【勝因】『鋭いカウンターでバレンシアが9試合ぶりの勝利』~ラ・リーガ第23節バレンシアVSレアル・ソシエダ~
試合結果
スタメン
鋭いカウンターを仕留めたバレンシアがソシエダを撃破
降格圏の19位に沈むバレンシアがエスタディオ・デ・メスタージャに3位のレアル・ソシエダを迎えた一戦は、ホームチームが1‐0で9試合ぶりの勝利を飾った。ルベン・バラハ監督が就任してから2試合目で手にした初勝利であり、今節をきっかけに残留に向けて力強い一歩を踏み出した。
バレンシアはバラハ監督の下でソリッドなチームになっている。ソシエダのビルドアップに対して、アンカーのマルティン・スビメンディへのパスコースを切りながらプレスを掛け、外に誘導していく。両サイドで幅を取るWGのミケル・オヤルサバル、久保建英には両SBが徹底的にマークし、ボールが足下に入る瞬間に激しいアプローチでボール奪取を狙う。バレンシアの連動性と強度のある守備が、ソシエダのビルドアップを阻害していった。
守備でペースをつかんだバレンシアは、ポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)の意識がとても強い。ボールを奪った選手は前方にパスを通し、3トップと2インサイドハーフ(以下:IH)の5選手が雪崩のようにゴール前に駆け出していく。最短距離で、最短時間でゴールを目指す迫力のあるカウンターを発動し、相手のOGを誘発して決勝点をもぎ取った。
40分、自陣の右サイドで右SBのフルキエが久保の横パスをカット。そこからボールはアンカーのウーゴ・ギシャモンにつながり、相手の即時奪回を狙ったプレスを回避すると、ギシャモンも前にパスを出す。これをピッチ中央でCFのウーゴ・ドゥーロがうまくターンして左サイドへ展開し、駆け上がった左SBトニ・ラトが左前方へスルーパス。これに対して左WGのリーノが内側から膨らむようにして相手右SBの背後に抜け出してPA左から折り返す全速力で走り込んできたCFのウーゴ・ドゥーロ、右IHのユヌス・ムサに向かって転がっていくボールを、懸命に戻ったCBのイゴール・スベルディアがクリアしようとするも、そのボールがそのままゴールイン。
リードしたバレンシアは後半にも相手のCKを防いだ流れから鋭いカウンターを繰り出した。47分、PA手前にこぼれたボールをアンカーのギジャモンが前線に残っていた左WGのリーノにつなぐ。左WGのリーノは背中でボールを隠しながらヒールパス。入れ替わるような形でCFのドゥーロが中央から運んでいき、右WGのサム・カスティジェホとのワンツーでPA右奥に進入して相手に倒されてPKを獲得した。VARの介入によってPKは取り消されたが、わずか12秒で自陣のPA手前から敵陣のPAの深い位置まで踏み込んでいった。
オウンゴールでの1点でバレンシアが勝利を手中に収めた結果となったが、強度と連動性の高い守備から鋭いカウンターを打ち込み、ボールを握らずに主導権を握るサッカーは残留への強い意志を感じた。勝利を告げるタイムアップが鳴った直後、ピッチの上で涙を流していたCFのドゥーロの姿が印象的だった。