【レビュー】『強みと弱みが導いた引き分け』~第9節FC琉球VSファジアーノ岡山~

マッチレポート

タピスタでの壮絶な撃ち合いはドロー決着

前節のモヤモヤを払拭するべくタピスタに乗り込んだ岡山は、2点のビハインドをひっくり返したものの、試合終了間際に痛恨の失点を許して、今季4つ目の引き分けに。岡山が一長一短なチームであることを感じる内容だった。琉球は前節・東京Ⅴ戦と同じように2点のリードを守り切れなかったが、終了間際に同点弾を決めて、勝点1をもぎとった。今季ホーム初勝利はお預けになったが、価値ある1ポイントになっただろう。

序盤は岡山がプレスから決定機を作るが、先制点を決めたのは琉球だった。23分、ゴール前で倒されてFKを得ると、上里が沈めた。さらに5分後には追加点を奪う。空高く蹴り上げたクリアの落下地点を相手が誤ったことで清武が抜け出すと、折り返しを中野が押し込んだ。

リードを2点に広げられた岡山には誰1人として下を向く選手はいなかった。左右のウイングを入れ替えながら、敵陣にボールを入れていくと、45分にはムークのスルーパスに抜け出した白井が冷静に流し込んだ。

後半に入って選手を入れ替えながらパワーアップした岡山が攻勢を強めると、58分には左からのクロスにムークが右足で合わせ、71分にはデュークがCKを頭で押しんで逆転に成功した。

琉球は選手を入れ替えながら、再びパワーを注入してゴールに迫っていくと、90分に同点弾を奪う。相手のクリアがPA右にこぼれると、草野がはたき、ファーサイドに上げた田中恵のクロスを池田が押し込んだ。

岡山は強みと弱みが結果に直結した。リバウンドメンタリティを発揮したときの岡山は本当に強い。前節のうっ憤を感じさせない素晴らしい入り、自分たちの力で2点ビハインドをひっくり返したことからは、取り巻く状況に屈しない力強さを感じた。しかし、簡単に失点を許してしまう脆さが勝点3を得るチャンスを取り上げた。1失点目は本山が空けたスペースを使われて柳が飛び出したことで、バタついてFKを与えてしまっている。2失点目はラインを上げようとしたところで高く上がったボールの落下地点を河野が見誤ってしまった。3失点目もデュークのクリアミスがきっかけになり、クロスを上げられたときにはマークのズレも生じている。点が取れているだけに、安易な失点はもったいない。攻撃面で発揮している力強さを守備にもつなげて、勝ち切るチームになっていきたい。



コラム

困難を乗り越えるべく切り替えて臨んだ岡山のリバウンドメンタリティ

岡山は強い覚悟を持って、今節に臨んだ。試合終了間際の木村のゴールで勝利した前節・山形戦が再試合になったことで、みんなで勝ち取った勝点3が取り消される。悔しくて気持ちも晴れない時間を過ごしただろう。それでも、チームでしっかりと乗り越えていくための良薬になる勝利を目指して立ち上がった。

キックオフの笛と共に、琉球のビルドアップに対してプレスをかけていき、高い位置でボールを奪って、何度もチャンスを作った。プレスのスイッチを入れる思い切りの良さ、連動して奪いに行く統一感からは迷いを一切感じない。困惑した気持ちを切り替えて琉球戦に向けて準備してきたことを想像させるたくましさがあった。

今節に懸けて臨んだ岡山のリバウンドメンタリティは屈強で、2失点しても減退することはなかった。ポジションチェンジや選手交代を行いながら、敵陣に、ゴール前に躊躇することなくボールを入れていく。攻撃の“量”を増やすことで、3点を奪って一時は逆転に成功したのだ。

試合終了間際に失点を許して引き分けたことは痛かった。前節の悔しさを晴らすために、今節は勝ちたかったから。勝利は勝点3だけでなく、困難を乗り越えたという成功体験とそれに伴う一体感をもたらしていただろう。

けれども、前を向いて今節に臨んだように、気持ちを切り替えないといけない。次節はCスタで勝利を収めて、サポ―ターと一緒に困難を乗り越えていこう。


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