【レビュー】『勝点1の捉え方』~第6節~

試合結果

2023 J2 第6節
3/25 14:03K.O. @フクダ電子アリーナ
千葉(1-1)岡山
55分 小森飛絢
77分 鈴木喜丈

スタメン

マッチレポート

連敗を阻止するも、勝ちたかった千葉と負けなかった岡山

ともに前節に敗れて今節を迎えた千葉と岡山の一戦は1-1の引き分けに終わった。勝点1ずつを分け合う形となったが、両者にとって対照的なものになった。

前半は千葉が押し込んだ。自陣からパスをつなぐ中で、SBの日高と松田が幅を取り、岡山のブロックを横に引き伸ばしていく。そしてボランチの田口と小林、トップ下で今季初先発の風間が中央に空いたスペースで起点を作り、プレスを交わしてゴールに向かった。7分、日高のCKに風間が頭で合わせたが、DFブロックにされた。17分には左から右への展開でプレスを突破して田中和が左足を振り抜くも、左へ逸れた。

岡山はヨルディ・バイスが統率する守備陣を中心に粘り強く守ると、セットプレーで反発した。19分、右サイドからのFKを河野がゴール前に蹴り込み、バイスがスライディングシュート。さらにこぼれ球をルカオが詰めるも、DFにブロックされて得点とはならなかった。

0-0で迎えた後半も千葉がボールを保持して攻め込み続け、55分にゴールをこじ開ける。新井の縦パスをピッチ中央で受けた田口が見木とのワンツーでプレスを交わしてスルーパス。これに抜け出した小森がGKとの1対1を制して、千葉が先制に成功した。

追い掛ける岡山は62分に3選手を同時に交代する。ハン・イグォン、高木、田部井を投入し、システムを[4-4-2]から[3-4-3(5-4-1)]に変更した。すると、ルカオ、イグォン、佐野が人を捕まえることでプレスの強度が高まり、71分から入った木村が推進力を発揮する。全体を押し上げて敵陣でのプレーを増やしていき、76分にセットプレーの流れから同点に追いつく。PA左に進入した田部井の横パスを受けた鈴木喜が豪快なシュートをネットに突き刺した。

試合終盤はオープンな展開となり、両者がひたむきに決勝点を狙った。千葉は途中出場の椿が左サイドから切れ込むも、ゴール前でのシュートはブロックされる。岡山は86分に田部井がFKを直接狙ったが、わずかに枠を越えた。

千葉は岡山の倍以上の18本のシュートを放つも、決め切れず。勝点2を落とす形で、今季ホーム初勝利は持ち越しとなった。岡山は劣勢の時間が長い中で、“鬼門”フクアリから勝点1を持ち帰れることをポジティブに捉えたい。

コラム

今季初先発のルカオが示した唯一無二の個性

今季初先発を飾ったルカオは最後までピッチに立ち、持ち味を存分に発揮してゴールに向かった

38分、敵陣浅い位置でのFKを柳がゴール前にロングボールを蹴り込むと、背番号99がPA右で収める。相手は元日本代表の鈴木大だったが、191cm91kgの大きな身体と腕力を使って力強くターンすると縦に突き進んでクロスを流し入れる。これは鈴木大にブロックされたが、1本のロングボールを受けてチャンスを作った。

彼の持ち味はパワーだけではない。88分、イグォンがボールを奪うと、右サイドに流れてスルーパスを引き出す。並走したのはまたしても鈴木大だったが、武器であるスピードを発揮して抜け出すと、右足を振り抜いた。シュートはGKに防がれるも、プレスで溜まっている疲労を感じさせない試合終盤でのスプリントでゴールを脅かした。

今節は契約の都合で出場できない櫻川の代わりに先発する形となったが、彼にとって自身の価値を証明する有意義な90分になったのではないか。特にチアゴ・アウベスや永井が不在の中、スピードを生かした裏への抜け出しは彼だけの個性だ。少ないパスで、最短距離でゴールに向かっていくことができるルカオの台頭は、ビルドアップがうまくいかないチームの現状を打破する起爆剤としての期待も高まる。


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