオリティランド』)

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《この頸と脚首を二匹の青鬼赤鬼に預けることができたら! そしてタオルか洗濯物をしぼるように、このぼきっぼきっと鈍い音をたて続ける肉体を、力まかせにしぼって欲しい! もしそのような鬼があらわれたならば、その青鬼赤鬼の褌を一生洗い続けてもよいと男は風呂の中で空想したほどだ》(後藤明生『隣人』)

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《「あいつは自分でだめになっているんだ。もし、お前がそれをとめようとしたってできっこないな。これからあとで俺があの女を捨てるとすると、すごくだめになったみたいに見えるだろう。だけど、あいつがお前を好きになるとすると、そいつはたちまちのうちに回復するな。ほとんど以前と変らないぐらいにだよ。ところがだ、あいつはそこであらためてだめになる。自分でだ。それに、倍も早くだよ。そうしたらお前は、もう我慢できな

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《感謝というのは、時と場合によっては、物乞いだ》(ローベルト・ヴァルザー「タンナー兄弟姉妹」)

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《ねえ、わたし、勘違いというのが大好きなの、あなたも同じで、勘違いが好きに違いない、わたしにはわかるわ》(ローベルト・ヴァルザー「タンナー兄弟姉妹」)

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《まだ自分自身、何者でもないといっていいあなたが、同じように何者でもない人を嘲る理由なんてありはしないわ。自分も運命と闘っている、他の人もその人なりのやり方で闘っている、それでいいじゃない》(ローベルト・ヴァルザー『タンナー兄弟姉妹』)

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《『大きな世界』っていうやつは、兄さん、なんて大きくないんだろうね!》(ローベルト・ヴァルザー『タンナー兄弟姉妹』)

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《「本当に申し訳ありません」男は名刺を差し出しながら言った。「さいわい、保険に入っていますので」「それで片がつくとでもお思いで? それで片がつくとでもお思いで? それで片がつくとでもお思いで?」》(ディーノ・ブッツァーティ「現代の地獄への旅」)