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贖罪

※ネタバレを含みます。


先日読み終わった本が衝撃的だったので、その本の感想や考えたことを自由に話していきたいと思います。

この記事の題名にもあるように、本の名前は
”湊 かなえ”さんの「贖罪」です。

作者の名前はどこかで1度は聞いたことがあるという人がほとんどなのではないでしょうか。

私は中学生の頃、家のテレビで流れていた「夜行観覧車」というドラマを見たときに初めて湊かなえさんの名前を知りました。

毎日このドラマを楽しみにしていて、真剣に見ていたわけではなかったので、内容までは詳しく覚えていませが、役者の方々の演技とテレビから発せられる雰囲気を感じ取り、このドラマは何かやばいと感じた記憶があります。

それ以降、ドラマの中で湊かなえさんの名前が目につくことが多くなったような気がします。

話がそれてしまいました。

そんな湊かなえさんの小説を読むことが最近増えていたのですが、中でも「贖罪」はドロドロとしていて、登場人物の全員がハッピーエンドとは言い難い結末を迎えます。

1章での語り手は「紗栄(さえ)」です。

フランス人形を中心に語られる内容がサイコパス感が満載で、とても面白かったです。

紗栄はお見合いを通じて、孝博(たかひろ)と結婚するのですが、その孝博の性癖の癖が強いのです…。

ある日フランス人形に恋したことをきっかけに、その人形の容姿と紗栄を重ね合わせて見ていたのです。

そして、紗栄のことを自分だけの人形にするために、アプローチをしてきたというのです。

この事実を知った紗栄は孝博に対して嫌悪感を抱き始めます。

そして、紗栄は孝博を殺害してしまうのでした。

この章で最も衝撃的だったのは、幼い頃紗栄の地元で起こったフランス人形の盗難事件の犯人が孝博であったという点と、孝博の性癖でした。

もちろん、孝博の性癖が悪いだとか気持ち悪いだという様に感じたということではありません。

性癖は人それぞれだと思います。

しかし、フランス人形に導かれ、紗栄をひたすらに追い続け、終いには結婚したという点が衝撃でした。

この1章を読み終えた後は、続きが気になって仕方ありませんでした。

2章の語り手は「真紀(まき)」です。

真紀は小学校の先生であり、プールで起きた事件に居合わせたのでした。

ある日のプールの授業中に関口という不審者が侵入してきます。そして、関口はナイフを持ちながら児童たちの方へ突進していくのです。

そこで勇敢にも立ち向かったのが真紀でした。

真紀は見事関口を押さえつけることに成功し、児童も最悪の事態になることはありませんでした。

しかし、その後が事件の本番と言っても過言ではありませんでした。

真紀と同じくプールの授業を担当していた「田辺」という男子教員がいました。

田辺は真紀が不審者と取っ組み合いをしているときに、プールの中で隠れていたという証言が児童からされてしまいます。

そして、保護者やネットを通じて田辺は糾弾されてしまうのです…。

俗に言う誹謗中傷です。

田辺の精神状態は崩れてしまったともありました。

しかし、真紀は事件の説明をPTA臨時総会でする中で驚きの発言をします。

「では、みなさまならどんな行動をとられたでしょうか?」と

私たちは震災や火事のニュースをテレビで見ながら、自分だけは崩れゆく建物から颯爽と身を翻し、避難する想像をしたことはありませんか?

通り魔のニュースを見ながら間一髪のところでナイフをかわす想像をしたことがありませんか?と

私はドキッとさせられました。

自分でもこのような想像をした経験があったのです。

でも本来であれば、真紀ではなく、田辺のような姿になる人がほとんどなのではないでしょうか?

もちろん、真紀はとても勇気のある行動だったと思います。

しかしそれは、田辺が臆病者であったというわけではないのです。そして自分のことは棚に上げて、田辺を非難していいわけがないと思うのです。

第1章とはまた別の形で考えさせられました。

この後第3~5章まで続いていきますが、今日のところはこの辺で終わりにしたいと思います。

続きが気になった!もっと深い内容が知りたい!という方は是非書店に足を運んでいただければなと思います。

ここまで衝撃を受け続ける小説は久しぶりでした。

このような素晴らしい作品を生み出してくださった湊かなえさんにはもちろん、この小説をオススメしてくださった方にも感謝しています。

悲劇の連鎖のように見える作品ですが、1人1人が全力で生きて、各々の正義に従った結末だったのだと思います。

小説ってやっぱり最高ですね。






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