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【執筆を一部担当しました】認知症ケアと俳句の力

こんにちは、東京都健康長寿医療センター研究所「福祉と生活ケア研究チーム」の津田 修治です。

執筆を一部担当した書籍が出版されましたので、お知らせいたします。

認知症ケアと俳句の力 その人らしい輝きが表現された俳句づくり
(担当箇所 P.121〜 P.129「創作活動と認知症ケア」)

私を含め8名の方が「認知症と俳句」について執筆しています。筆者たちは、認知症のある人たちが集まるデイサービスの場で、俳句を詠む句会を開催してきました。

本記事では、書籍の概要に触れつつ「認知症ケアと俳句の力」についてご紹介していきます。

「認知症ケアと俳句の力」について

本書は、「クリニックふれあい早稲田」院長 大場敏明 先生と、日本伝統俳句協会・元埼玉部会長 萩森好絵 先生の共著です。

大場先生は2000年に埼玉県三郷市内に「クリニックふれあい早稲田」を開業。
「もの忘れ外来」で長年、多くの認知症のある患者さんやご家族と関わってこられました。

「患者さんには、その人らしい生活を最期まで送ってほしい。そのためには文化的・創造的な楽しみが重要」と考え、介護事業所で手芸・園芸・菜園・書道・絵画などの教室を開いています。

イベントを開催するなかで、先生はある患者さんと出会いました。そして、「俳句づくり」が認知症ケアに効果があると感じるようになりました。

俳句づくりの過程で、自分のなかから出てくることを短い言葉にするので、忘れていた思い出を取り戻すことができるのかもしれません。その過程は、昔の写真や道具などを題材にして、当時のことを思い出して会話を楽しむ「回想法」という認知症のケア手法に通じるものがあります。

本書は、句会がどのように運営されてきたかを紹介し、認知症のある人が俳句を通して表現することにどんな効果があるかを考察した一冊です。実際に句会に参加した、認知症のある人たちが詠んだ俳句も掲載されています。

8人の筆者がそれぞれの立場から「俳句と認知症ケア」について執筆することで、認知症のある人たちの生き生きとした活動の様子や、それを支える人たちの工夫を伝えます。

私の俳句とケアに関する考え

私はクリニックふれあい早稲田の「もの忘れ外来」で医者として診察を行いながら、「診療所における認知症のある方々のサポートプログラム」について研究をしています。

認知症のある方々が、それを隠して取り繕うでもなく、嘆くでもなく、適度に受け止めて、ある時は受け流し、自分らしく生きていけるといいなと思ってます。
それにつながるような支援を提案したり、社会を作っていくための研究をしています。

認知症のある人たちが自分らしく生活するために、診療所にできること

認知症になると、自分の考えを思うように説明することができず、フラストレーションが溜まることもあるでしょう。
その人が大切にしてきた心の世界を俳句で表現することで、「自分は今もこんなに豊かに生きているんだ」と家族や友人に伝えることができます。コミュニケーションとしても、大きな意義があるといえるでしょう。

作品集に収められた俳句には、詠んだ人が五感で感じ取った情景が生き生きと表現されています。ぜひ本書を手に取って、取り組みとともに、俳句をご覧になってみてください。

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最後までご覧いただき、ありがとうございました!
この調査・研究にご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

連絡先
津田 修治
tsudas@tmig.or.jp
03-3964-3241(内線4224)
https://researchmap.jp/shjtsuda


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