【レビュー】『意地で掴んだ勝点3』~第25節ファジアーノ岡山VS大宮アルディージャ~
試合結果
スタメン
マッチレポート
意地を出した岡山がシーソーゲームを制す
シーソーゲームを制したのは岡山の意地だった。
立ち上がりはゴールに向かう意志を強く持った岡山が主導権を握る。サイドアタッカーのイグォンと田中が果敢に相手ディフェンスラインの背後を突いた。3分にイグォンが抜け出してGKと1対1を迎えたが、これはタッチが大きなってシュートを打てない。7分には田中が背後に飛び出したが相手GKにクリアされ、こぼれ球を拾った河野が約50mのロングシュートを狙ったが枠を越えた。
背後を突く攻撃の勢いをどんどん強めていくと、試合を動かす。15分、自陣からパスをつないで徳元が背後に走るイグォンにパスを送る。1度は相手にクリアされるも、こぼれ球を拾った徳元が右足を振り抜く。鋭いシュートがゴール右スミに吸い込まれて岡山が先制した。
2連敗中の大宮はなかなかチャンスを作れない中でも、30分に矢島が左サイドから切れ込んでシュートを放ったが、堀田の好守に遭った。
後半もファジアーノが勢いを持って攻めたが、試合のペースは56分に3選手を投入した大宮に傾く。奥抜、武田が積極的にゴールに向かっていく中で、64分にPA手前でドリブルを仕掛けた奥抜が倒されてFKを獲得する。武田のシュートは堀田に弾かれるも、こぼれ球を西村が押し込んで大宮が追いついた。
同点弾を許した岡山も佐野と今季初出場の齊藤を投入して攻撃のギアを上げると、74分に河野が蹴ったFKを今季初先発の濱田が頭で合わせて突き放す。しかし、岡山に疲れが見えてきた84分に大宮が再び追いつく。吉永が左サイドから上げたクロスを富山が落として菊地が流し込んだ。
これで終わらないのが岡山の意地。途中出場の選手を中心に最後まであきらめずにゴールを目指す。90+1分、河野が最後の力を振り絞って右サイドを駆け上がってクロス上げると、こぼれ球を拾ったチアゴが冷静なキックフェイトから左足を振り抜いた。土壇場での勝ち越し弾がスタジアムを熱狂の渦に巻き込んだ。さらに90+5分には齊藤のパスに抜け出したチアゴがPKを獲得。これを背番号7が沈めて試合は4‐2で勝利した。
岡山は前節の熊本戦での敗戦を引きずることなく、勝つことにすべての力を費やした。勢いを持ってゴールに向かっていく姿勢、2度追いつかれても勝ち越す反発力からは今節にかける想いの大きさと意地を感じた。
コラム
濱田水輝が示したベテランの凄み
ベテランの凄みを見た。
前節に続いてヨルディ・バイスが欠場する中で、柳育崇とCBコンビを組んだのは濱田水輝だった。背番号4の今節までのプレータイムは2試合で17分。CBは今季から加入したバイスと柳育が絶対的なレギュラーとして君臨し、高卒5年目の阿部海大が途中出場することが多く、ベンチからも外れることは少なくなかった。
それでも32歳のDFは腐らない。副主将という役職もあり常にチームことを考え、練習ではいつも大きな声を出してチームを鼓舞する。いつか訪れる出番に備えて、最善の準備を続けていた濱田は今季初先発の試合でチームを勝利に導いた。
ハイライトは74分。選手交代で勢いが増した大宮に同点弾を許してしまう苦しい展開だったが、悪い流れをすぐに断ち切った。右サイドからのFK、河野が蹴り込んだボールに対してニアに飛び込む。相手DFの前に入って叩きつけた打点の高いヘディングシュートでゴールネットを揺らした。両手で力強いガッツポーズをする背番号4のもとに次々と選手が集まってくる。柳に頭を叩かれながらも満遍な笑みを浮かべ、喜びをかみしめた。
ベテランは本当に頼もしい。結果を残して苦しいチームを救う姿はまさに救世主そのものだった。
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