#61 地域活性化の『メカニズム』
2024年5月某日
「地方創生」や「地域活性化」は随分と一般的なものとなり、あらゆるビジネス主体が標語のごとく掲げている。世はまさに、「大・地方創生時代」といっても過言ではないだろう。喜ばしい限りである。
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こういう時代だからこそ、あらためて、「地方創生」や「地域活性化」の目的について考えてみたい。まず、わかりやすい概念として「地方創生」の定義を確認してみたい。2014年に施行された「まち・ひと・しごと創生法(2019年に廃止)」には、以下のような記述がある。
この内容からすると、東京に集中する「人口の配分」が主たる論点とも受け取ることができる。では、「地域活性化」の定義とはなんだろうか。一意に定まった定義が見当たらないことから、世の中に様々存在する定義をChatGPTに要約してもらった。
この定義は、地域活性化業界に身を置く筆者からしても、特に違和感を感じない。雇用・産業・観光などの「しごと」が前に来ている点など、筆者の好みにも近い。
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さて、「地方創生」や「地域活性化」について、その意味や目的を概観してわかることは、「様々な目的が並列的に掲げられている」ということである。そのため、人によって様々な解釈が可能となり、プライオリティも異なることとなる。結果、「地方創生」や「地域活性化」の議論などをする際、「論点が噛み合わない」といった事象もまた起きている。
そのため、筆者としては、「地方創生」や「地域活性化」の議論をする際、そのメカニズムやモデルを前提に議論することを推奨している。
こちらの図は、経済産業省(2015)による、地域経済の循環モデルである。非常にわかりやすく、筆者も多用している。中身をのぞいてみると、基本的に地域が活性化するためには「地域の外からお金(外貨)を稼いで、地域の中でお金を循環(消費・投資など)させる」というシンプルなものであることがわかる。そして、「地域の外からお金(外貨)を稼いでくる産業」のことを「域外市場産業(観光業や製造業など)」と呼び、「地域の中でお金を循環させる産業」のことを「域内市場産業(サービス業など)」と呼ぶ。要するに、「よその県の人が、地域でお金をつかって、それで儲けた旅館の主人が、地元の居酒屋で飯を食ったら、居酒屋の主人も儲かり、納税額が増えて公務員もうれしい。」みたいな話である。
筆者は、文化や歴史という地域資源の研磨を通じた地域活性化を否定しないが、「経済的に、外貨を稼ぐこと」につながっていないものは、プライオリティが下がると考えている。「経済的に、外貨を稼ぐこと」ができることで初めて、税収が増えて文化資源等に行政が投資できる。この順序はゆるがないはずだ。
よって、筆者は地域活性化は「しごとづくり」であると考えている。みなさんの意見も聞いてみたい。
ほなら。
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