福祉と生活ケア研究チーム

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所の「福祉と生活研究ケアチーム」の公式…

福祉と生活ケア研究チーム

地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所の「福祉と生活研究ケアチーム」の公式noteです。高齢者やご家族の方々が、生活する上で抱える課題について研究し、対策や解決策を発信しています。

マガジン

  • 「ソーシャルインクルージョン研究のいま」

    高齢者が安心して穏やかな気持ちで生活するにはどのようなことが大切でしょうか。 ここでは「東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム」の研究から、高齢者について最新の話題を取り上げます。

最近の記事

ソーシャルインクルージョン研究のいま

高齢者が安心して穏やかな気持ちで生活するにはどのようなことが大切でしょうか。 ここでは「東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム」の研究から、高齢者について最新の話題を取り上げます。 今回は、軽度認知症のある人への支援状況について、津田修治研究員の研究をご紹介します。 軽度認知症のある人への支援は医師とケアマネジャーが手を組んで 認知症の人が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けるには、ご本人や家族のニーズに合った支援が必要です。各地域で医療、介護、住ま

    • ドイツバイエルン州のOberallgäu郡の認知症支援体制の調査

      4月29日から5月3日の1週間、井藤・津田・Yanの研究チームでドイツのバイエルン州の南端に位置するOberallgäu郡に訪問して、地域の認知症支援体制について調査してきました。Oberallgäu郡はアルプスの山岳地帯から広がる丘陵地で、スキーリゾートなどの観光や酪農が主な産業となっています。今回は、その中心部にあるImmenstadt市(面積81.44km2、人口1.45万人)とSonthofen市(面積46.55m2、人口2.19万人)で、認知症のある人の支援に関わる

      • ソーシャルインクルージョン研究のいま

        高齢者が安心して穏やかな気持ちで生活するにはどのようなことが大切でしょうか。 ここでは「東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム」の研究から、高齢者について最新の話題を取り上げます。 今回は、高齢者の感謝について、小野真由子研究員の研究をご紹介します。 感謝の気もちを抱く対象は年齢によって変化する 「感謝」は、自分にとって価値のあるものを得たと認識したときに生まれる感情や行動のことです。感謝の気持ちを持つことは、満足で意味のある人生につながるといわれて

        • ソーシャルインクルージョン研究のいま

          ⾼齢者が安⼼して穏やかな気持ちで⽣活するにはどのようなことが⼤切でしょうか。 ここでは「東京都健康⻑寿医療センター研究所 福祉と⽣活ケア研究チーム」の研究から、⾼齢者について最新の話題を取り上げます。 今回は、認知症による⾏⽅不明について、菊地和則研究員の研究をご紹介します。 認知症による⾏⽅不明者は年々増えている ⾼齢化とともに認知症の⽅は増え、2025 年に700 万⼈と予想されています。これは65 歳以上の⾼齢者のおよそ5 ⼈に1 ⼈です。認知症の⽅が1 ⼈で外に

        ソーシャルインクルージョン研究のいま

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        • 「ソーシャルインクルージョン研究のいま」
          5本

        記事

          【執筆を一部担当しました】認知症ケアと俳句の力

          こんにちは、東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」の津田 修治です。 執筆を一部担当した書籍が出版されましたので、お知らせいたします。 『認知症ケアと俳句の力 その人らしい輝きが表現された俳句づくり』 (担当箇所 P.121〜 P.129「創作活動と認知症ケア」) 私を含め8名の方が「認知症と俳句」について執筆しています。筆者たちは、認知症のある人たちが集まるデイサービスの場で、俳句を詠む句会を開催してきました。 本記事では、書籍の概要に触れつつ

          【執筆を一部担当しました】認知症ケアと俳句の力

          ソーシャルインクルージョン研究のいま

          高齢者が安心して穏やかな気持ちで生活するにはどのようなことが大切でしょうか。 ここでは「東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム」の研究から、高齢者について最新の話題を取り上げます。 今回は、ひとり暮らし高齢者の社会的孤立と妄想について、井藤佳恵研究部長の研究をご紹介します。 社会的孤立が生むシルバークレーマー 騒音などの苦情も社会とのつながりを求める気持ちの表れかも 「音がうるさい」「変なにおいがする」–––。何度も苦情を言い、ときには怒鳴るなどの攻

