夜の首都高は近未来。 僕は君のことを考えながらハンドを握っている。 だけど君は他のやつの腕の中。 僕よりは君のことを大事しないやつ。 僕より君のことを知らないや…
好きになった時のことなんて、覚えていない。 気が付いたら、好きだった。 でも、なんでだろう。 もしかしたら、飼っている猫の話を聞いたときかな。 それとも、昔の学…
忘れない 私はこの瞬間を、絶対忘れないんだ。 ――・・・ お風呂場に重曹を撒いて、ピカピカに磨き上げる。 シャワーで浴槽を流し終わって浴室を後にすると、脱衣所の…
―元気? ―おう、元気 私たちは、このゲームの中だけで会話をする、仮想の友達。 だけど本当は、わたしだけが彼の正体を知っている。 彼がこのゲームの中のヒーローだ…
ものすごく重たい瞼を、ゆっくりと押し上げ、目覚めた。 無意識にスマホをつかんだ手を、引っ込める。 顔を洗って、歯を磨く。 それからゆっくりとコーヒーを入れて、丁…
「つまらないな・・・」 昨日まで面白いと感じていたお笑いも番組も、漫画も、全てつまらない。 何も感じない。 それでも、夜に一人で部屋にいると人の声が聞きたくなっ…
「別れたいの」 全くいつもの調子で、彼女は言った。夜の喫茶店だ。 「わかった」 僕は言った。 「なんでなのかな? 何がいけなかった?」 僕が聞くと、彼女はやっと…
ひとりの夜にその物語。
2024年2月15日 21:44
夜の首都高は近未来。僕は君のことを考えながらハンドを握っている。だけど君は他のやつの腕の中。僕よりは君のことを大事しないやつ。僕より君のことを知らないやつ。そいつのせいで君が泣いていることを知らないやつ。この宝石箱をひっくり返したような道を、ただ出口を探して走っている。君にたどり着きたいのに。遠いんだ。
2024年2月11日 23:17
好きになった時のことなんて、覚えていない。気が付いたら、好きだった。でも、なんでだろう。もしかしたら、飼っている猫の話を聞いたときかな。それとも、昔の学生生活の話を聞いたときだったかな。なんか可愛くて、静かで、いいなって、思った。それだけ。私のこと、見て欲しかった。特別にして欲しかった。もう諦める・・・そう決めている。だけど、お願いします。「大好きだよ」
2024年1月22日 20:50
忘れない私はこの瞬間を、絶対忘れないんだ。――・・・お風呂場に重曹を撒いて、ピカピカに磨き上げる。シャワーで浴槽を流し終わって浴室を後にすると、脱衣所の鏡に、あの時、あれだけ忘れることはないと思ったあの瞬間を、すっかり忘れてしまった私が映っていた。忘れないって、何をだっけ?いつからだろう、自分のことばかり考えるようになったのは。自分がどうやったら愛されるのか?どうや
2024年1月18日 21:20
―元気?―おう、元気私たちは、このゲームの中だけで会話をする、仮想の友達。だけど本当は、わたしだけが彼の正体を知っている。彼がこのゲームの中のヒーローだって知ったのは3ヶ月ほど前。職場の飲み会でのこと。酔っ払った彼が「やばい、この時間、このアイテムだけ回収しておかないと」とログインをした横にいた私は、何やってるんですかーと覗き見た。別に、覚えようとしたわけじゃない。
2024年1月14日 19:07
ものすごく重たい瞼を、ゆっくりと押し上げ、目覚めた。無意識にスマホをつかんだ手を、引っ込める。顔を洗って、歯を磨く。それからゆっくりとコーヒーを入れて、丁寧にメイクをしあげた。ゆっくり、ゆっくり動いた。そうしないと、ふとした振動で涙が滲んで溢れてしまいそうで。通勤用のフラットシューズに足を入れ、外へ踏み出す。ピリピリするくらい冷たい空気を肺一杯に吸って、吐き出した。
2024年1月11日 19:08
「つまらないな・・・」昨日まで面白いと感じていたお笑いも番組も、漫画も、全てつまらない。何も感じない。それでも、夜に一人で部屋にいると人の声が聞きたくなって、僕は音楽を聴いた。君の声はもう聞くことがないから。お気に入りの曲が流れる。それを歌っているのは、夢を叶えた人間。それだけじゃない、テレビに映っている人も、漫画を書いている人も、全員夢を叶えた人たちだ。部屋は冷え
2024年1月7日 21:14
「別れたいの」全くいつもの調子で、彼女は言った。夜の喫茶店だ。「わかった」僕は言った。「なんでなのかな? 何がいけなかった?」僕が聞くと、彼女はやっと少しだけ悲しそうな顔をした。「君にいけないところなんて何もないよ」何もいけないところがないのに、なぜ別れるのだろう。それが僕にはわからない。だけど明日からは「おはよう」のラインをしない。「昼何食べよう」も、「おやすみ」