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非日常とは一体何なのか①

非日常とは「ちょっとした興奮」だと思う。適度であれば刺激があって魅力的で生活を輝かせてくれるが、過度になると暴力的で狂気的で破壊的になる。その状態を長時間持続することはできない。限られた一時の間、触れることのできる、眩い輝きを放つ、狂おしいほどに魅力的な瞬間なのだ。

いつからか私は非日常についてとても興味を持ち、深く考えるようになった。

非日常が明らかになるまでのロードマップ

非日常に興味を持ったきっかけ

 私は芸術鑑賞が好きだった。クラシック音楽を聴くこともバレエやミュージカルを見ること、そういう種類の芸術は、目の前にパフォーマンスをする人たちがいて、彼らのテクニックや表現やエネルギーを間近で受け取り感じ取ることができる。

テーマパークや遊園地のような場所も好きだった。そういう場では非日常的な雰囲気の中に身を置き、別世界を味わうことができた。現実を忘れて夢のような感覚に浸ることができたからだ。

 また、私は古い場所や古いものが好きだ。綺麗なもの、美しいもの、巧妙なものを目の前にして、それらに全神経を集中させて味わうことに幸せと喜びを感じる。綺麗なものの中でも、まっさらに新しいものよりは、少し年期が入っていたり傷んでいたりしても重厚感がある、歴史の重みの感じられるものに親しみを感じるのだ。
なぜ古いものが好きなのか。それはそのものや場所がストーリーを持つからだ。それは私が来るずっと前からそこに存在し、いろんな人たちを見聞きし、いろんな経験をしてきたのである。そこにはきっと、いろんな時代でいろんな思いを持った人たちがいて、いろんな出来事やドラマがあったのではないかと想像をめぐらせる。
その瞬間、私はいつもの日常から少し離れて、別の時代に身を置いているような感覚を味わうことができるのだ。

 その場所、そのものを通して、今はもうその場所にいない別の時代の誰かと、対話しているかのような感覚でさえ得ることができる。
こういった古いものたちに多く出会える場所の一つがミュージアムという空間だった。

ミュージアムでのこと

美術館や博物館といったミュージアムには様々な「もの」がある。私はこういったミュージアム空間にあるものをじっくりと見るとき、あるいはものをじっくりと見る人たちに囲まれているとき、とても不思議な気持ちになり、不思議な感覚を味わった。見ている対象に引き込まれるような、自分自身が日常を離れるような感覚があった。
その空間には独特な静けさがあって、普段とは時間の流れるスピードが違うとさえ感じた。
美術館や博物館に行った時の事がとても印象に残り、ものを展示して、それを見る空間について、追求して見たくなった。

ブライダルの経験から

大学時代に結婚式場でアルバイトをしていた時、結婚式の披露宴では、いつも華やかで幸福感にあふれた、特別な時間・空間の中にいた。
しかしその特別な時間は有限であって永遠に続くものではなく、また様々な条件や要素がそろうことによって、そしてそれらを支える多くの人たちによって成り立っていた。
式場のスタッフとして働いていると、その特別な空間が現れる前の準備段階に携わり、最初は味気なかった空間をセッティングして飾りつけをして、お客さんを迎え入れるという、裏方として特別感を作り上げるという経験をした。
何気ない場所や時間を特別な瞬間や経験へと変身させたり演出したりしていたのだ。

非日常は意図して創り出せるのか

こういった経験から、非日常的な空間は意図して作り上げることができるものなのではないかという考えを持つようになったのだ。カフェやライブ、テーマパーク、旅行などの娯楽では、「非日常的ですごくよかった」というフレーズを聞くことが多い。 
そういったものを意図的に作り出してビジネスとして提供している人達がいて、皆それらのことに価値を感じてお金を払っている。
そこには、「経験や空間の消費」が存在しているのではないか。そしてそれらは今も今後もニーズが高くなっていくのではないだろうか。

ミュージアムという空間について追及することを入り口にして、非日常性の全貌を明らかにしていきたいと思う。

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