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おっさんずラブで分かったような、余命を隠した母の気持ち
私の母は、原発不明癌で
母自身が医師から聞いた時には
もう余命は3ヶ月だった。
母は、父と妹の叔母には話し
延命治療はしないこと、故郷の実家で死ぬことを決めていた。
私は、母から癌だとは聞いたが
いろんなことをはぐらかされていた。
「大丈夫だから、とりあえず実家で2ヶ月くらいのんびり療養する」と
明るく話された。
だから私は、
2ヶ月で帰ってくるのだと思っていたので
大きな病院と行き来しやすいような
都心のマンションを探していた。
しかし、違った。
母は最後に私に嘘をついた。
私が叔母から聞いた時、余命は1ヶ月半だった。
そんなことがあるはずない。
だって、帰ってくると言った。
すぐに母の故郷の大阪へ行ったが、
病床に伏せる姿で察し
「お母さん死んじゃうの?」と聞いた。
母は、「幸せな人生だった」としか答えなかった。
そして、きっちり1ヶ月半後に亡くなった。
一度たりとも母は弱音を吐かなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1709150523332-c4y86wZz0i.jpg?width=800)
以来、私の中にはずっと
ずっと、ずっと
どうして余命を隠したのか
何で、どうしてどうして
だって、
私が家族で一番一緒に過ごしたじゃないか。
(父が海外勤務だった為)
喧嘩もしたが、ずっと一緒にいたじゃないか。
どうして言ってくれなかったの?
そんなに私は信用に足る人間ではないのか、と
ずっと分からないままでいた。
それはとても大きな傷にもなったと思う。
より、死を受け止められなくなったようにも思う。
しかし、
先日『おっさんずラブ-リターンズ-』をみて
とある一言で気がついた。(ネタバレあり)
![](https://assets.st-note.com/img/1708793869390-uEIDEunfuP.jpg?width=800)
「直接言ったら
泣いちゃうかもしれないからさ。」
父や、妹の叔母には言えた。
でも母は、
娘の私には言わなかったのではなく
言えなかったのではないか。
もし母から余命を告げられたら
私は取り乱し、泣き崩れしがみつき
運命を呪い世を恨み
何がなんでも生きてもらうために色んなことをしただろう。
そんな娘を見たら
死への決意や覚悟が崩れてしまうことを恐れたかもしれない。
私は
誰よりも母と共に生きてきた、甘ったれでワガママで泣き虫の娘。
言えなくしたのは、私だからかもしれない。
でも、やっぱり分からない。
分からないけど、私がもっとしっかりしていたら
言ってくれたのだろうか。