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Re:プロジェクトマネジメント 52

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

Re:プロジェクトマネジメント

本記事では、
形式知(PMBOK)+暗黙知(本マガジン過去内容)を再構成し、「Re:プロジェクトマネジメント」としてお届けします。

Re:プロジェクトマネジメント」の前提は以下のとおりです(再掲)
 目的:QCDバランスの確保
 課題:不確実性
 戦略:プロアクティブ戦略

本記事では、
「不確実性をどう解決するか」との観点で一貫して説明することで、PMBOKの知識や技法を「QCDバランスの確保」のために、使えるようになることを目指します。

今回は、
前回の記事で述べた「不確実性のもとでQCDバランスを図るには、全てのタスクや工程はできるだけ早く着手することが望ましい」との内容について、その理由を別な視点から説明します。

もう一つのスコープ

本マガジンでは、
プロジェクトマネジメントの実際にあわせて、QCDバランスの「Q」は単純な「品質」ではなく、「(品質を含む)スコープ」の意味と再定義して、QCDバランスを考えます(過去マガジンご参照)。

そのうえで、QCDバランスの確認は、
スコープ = 達成すべき成果物の全量 = 達成すべきタスクの全量とし、WBSの縦列にタスクの全量を定義し、各タスクを先行関係で右横に結びつけいった結果、全タスクの完了日が納品日よりも手前にあることを持って、QCDがバランスしていることを確認します(補足:Cのコストとのバランスは、各種見積手法によって確認されることが前提)

ご参考:
「Re:プロジェクトマネジメント」はプロアクティブ戦略を取るため、WBSはフォワードスケジューリング(タスク開始日は最早期着手日が基本)で定義されます。そして、全タスクの完了日が納品日よりも手前かどうかで、Q(スコープ)とD(納期)のバランスを確認します

一方、
プロジェクトの完了日を起点とするバックワードスケジューリングの場合、時間を遡るように左側に向けて先行関係が定義されていき、全タスクの開始日がプロジェクトの予定開始日よりも手前にあるかどうかで、QとDのバランスを確認します。

少し話が離れましたが、実は、
プロジェクトマネジメントでは、前述の「スコープ = 達成すべきタスクの全量」のほかに、必ず達成しなければならない「もうひとつのスコープ = もうひとつのタスク」があります。

それは、
「不確実性」の中でQCDをバランスさせるために必ず発生する「課題解決」というタスクです。プロジェクトには必ず「不確実性」があるため、QCDバランスを脅かす課題が必ず発生しますし、それに伴い当初予定にはなかったタスクが必ず発生します。それが「課題解決」というタスクです。

ちなみに、
これらのタスクは当初予定にはないため、WBSには定義されません。また、プロジェクトにおいて課題がどの程度発生するのか、課題対応にはどの程度のリソースと時間が必要なのか、必要なリソースは十分に確保されているのか等について、実はあまり議論されることがありません。

では、
私たちはこのQCDをバランスさせるために必ず必要な「課題解決」に対して、どのように対応すればよいのでしょうか。プロジェクトマネジメントにおいて、どのように考えればよいのでしょうか。

PMBOKでは、明確に扱われていませんが、実は、「課題解決」には、プロジェクトの「解決余力」を最大化する(最大限に利用する)ことで対応します。逆にいうと、この「解決余力」を超えて課題が発生するとプロジェクトは徐々に瓦解していきます。

解決余力

「解決余力」とは、次ような特徴をもつ二つの要素から成っています。

1)「課題解決」に当てられるリソース
課題解決に携わるPM・PMO、領域リーダー、ステコミ等のリソース。プロジェクトの調整能力(具体的には、週次定例や月次のステコミによる調整能力や決定能力)に限界があり、特に複数領域(複数組織)にまたがる課題の場合、同時に対応できる課題は10から15程度が上限となります。また、組織間の調整能力に依存するため、単純にリソースを増やしても能力を増やすことは困難です。

2)プロジェクトの残存期間
課題発生時からプロジェクト完了までの残存期間。課題が発生しているかどうかに関わらず(すなわち、課題解決に使われることがなくても)、時間の経過とともに自動的に少なくなり、最後はなくなります。また、ヒトやモノ、オカネのように後から追加することはできません。

こうした2つの要素の特徴から、
QCDがバランスする可能性をもっとも大きくするには、プロジェクトの「解決余力」を最大限に生かせるかどうか、が要諦となります。

具体的には、
同時に対応できる課題の量(組織間で調整できる課題の量)はプロジェクト開始から終了までほぼ変わりませんので、時を無駄に過ごさないよう(解決余力を無駄にしないよう)早期から課題(組織間の調整課題)をどんどん摘出(可視化)して、どんどん解決することがポイントとなります。

すなわち、それは、
いかに「不確実性に潜む『悪いこと』を早期に摘出できるか、いかに発生した『悪いこと』を早期に解決できるかに依存します。

そのためには、
「できるだけ早くはじめる」との条件でWBSを作ることが原則です。
(← 繰り返しの説明で少し気が引けますが💦。次号に続きます)

追伸:抽象的な内容が多くなってきており、
暗黙知を十分に言語化できていない可能性があります💦
・〇〇〇の部分が何言ってるかわからない。
・〇〇〇はこの理解でよいあっているのか。
・〇〇〇は間違い。
 こういうことではないのか。等、
お問合せは、コメントかこちら(DМ)から頂けると幸いです。
お気軽にどうぞ→https://note.com/think_think_ab/message

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