【レビュー】『勝点3を手繰り寄せた諦めない姿勢』~第8節モンテディオ山形VSファジアーノ岡山~

マッチレポート

諦めなかった岡山が5試合ぶりの勝利

勝利には何が必要なのか。強力な選手、優れた戦術…。いろいろ考えられるが、どのチームにも勝つ可能性も負ける可能性もあるJ2を勝ち抜くためには、諦めない姿勢が最も必要だと感じる一戦になった。

前節から先発6選手を変更して今節に臨んだ岡山がボールの奪い所を定める前に、ホーム初勝利を目指す山形が攻め入った。3分にロングボールでプレスを掻い潜りゴール前に入ると、PA右から國分がシュートを打つ。その後も山形はボールを動かし続けて岡山のプレスをいなしていった。岡山はプレスを外されてチャンスを作られても、奪いに行くことを諦めない。11分、川本がGK、CBに連続してプレスをかけて右サイドに追い込み、右WGで移籍後初先発の白井も連動してミスを誘うと、半田のバックパスがゴール方向へ。GK後藤が懸命に戻ってギリギリで掻き出したが、このプレーでGK後藤が一発退場した。

数的優位になった岡山は、相手を押し込んでサイドからのクロスやCKでゴールに迫り、18分には河野のクロスを川本が頭で合わせる。その後もゴール前にボールを入れ続け、後半からは高さのあるデュークを投入し、システムを[4-4-2(4-2-3-1)]に変えた。75分間で5枚の交代枠を使い切り、力ずくでゴールをこじ開けようとしたが、10人の山形の守備を崩せない。

カウンターから招いたピンチをGK金山の好守でしのいだ岡山は、相手ゴール前にボールを入れてゴールをこじ開けることを諦めない。87分、柳のクロスをデュークがヘディングシュート、91分には本山が上げた左サイドからのクロスを途中出場の佐野が頭で合わせるも、GKに防がれた。スコアレスドローで終わるかに思ったが、最後まで諦めない岡山の姿勢が結実する。92分、佐野が左サイドの深い位置で粘ってスローインを獲得すると、本山のロングスローをニアで柳が競り勝ってつないだボールに、木村が飛び込んだ。

終了間際にゴールをもぎ取った岡山が劇的な勝利を収めた。数的優位を生かしきれずに決定機を多く作れなかったこと。10人の山形に簡単にカウンターからチャンスを作らせたこと。まだまだ成長過程にあり、満足できる内容ではなかった。だからこそ、最後まで諦めない姿勢を貫いて勝点3を掴んだことに価値がある。それは試合後のインタビューで木山監督が『勝つことが今日は大事だった』と口にするくらいに。


コラム

劇的な勝利を支えた冷静な守護神

劇的な勝利には、2人の立役者がいた。1人目は土壇場でゴールを決めた木村。もう1人は、GK金山だ。

数的優位になった岡山は終始相手を押し込んでいたものの、ピンチはあった。山形に許した枠内シュートの数は5本で、岡山の4本よりも多い。CBの2人が相手陣内に入ってプレーするほど、全体を押し上げていたため、岡山の背後には常に広大なスペースが広がり、そこを突かれたカウンターでピンチを招いた。

35分にはCKをクリアした山形にセカンドボールを回収されると、PA右でバイスを振り切った山田康にシュートを打たれる。62分にはロングパスでプレスをかわされ、ゴール前に駆け上がってきた藤田にPA左からシュートを許し、77分にはクロスのこぼれ球を拾われて、チアゴ・アウベスのシュートのこぼれ球を至近距離で加藤に詰められた。

どれもゴールを脅かすものだったけど、GK金山は全く慌てていなかった。常にステップを踏んで良いポジションを取る。最後まで動かずに、飛んでくるシュートに反応する。至近距離からのシュートには、相手との間合いを一気に詰めて、シュートコースを消した。

攻めている味方のプレーを最後尾から見ることが多い展開の中で、訪れたピンチに慌てることなく対処してく。山形に失点を許さないGK金山の冷静な対応が、最後の最後まで勝つ可能性を残したのだ。劇的な勝利を引き寄せたのは、最後まで冷静だった背番号13の好守だった。


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