【レビュー】『勝点1の捉え方』~第2節ファジアーノ岡山VS清水エスパルス~

試合結果

2023 J2 第2節
2/26 13:00K.O. @シティライトスタジアム
岡山(0-0)清水

スタメン

マッチレポート

仕留めきれなかった2つの決定機。悔しさの残るホーム開幕戦

岡山のホーム開幕戦は悔しさが残る一戦となった。優勝候補の清水を撃破するチャンスは間違いなくあったし、ファジレッドに染まったスタジアムに広がる歓喜の輪を見たかった。

立ち上がりから岡山の守備陣が高い集中力を発揮し、清水の攻撃に対応していく。CBの柳は前線で起点となるチアゴ・サンタナを徹底的にマークし続けた。背番号5は素早い出足でパスをカットし、力強く身体をぶつけて前を向かせない。昨季のJ1得点王を抑え込んだ。左SBの鈴木喜は北川のドリブルに粘り強く付いていく。北川がサイドに張り出したことで、鈴木喜が1対1で対応する場面が増えたが、日本代表歴のあるアタッカーに対して冷静に正面を塞いだ。同じく最終ラインに入った河野とヨルディ・バイスも清水に隙を与えなかった。

堅く守る岡山は縦に早い攻撃で決定機を作り出していく。19分には、相手の背後を突いた木村が左サイドから上げたクロスにステファン・ムークが飛び込んだ。右スミを突くシュートだったが、GK権田のスーパーセーブに遭う。田中がこぼれ球を詰めるも、枠を越えた。背番号14は天を仰いだ。44分にも、FKのこぼれ球を拾った木村のパスを受けたムークがミドルシュートを放つ。狙いすましたシュートだったが、またもGK権田の好守に防がれてしまう。どちらかが決まっていれば、違った結果になっただろう。

0‐0出迎えた後半、清水がよりゴールに迫る。53分に、ディサロがPA左から折り返したボールを北川が頭で合わせ、88分には、途中出場の岸本が切れ込み、ホナウドが鋭いミドルシュートを放った。どちらも枠のスミを捉えるシュートだったが、GK山田大の鋭いシュートストップに防がれた。

岡山はGK山田の好セーブでピンチをしのぎ、木村と途中出場の高木を起点にサイドから縦に早く攻めたが、最後までシュートやラストパスの精度が上がり切らなかった。

坂本と佐野を代表活動で欠いた岡山にとって、昨季から積み上げてきた堅守速攻で清水と互角に渡り合ったことは自信になるだろう。しかし、目標はJ2の頂だ。1万5千人以上のサポーターの前で清水から勝点3を奪えなかった悔しさも残る結果となった。

※2023年2月28日22時26分に書き直し済み

コラム

何があっても動じない。
芯の強さをもつ山田大樹

山田大樹の表情は試合中に変わらない。彼の辞書に動揺の二文字はないのだろうか。そう疑うくらい冷静なプレーで、開幕戦から引き続きゴールマウスを任された21歳のGKが清水を相手に今季初の無失点を達成した。

清水に許したシュートは13本を数え、岡山にとって大きなピンチが2つもあった。

1つ目は53分、PA右から折り返されたボールをファーサイドで待っていた北川がヘディングシュートを放ってきたシーンだ。ボールがゴール前を横切り、枠のスミを突いたシュートだった。ゴール前中央を固めていた岡山の守備陣は、完全に横に振られて後手に回ってしまう。しかし、山田大はしっかりとステップを踏んで横の揺さぶりに対応し、棚の上に置いているものを取るかのように左手を伸ばして掻き出した。自身の身体をポストにぶつけながらのパンチングだったにもかかわらず、セーブ後は眉一つ動かさなかった。

2つ目は88分に、横パスをホナウドが右足で合わせたミドルシュートのシーンだ。鋭いシュートが枠の左下スミに飛んでくるも、山田大は横っ飛びで弾き出した。その後、すぐに起き上がり、表情を変えずに「マーク、マーク」とだけ言って次のプレーに備えた。

鹿島のユースから昇格してプロ4年目を迎える山田は、今節が4試合目のリーグ戦のピッチだった。何があっても動じない。すでに芯の強さをもつGKは、岡山の地で経験を積んでさらにたくましくなっていく。

※2023年2月28日22時26分に書き直し済み

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