【速報】『W杯前最後の強化試合で得た収穫と課題』~強化試合 日本VSカナダ~

国際親善試合
2022.11.17 22:40 K.O
日本(1-2)カナダ
9分 相馬勇紀
21分 スティーブン・ビトーリア
90+5分 ルーカス・カヴァリーニ

ワールドカップに向けた最後の強化試合、北中米予選を1位で通過したカナダとの一戦は不安材料を抱えた中で迎えた。アジア最終予選で活躍した冨安健洋、遠藤航、守田英正、三笘薫がコンディション不良で試合に出ることができない。しかし、好材料もある。メンバー発表時には負傷していた板倉と浅野拓磨が復帰した。

日本のシステムは[4-2-3-1]。アジア最終予選を勝ち上がった[4-1-2-3]ではなく、9月の親善試合で採用したシステムでスタートすると、日本はボール保持と非保持のスタンスを明確にした。

ボール保持時は相手のプレスに対して数的優位を作ってビルドアップを採用する。田中碧が斜め右に下がり、板倉と谷口彰吾の3人が最終ラインを形成し、後方でのパス回しで相手を横に揺さぶっていく。田中から右サイドの高い位置を取る酒井宏樹へのパスで敵陣に入っていくと、右サイドで起用された相馬が積極的に背後を突いた。

ボール非保持は浅野と南野拓実を先頭にした[4-4-2]でプレスを掛けた。中央を閉じながら、サイドに誘導していき、対人守備に優れた酒井と伊藤洋輝が迎撃する。連動した守備で相手を囲い込み、敵陣でボールを奪って素早いショートカウンターを狙いとして持っていた。相手が右サイドから攻め込んだときに、相馬がDFラインまで下りるシーンも見られた。

日本は用意してきたであろう戦術を施行する中で、幸先よく先制する。9分、柴崎岳が浮き球のスルーパスを出すと、相手DFの背後を取った相馬がうまく右足で合わせてネットを揺らした。

リードを許したカナダは失点で火が付いたのか。WBを起点にしたサイド攻撃とフランス1部で活躍するジョナタン・デイビッドを軸に攻勢を強めていく。立て続けにCKを獲得してくと、高さを武器に権田修一が守るゴールマウスを脅かす。18分、ジュニオール・ホイレットのボールにサイル・ラリンが頭で合わせ、こぼれ球をアリスター・ジョンストンがシュートを放つも、ブロックに遭った。それでも3本目のCKで同点に追いつく。ホイレットが蹴り込んだボールを中央でアティバ・ハッチンソンがフリックし、スティーブン・ビトーリアが押し込んだ。

1-1で迎えた後半は、両チームが選手交代を行ってスタートする。カナダは1選手を交代する中で、日本は酒井、久保建英、浅野に代えて山根視来、堂安律、上田綺世を投入した。

腕章を巻く柴崎岳が攻守で躍動する。攻撃では鋭い縦パスを出し、守備ではサイドの裏をカバーした。メンバー発表時に起こった批判を見返す強い意思をプレーの端々から感じる。59分には南野がドリブルで中央からゴール前に進入してシュートを放った。しかし、軸足を滑らせてしまい、力なきシュートがGKの正面に飛んだ。

互いにゴール前でラストパスやシュートの精度が上がり切らず、スコアに動きがないまま試合が推移していく。日本は67分に板倉と田中に代わって長友佑都と鎌田大地を投入した。この交代で伊藤がCBに移った。鎌田は所属先のフランクフルトでプレーするボランチで起用されると、抜群のキープ力を発揮する。相手のプレッシャーを受けても慌てることなくパスを散らし、自らのドリブルでもかわしていく。しかし、決定的なチャンスは生まれない。

疲労も見え始めて試合がペースダウンしていく中で、85分に南野に代えて吉田麻也を投入し、システムを[3-4-2-1]に変更する。山根と長友がサイドの高い位置を取り、幅を使う意識を強めていく。44分、柴崎のスルーパスに抜け出した山根がPA右から鋭いシュートを放つも、ポストに当たった。決定的なチャンスを作った山根だったが、終了間際にPA内で相手を倒してしまいPKを献上。途中出場のルーカス・カヴァリーニが意表を突くループシュートを放つ。権田はタイミングを外されながらも何とか掻き出そうとするも、弾き出すことができずに万事休す。

W杯前最後の強化試合は逆転負けという結果に終わってしまったが、全てを悲観する必要はない。柴崎の奮起や相馬の得点など好材料もあり、鎌田のボランチ起用、試合終盤の3バックへの変更など本大会を見据えたテストもできた。

しかし、明確な課題から目をそらしてはいけない。8本のCKを与えるだけでなく自陣でのファウルも目立った。そしてセットプレーから失点を許して敗戦している。本大会は1点の重みがさらに増す。運命の分かれ目になるかもしれない。日本は世界的に見て高さで劣っている。だからこそ、不本意なセットプレーを与えてはいけない。ドイツ、コスタリカ、スペインを相手に決勝トーナメントに進出するためには、自分たちで失点のリスクを減らす必要がある。ドイツとの初戦は4日後。短い準備期間の中で、突き詰めていきたい。

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