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【日記】『アットホームな空気』~10年以上ぶりのなでしこリーグ観戦にて~

4月1日、2023年度が始まった日。新生活への期待と不安が混じった気持ちを抱えながら真っ新なスーツを着た新社会人が入社式に参加する中、僕は高梁市を目指して車を走らせた。

目的はなでしこリーグ2部の開幕戦。吉備国際大学Charme岡山高梁(以下:シャルム)VS湯郷Belle(以下:ベル)の岡山ダービーだ。

女子サッカーを観ることはすごく久しぶりだった。美作ラグビーサッカー場でベルの試合を観に行ったことはあるが、10年以上前のこと。当時のなでしこジャパンで主力を張る宮間あや選手と福元美穂選手のプレーを観に行った覚えはあるが、試合結果を含めてハッキリと覚えてはいない。より鮮明に覚えているのは、2011年のW杯を優勝したなでしこジャパンの美作合宿。じいちゃんと2人で練習を観に行き、安藤梢選手と永里優季選手にサインを書いてもらった思い出がある。

10年ぶりの女子サッカー観戦にあたって、あえて事前情報を入れなかった。両チームの最近の成績や在籍選手などを下調べせず、頭に入っているのは、ベルになでしこジャパンとして活躍した横山久美選手が復帰したことくらい。普段はファジアーノ岡山と対戦相手のことを調べて試合に臨む中で、知らない状態でスタジアムに行くとどんなことを感じることができるのか。それを知りたかった。

2時間近く掛けて、シャルムスタジアムに到着した。この試合はシャルムのホームゲームだった。シャルムは吉備国際大学の女子サッカー部を母体としたチームであり、大学生と社会人で構成されたチームである。そのため、運営のほとんどが部員の大学生が務めていた。グッズや弁当を売るのも、チケットをもぎるのも、チームのジャージを着たサッカー部の学生だった。

行く途中にコンビニで買い食いしながらスタジアムを目指していたから、あまりお腹は減っていなかった。家から持参したペットボトルはまだフタを開けていなかった。

だけど、「おいしいお弁当はいかがですか~?」、「冷たい飲み物も売っていま~す!」、「カッコイイグッズもありますよ~!」と一生懸命に呼びかける学生スタッフの声を聞くと、気づいたら財布を開いていた。

キックオフを迎えると、一瞬にしてピッチにくぎ付けになった。

全員でゴールに向かっていく一体感、相手からボールを奪おうと身体をぶつける気持ちの入ったプレー、長く伸びたパスを全速力で追い掛けて何とか残そうとする必死な姿がピッチの至る所で繰り広げられる。技術やフィジカルの差があまりない中で、真剣に、がむしゃらにプレーする気持ちの部分が強烈に伝わってきた。

試合はシャルムが23分に左サイドから上がったクロスをMF古谷優里亜選手が頭で合わせて先制し、ベルが53分にセットプレーの流れからFW横山選手がネットを揺らして、1-1の同点で終わった。

試合終了後はホームのシャルムがファンサービスを行った。先制点を決めた古谷選手のヒーローインタビューで始まり、太田真司監督、主将の加戸由佳選手のインタビューが続く。試合を振り返りながらも、駆け付けた727人の観客への感謝も忘れない。最後にサインボールをスタンドに投げ終えると、小さい子どもにサインを書く選手や、見に来てくれた友人や職場の同僚、家族と話をする選手が多くピッチに残った。各々が感謝を直接述べているようで、すごく微笑ましたかった。

10年以上ぶりの女子サッカー観戦を終えて、また観に行きたいと思った。ピッチ、スタンド、ショップをはじめ会場がすごくアットホームな空気に包まれていて、応援したい気持ちになった。

それこそ約15年前、ファジアーノのJFLの試合を観に行ったときのことを思い出した。桃太郎スタジアム(現:シティライトスタジアム)のコンコースに並んで選手にサインを書いてもらったり、スタジアムを1周して挨拶する選手に大きく手を振っていりしていたな。

身近に感じるものは感情移入しやすく、それが応援したい気持ちにつながっていく。ほぼ初めての気持ちで行った女子サッカー観戦の帰り道は、何だか懐かしい気持ちになった。

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