地下波

思うままに書きます。 拙いながらも書きます。

地下波

思うままに書きます。 拙いながらも書きます。

最近の記事

走り出すための準備。 上体を起き上がらせ、足を踏み出す寸前だった。 それを注意して押さえつけた。 まず上半身を、そして下半身を、そして最後に頭を。 行かなければならないという、それは焦燥と呼ベるものだった。 早く行かなければならないと暴れていた。 遅れを取り戻そうとして。 進まなければならない、その気持ちが体と連動していた。 たしかに、考えてみれば自然なことだ。 心の「進もう」という意思に体は呼応している。 ただ一つ、その調和を阻むものがあって、それは私の理性だった。 理性は

    • まある

      夏場の三途の川は普段より塩分濃度が高く、いろんなものが浮いているらしい。後悔の色なく陽気に流れている体が一つ。背で飛んでいる。川の向こうから仲間の声。たちまちの休息から覚めるだろうか。夏は私たちを逃さないようにあらゆる所に潜んでこちらを伺っている。時には誰の許可も得ず、内まで侵入する。夏に寄生されてしまったら最後、あらゆる衝動が吸い取られ乾涸びてしまう。暑さ。道端で乾涸びたミミズが完全な円を描いていた。円はやがてアスファルトに収束していく。では夏が貪っていった私の衝動はどこへ

      • 空は青くない雨は降らない。空は誰のものでもないが仰ぐことに焦がれるだけだった。照らすな誰もと祈りながら、痛みを恐れているだけだった。咲く前に萎れていく花の香りを知る術はない。

        • エンドレスポエトリー

          エンドレスポエトリー やはり、心の拠り所。 ありがとうホドロフスキー。 ポエトリーな気持ちになったのでエンドレスポエトリーポエトリーをします。 『喜びは赤く体を満たし ようやくの目覚めに 命と踊る 道はなくとも歩めると知れば  人生の始まる音が鳴り 二度と戻らぬ父に口付けを 憎しみ引き受け 愛を手向けた さようなら 心の船と渡る海 果てには燃え盛る場所があるという 潮騒が閉じた手紙を 潮風に乗せて出せば  見渡すばかりに魂の光 その輝きは完全な光』

        • 空は青くない雨は降らない。空は誰のものでもないが仰ぐことに焦がれるだけだった。照らすな誰もと祈りながら、痛みを恐れているだけだった。咲く前に萎れていく花の香りを知る術はない。

        • エンドレスポエトリー

          枯れた草が好き。夕になれば燃えたように見えるから。冷たい空気を体で受けながら、炎の中を駆け抜けていきたい。 枯れた草が好き。生の鋭さを称えた顔をしているから。命への柔らかな讃美歌を奏でながら、風と最後のダンス。「長い付き合いだったな」互いを労う優しい音。

          枯れた草が好き。夕になれば燃えたように見えるから。冷たい空気を体で受けながら、炎の中を駆け抜けていきたい。 枯れた草が好き。生の鋭さを称えた顔をしているから。命への柔らかな讃美歌を奏でながら、風と最後のダンス。「長い付き合いだったな」互いを労う優しい音。

          ティーバッグから水に広がっていく、その淡い色を眺めていた。どこからが紅茶の始まりなんだろう。ふんわりと勢力を拡大していく茶色と、合わせて香るアールグレイ。意識して瞼をゆっくりと閉じる。そして大袈裟な深呼吸をして、華やかな空気を独り占めする。肺を幸せで満たす、そんな妄想をする。

          ティーバッグから水に広がっていく、その淡い色を眺めていた。どこからが紅茶の始まりなんだろう。ふんわりと勢力を拡大していく茶色と、合わせて香るアールグレイ。意識して瞼をゆっくりと閉じる。そして大袈裟な深呼吸をして、華やかな空気を独り占めする。肺を幸せで満たす、そんな妄想をする。

          割れた壺か、お茶碗か、陶器のやわらかな破片。どこまでも続いていくような曇り空とそれを鈍く反射した海を見ながら、波の音に包まれて浜辺を歩いた。飽きるまで歩いた。

          割れた壺か、お茶碗か、陶器のやわらかな破片。どこまでも続いていくような曇り空とそれを鈍く反射した海を見ながら、波の音に包まれて浜辺を歩いた。飽きるまで歩いた。

          人生〜最近ver〜

          地獄は燃えていて吸い込む空気は熱い。息をする度喉奥が痛む、空気の通り道がハッキリと分かる。深呼吸ができない。できるだけ肺に入れないよう浅い呼吸を繰り返す。体の中身からジリジリと体が焼けていく。体を満たす全てが熱い。痛みから逃げることは呼吸をやめること。それはできずまた一つ吸い込んで、苦しみにもがく。自分が何をしたのか、気付かないうちに放り込まれた地獄。生きることは耐えること。呼吸の苦しみと歩むこと。