          ソーシャルインクルージョン研究のいま

          ソーシャルインクルージョン研究のいま

          高齢者が安心して穏やかな気持ちで生活するにはどのようなことが大切でしょうか。 ここでは「東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム」の研究から、高齢者について最新の話題を取り上げます。 今回は、おひとりさま生活(一人暮らし)と認知機能について、津田修治研究員たちの研究をご紹介します。 認知機能が下がると幸福感も低くなる 男性のほうがおひとりさま生活の影響は大きい? 高齢化が進み、家族の姿が変化するにつれ、一人で暮らす高齢者は近年増加傾向にあります。高齢者

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          高齢者にとっての、感謝の気持ちとは?

          はじめまして、東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」の小野真由子です。私は「高齢者の感謝の気持ち」を研究しています。 私は以前、ホスピスで看護師として働いていました。ホスピスとは、余命が告知された方々が暮らす施設です。 ホスピスには、本当に色々な方が入居しています。社会的な肩書きがある方、経済的に豊かではない方、家族との関係が良好な方、そうでない方……。その中で、「感謝の気持ち」を持つ患者さんは家族や周りの人と良い関係を築き、穏やかに最期の時を迎えて

          高齢者にとっての、感謝の気持ちとは?

          認知症になっても安心して生活できる社会をめざしてー認知症による行方不明の研究

          はじめまして、東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」チームの菊地 和則です。私は高齢者虐待や権利擁護の研究を専門とし、東京都健康長寿医療センター研究所では認知症を持つ方々の行方不明の実態と対策について研究を行っています。 2012年、警察庁が発表した行方不明者数のうち認知症を持つ方が約1万人と、大きな話題になりました。認知症の行方不明者数は年々増加し、2020年には1万7,565人にものぼります。日本における認知症者は2025年に700万人と予想されて

          認知症になっても安心して生活できる社会をめざしてー認知症による行方不明の研究

          迷惑をかけてもいい社会を目指して

          初めまして。東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」の池内 朋子です。 みなさんは、「他人(ひと)に迷惑をかけたくない」と自分自身で感じたり、「他人(ひと)に迷惑をかけてはいけない」と言われた経験はありませんか? 私は仕事柄、高齢者の方とお話しする機会が多く「迷惑をかけたくない」と、非常にたくさんの方が口にする場を見てきました。 「子どもに迷惑をかけたくない」 「周りに迷惑をかけたくない」 といった言葉が、頻繁に出てくるのです。 ある時ふと、「彼

          迷惑をかけてもいい社会を目指して

          光が当たらない高齢者の「困りごと」に寄り添うために

          初めまして。東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム 介護・エンドオブライフ研究」研究部長の井藤 佳恵です。私は、複雑な支援ニーズをもつ高齢者が、望む場所で暮らし続けるために必要な支援方法を探る研究をしています。 調査に反映されない、本当の「困りごと」とは私は高校を卒業後、文学部フランス文学科で学びました。大学卒業後は(株)伊勢丹に就職し、それから医学部にはいりましたので、医師としては少し変わった経歴かもしれません。治らないものがあること、変えられないもの

          光が当たらない高齢者の「困りごと」に寄り添うために

          認知症のある人たちが自分らしく生活するために、診療所にできること

          こんにちは。東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」の津田 修治です。私は研究をしながら、「もの忘れ外来」で医者として診察を行っています。そこでの経験がきっかけとなり、認知症とともに生きる方々が、自分らしく生きるためのサポートについて考えるようになりました。 認知症は、発症当初をどう過ごすかがその後の生活を大きく変えると言われています。 「診断をしたり薬を処方するだけではなく、もっと診療所としてできることがあるのでは?」 この疑問が、私の研究テーマで

          認知症のある人たちが自分らしく生活するために、診療所にできること