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【レビュー】『取り戻したいアグレッシブさ』~第7節ファジアーノ岡山VSいわてグルージャ盛岡~

マッチレポート

4試合ぶりの勝利を目指す両者の一戦は、セットプレーを沈めた岩手に軍配。

4試合ぶりの勝利を目指す両チームの対戦は、やりたいことを徹底した岩手に軍配が上がった。前節から先発5選手を変えて中3日の試合に臨んだ岡山は、アグレッシブなサッカーを体現できず、勝てない状況は続く。

岩手の攻撃は、ブレンネルを起点にサイドから敵陣に入り多くのCKを獲得するシンプルなものだった。2分、ブレンネルのポストプレーから左サイドに展開して上げたクロスはDFに弾かれるも、こぼれ球を加々美がミドルシュートを打ち、最初のCKを得た。その後もCKを獲得する首尾一貫した岩手が試合を動かす。13分、自陣右サイドからのスローインを敵陣で受けたブレンネルが相手を背負ってキープし敵陣でスローインを獲得する。再びスローインを受けたブレンネルは反転してより深い位置に運んでいき3本目のスローインを得る。ブレンネルに投げられたボールは相手に当たって得たCKを中村が蹴り、甲斐が頭で合わせる。13分間で4本のCKを獲得し先制点まで奪って見せた。徹底した岩手の戦法が奏功する。

前節に続き追いかける展開になったファジアーノは、全く気落ちしていなかった。初先発の佐野が積極的に縦パスを入れて相手を押し込んでいくと、岩手の5バックを崩すべくサイドから攻めていく。17分、木村がPA右で切り返して放ったシュートはクロスバーを叩く。22分にも、こぼれ球に素早く反応した木村が突破してPA左からシュートを打つも、枠を越えた。

ファジアーノは後半も相手を押し込んでサイドからゴールを目指すも、粘り強い岩手の守備を最後まで突破できなかった。敵陣で失ったボールを奪い返せず、岩手に陣地を押し返される。カウンターからピンチは招かなかったが、ボールを奪う位置が低く、攻撃のスタートはいつも岩手がブロックをセットした後だった。サイド攻撃一辺倒ではなく、ワンツーやミドルシュートなどバリエーションを増やして岩手を慌てさせ、綻びを作って即時奪回を仕掛けるアグレッシブな攻めを展開したかった。

試合後に河井はしゃがみ込んだまま、自分では立つことができないでいた。勝点を獲得できなかったことは非常に悔しい。しかし、次節は中3日でやってくる。厳しい状況を打破するには、木山体制の根幹に立ち返りたい。開幕戦に見せた、あの攻守においてアグレッシブな姿勢を取り戻したい。


コラム

阿部と野口が生み出したSBの競争

まさか両SBを変えるとは。

木山監督の大胆な采配には驚いたが、右SBの阿部と左SBの野口はピッチえ自分の色を存分に発揮した。

本職CBの背番号3は、果敢にゴール前に飛び込んでいく。37分、左サイドからの佐野の横パスをゴール前中央で受ける。タッチが流れてしまい惜しくもシュートを打てなかったが、スペースを指さし後ろから勢いを持ってゴール前に入っていったことで、岩手の守備を慌てさせた。

左SBを務めた野口はパスで左サイドの攻撃を活性化させていた。20分、野口がムークにパスを出して木村から落としを受けると、1タッチで川本に斜めのパスを差し込む。サイドから一気に相手の懐に入れる野口のパスは攻撃のスイッチを入れていたし、近い選手ではなく1人飛ばしたパスやワンタッチパスを織り交ぜて、パスワークのテンポに変化を加えていた。

これまで先発していた選手と違う個性を発揮した阿部と野口がSBに新たな風を吹かせる。サイドからのクロスでチャンスを作れる河野、ロングスローを投げられる徳元、ゴール前にダイナミックに入っていける阿部、楔のパスで攻撃のスイッチを入れられる野口と、異なる特徴を持った選手が争うことになりそうだ。サイド攻撃に厚みをもたらせるプレーが求められる中で、誰がスタメンの座を射抜くのか。SBのポジション争いから目が離せない。

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