          人生〜最近ver〜

          花を買ってもすぐに枯らす。だから花は買わない。 駅を歩いていると鮮やかな緑や赤が目に止まる。その時の私は大抵小綺麗な格好をしているから、つられて間違えてしまいそうになる。今度は大丈夫かも、と思う。小さな多肉植物の愛らしさ、生花の瑞々しさ、生活を生活にしてくれそうな彼らの輝きに目が眩む。それでも、花を枯らしてしまった日の、生活に大きなバツ印を付けられる感覚をどうにか呼び起こして誘惑に耐える。私はいつになればこの子達を大切にできるのだろう。 小さな花束をくれた人がいた。綺麗なも

          散歩

          まつ毛の上に転がり落ちた小さな太陽はすぐに消えてしまうから、無くさないように、それでいて楽しむように目を細める。そのひと粒ひと粒を慈しむ時間。私だけの優しい光の粒。いつまでもこうして居たいけれど、みんなの太陽に還ってもらう。タイムリミットがやってきて、瞬き。先程まではささやかな祝福だったものが、世界の全てを包み込んで微笑んでいた。 自然と人工物が生み出す境界線。背の高い建造物の陰影と空の色。そこだけ切り取られているみたいだと思った。いつも見ていたコンクリートの壁が、途端に別の

          自分の底の浅さにびっくりした。中身丸ごとが透けて見えている。隠されているものはない。浅い浅いはじまりのところ、陸と海の曖昧な部分、それくらいの深さしかない。浅瀬。 深みがない、奥まで覗き込みたくなるようなものがない、頑張らなくても力まなくても背伸びしなくても到達してしまう。 非常に単純。得体の知れないような深みを感じる人間に出会ったときの、溺れていく感覚、息が出来なくなる感覚を、自分の内側にも感じていたいのに。溺れるどころか、泳ぐことさえままならない程度の水深でつまらない。つ

          明日がいやだ

          睡眠用BGMを選んでいるときが1番明日に近い。吟味する時間もなく、妥協するか「いつもの」を選ぶことになる。時間の前に己の無力さを痛感する。布団に包まれている幸せな感覚よりも、中に投げ出されている感覚が上回る。明日に投げ出されている。何の確証もない紐なしバンジージャンプ。もう戻ってくる術はない。

          明日がいやだ

          長いツイートみたいなnote

          ショッピングモールは心が荒む。普段は微笑ましく思えるカップルも、ショッピングモールですれ違うとアホ面しやがって、などと心の中で思ってしまう。ここで謝っておきます、ごめんなさい。なぜなんだろう、ショッピングモールの何が私の心を波立たせているのか。恐らくだが、狭い空間に人がひしめき合っているのが要因だと思う。隣の家族の母親の口が悪いな、とか、それに父親は押されているな、とか、道幅が狭いのに横並びになって歩くの遅いカップルってどうなの、とか、このおばさん人を避けるってことを知らない

          長いツイートみたいなnote

          オールナイト

          早朝までオールナイト上映を観た。 映画館を出て水色と灰色を混ぜた色の街を歩き、駅へ向かっていた。目を閉じるとついさっきまで観ていた映画の場面が映し出されるくらいの温度感が残っていた。基本的に街に人はいなかったから、それ以外のことを考えることもなく、自分の中身の部分がしっかりと認識できた。その時間が心地よくて、幸せだと思ったし、そんな今を感じている私が私にとって少し特別だった。 駅に着くと、終電に乗れなかった(乗らない選択をした)人たちが集まっていた。さっきまで誰も居なかったの

          オールナイト

          まがまが

           22歳も終わりに近づいたというのに、禍々しい気持ちでいっぱいで困ってしまう。 そして、それら一つ一つをここに書いてゆけば、色んな人を傷付けてしまうということを分かる程度には22歳(終わりかけ)の私は大人である。 植物が二酸化炭素を酸素に変えるみたいに、禍々しさを変換して美しい言葉などで吐き出せればいいのに。そのためには太陽が必要になるが、人間にとってのそれはなんだろう。  私が日々蓄積させてゆく禍々しさは、単品そのものでは大したものではない。ほぼ無、である。しかし、濃縮させ

          まがまが

          願い事

          私を構成する全てをその中に詰め込んでも、詰め込んだ瞬間から透明になっていきそうだと思った。逆に構成する全てを私の中に詰め込んだとしてもそれは不恰好なシュークリームみたいになると思った。そして私はそんなシュークリームを嬉しく頬張るのだ。そんな想像だけで私はもう満たされ救われてしまった。私は小さな箱の中の現状を追いかけても心にくもりが生まれなくなった。核シェルターの先の世界になった。多分このシェルターは思い出で出来ていると思う。とはいえ、かなり前から心がくもってしまったのを晴らす

          願い事