僕は僕の人生を賭けて証明したいと思った。光を照らす側の存在の価値を。『原作版 左ききのエレン』
※本記事は、マンガレビューサイト「マンガHONZ」、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)
【レビュアー/小林琢磨】
『左ききのエレン』が好きだ!
『左ききのエレン』の主人公である光一が好きだ!!
『左ききのエレン』の作者であるかっぴーが大好きだ!!!
はじめましての人もそうでない人もこんにちは!ナンバーナイン代表の小林です。
『左ききのエレン』が好きすぎて、単行本を100冊買って勝手に自腹キャンペーンを行なっているくらいのガチ勢です。
漫画好きがよく聞かれる「一番面白い漫画はなんですか?」と言う質問があります。これが本当に難しい。僕はその都度「一番」の定義を決めて欲しいと返すようにしています。
現在連載中で一番面白いと言われれば『喧嘩稼業』と答えるし、連載が再開されれば『HUNTER×HUNTER』が一番面白い作品と答えるだろう。一番好きな作品となると『大東京トイボックス』になるし、人生で一番影響された作品となると『G戦場ヘヴンズドア』と答える。
しかし一番人生を捧げる作品は何かと聞かれれば、それは間違いなく『左ききのエレン』になる。
天才になれなかった全ての人へ贈る情熱と才能の物語。
仮にエンターテイメントに教育的な要素を見出すとするならば、その時に出会わなくてはいけない作品と言うものがあると僕は思っている。
『左ききのエレン』がまさにそうだ。
この作品にこのタイミングで出会えた事を神に感謝したい。
この作品に出会わせてくれた作者のかっぴーに感謝したい。
これから『左ききのエレン』を読む全ての人に感謝したい。
仕事に生きる全ての人へ。
大切な事は全て漫画から教わった僕であるが、逆に僕が言いたい事は全てこの作品の中に詰まっている。
そう、この作品の中に僕の全てが詰まっているのだ!!
「朝倉光一」という生き方を証明する。
『左ききのエレン』は群集劇だ。
主人公である朝倉光一以外にもエレン、神谷、流川、あかりと言った唯一無二の輝きを放つキャラクターが多数存在する。
しかし誰が何と言おうが、『左ききのエレン』の主人公は朝倉光一しかあり得ない。天才であるエレンではなく、凡人である光一こそがこの作品の主人公であり、僕たち「凡人」を代表する主人公なんだ!
光一は作中で何度も挫折を経験する。
時には自分の実力が足らずに、時には周りの環境や大人の事情により悔しい思いをする。
そう、光一は僕であり、僕たちなんだ。
個人的な話をすると、僕は起業家になる前はミュージシャンになりたかった。アーティストとして有名になりたかった。でもなれなかった。他の誰よりも熱い気持ちを持ちながら、他の誰よりも演奏が下手くそでアーティストの道は諦めた。でも今でも燻っている。まるで消えることの無い炎の様に、あの頃の気持ちは未だに自分の心の中で燻っている。
光を照らす存在になりたい。
決してその存在になれることは無いと自分で分かっていながら認められない弱さ。強がる事でしか自分を奮い立たせる事が出来ない情けなさ。
光を照らす存在になれないのであれば、光を照らす存在を支える人間になりたい。
僕が起業した理由は、奇しくも光一が最終的に選択した道だった。
クリエイター支援を行う株式会社サーチフィールドを立ち上げて10年。
漫画好きを増やす事をビジョンに掲げる株式会社ナンバーナインを立ち上げて1年。
僕の想いは、情熱は、志は、目標は、野望は、10年前から全く変わっていない。
光を照らす存在(クリエイター)を支える存在で有り続けたい。
その想いを、情熱を、志を、目標を、野望を、全て表現してくれたのが朝倉光一であり、『左ききのエレン』という作品であり、作者のかっぴーなんだ。
この作品に出会うために生きてきたのかもしれない。
そう思える程の熱量のある作品に出会えた奇跡に感謝する。
かつて夢中になれるものを持っていた全ての人へ。
僕の人生を賭けて証明する。
『左ききのエレン』が夢物語でない事を。
朝倉光一の生き方や選択が間違っていない事を。
だからみんなで見届けて欲しい。
朝倉光一という凡人の生き様を。
『左ききのエレン』で描かれた情熱と才能の物語を。
「この先があるんだよ」
『左ききのエレン』の最大の魅力は魂を揺さぶる名台詞の数々にあると思っている。作者のかっぴーが元広告代理店出身という事もあって、本当にリアルな描写、台詞が多い。
そして、だからこそここまで感情移入するのだろう。
こんなに心に響く台詞を吐くキャラクターを、こんなに自分の想いを正確に伝えてくれるキャラクター達を僕は知らない。
その中でも特に心に響いた名台詞を3つ紹介したい。
【注意】
すでに完結している原作版『左ききのエレン』から台詞やシーンを抜粋しているため、リメイク版『左ききのエレン』を読んでいる人にはネタバレになってしまう場面がございます。ネタバレが嫌いな方は読み飛ばしてください。何卒ご了承の程よろしくお願い致します。
「夢があるサラリーマンだろう・・・!?」※『原作版 左ききのエレン』(かっぴー/ナンバーナイン)より引用
そう、僕たちには夢があるんだ!
想いが、情熱が、志が、目標が、野望があるんだ!!
どんな仕事をしていたってその事を忘れてはいけないと感じさせられるシーン。希望しかない。
「お前の人生私にくれよ」※『原作版 左ききのエレン』(かっぴー/ナンバーナイン)より引用
天才であるが故に不器用な生き方しか出来なかったエレンが、自分が輝くために、光を照らす存在になるために、さゆりに初めて本音を話したシーン。感動しかない。
「この先があるんだよ」※『原作版 左ききのエレン』(かっぴー/ナンバーナイン)より引用
この台詞に『左ききのエレン』の全てが詰まっていると言っても過言ではない。
「描けよ」から繋がるこの一言に僕は自分の人生を賭ける覚悟を決めた。決意しかない。
最後に
大切な事は全て漫画から教わりました。
そしてその大切な事は全て『左ききのエレン』に描かれています。
この作品と出会う前と出会った後では仕事に対するモチベーションが大きく変わるはずです。
僕は僕の人生を賭けて証明しようと思う。
朝倉光一というキャラクターの生き方を。
光を照らす側の存在の価値を。