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『レザボア・ドッグス』、全く面白くない


 はーい、テツガク肯定です。


 ネタバレ全開です。
 苦手な方はお戻りください。
 ついでに、クエンティン・タランティーノ監督さんのファンの方も。
 そんなにいいことは書いていません。

 ただ、いつかタランティーノ監督さんに日本の国会答弁?
 とにかく、国会での会話劇を映画にして欲しい。
 そう思っている、という話です。





 最近、『レザボア・ドッグス』という映画を知り。
 このポスターにただならぬ可能性。
 何かヤバい話、面白い名作映画の香りがしました。

 それで観たのですが……。
 タイトルにあるように驚くほどにつまらない。

 つまらないってことを伝えるために。
 今、これを描いているわけではありません。
 確かに1割はそうかもしれませんが、残り9割の方が重要です。

 なぜ、私はこの映画をつまらない。
 面白くもない話だと思ったのか。
 それが、ハッキリとわかったんです。

 まるでデジャヴ、よくある日常のような話だった。
 少なくとも私には。

 正直、この映画にはストーリーなんてないようなものだと思っています。
 大事なのは登場人物の会話、これがこの作品のキーだと。

 特別なアクションシーンがあるわけでもなく。
 ただ延々と小話が続く、どんな小話か?
 ほぼ、この映画の半分は……。

 登場人物が自分の主張を喚き散らして。
 それに別の誰かが違う主張をぶつけ口論になり。

 待て待て、落ち着こうぜ!
 落ち着いて考えようぜ。
 どうして失敗したか、これからどうするか。

 この繰り返し。
 まるで、この国の国会中継。
 というより、日本人的なコミュニケーション。

 そうだね、が言えない。
 自分はお前とは違うって主張するのが。
 動じずモノを言えるアメリカ人な自分。
 そう思っているような感じ。

 最近になって思いますが。
 この国には忍者なんかいなくて。
 戦国時代頃からアメリカのスパイが忍者として活動していたんじゃないか?
 そう思えてきます。

 アメリカ人の方が忍者です。
 見事に同化して姿を隠します。

 例えば、日本人が「私、クリームソーダが好き」って言えば。
 アメリカ人は「クリームソーダ最高だよな、俺も毎日飲んでるよ」だなんて返す。
 だけど、今、注文するのはドクターペッパー。
 日本人が全員、クリームソーダを注文しても。
 独りドクターペッパー。

 「さっき、クリームソーダ好きって言ったよね?」って聞けば。
 「好きだよ。毎日飲んでる。だから、たまには違うのが飲みたいんだ」だなんて。

 昔の私も、今の私もこう察します。

 それは場の空気を楽しむために言ったことで。
 本当にクリームソーダが好きとは限らない。
 そして、本当に選ばないといけない時、決めないといけない時。
 その瞬間にだけアメリカ人は自分を表す。
 それ以外の多くの時は、相手を理解することに徹する忍びである。

 アメリカ人にとっては毎日が情報戦。
 先に自分を主張したら不利になる。

 ところが日本人はところかまわず。
 自分、自分、自分……目立ちまくり。
 目立ったら忍者ではないんです。
 全く、耐え難きを耐えず、忍び難きを忍んでいません。
 撃ってくれと言わんばかりに目立つ振る舞いをしている。

 まるで、レザボア・ドッグス。
 そういうターミネーター。
 人類を滅ぼすようにプログラムされ。
 未来から送り込まれたターミネーター。



 話が逸れましたが。
 今の私からすれば、うんざりするほど見てきた日常を。
 わざわざ映画にされても全く嬉しくないのは当然です。

 私が映画に求めるのは非日常。
 今は忘れてしまった、かつての日常。
 そういう帰るべき故郷を思い出せる時間。

 相手を理解する気なんて1ミリもなく。
 ただただ自分の主張をぶつけるだけの。
 オナニー中毒者の話なんか、もう間に合っているんです。

 国会とか謝罪会見とか。
 スーツを着て小難しい話をする。
 そういう論理的な知識人と言われる人を見れば。
 好きなだけレザボア・ドッグスの会話シーンを楽しめます。



 もちろん、この映画も凄いものはあります。
 登場人物の名前が色であることとか?
 多くの映画が1、2、3と進むところを1、3、2と進めている。

 ですが、この程度の小技……というより全ての小技は。
 何れ珍しくはなくなる、魅力ではなくなる。
 というより、当時でも珍しくはなかったり?

 それに何より。
 前半、2人で何があったか話していた時は。
 さぞ凄い計画で、とんでもない銃撃戦だったのだろう。
 そう思えたのですが……。

 この映画の大半、オナニー中毒者の会話を聞いていたら。
 ホントにこの人達プロなのか?
 ピンクさんあたりは俺はプロだと言っていましたが。
 一番、どうでもいい注文が多いのはピンクさんで。
 ほぼ毎回、最後には自分の意見を下げるはめになる……。


 もう一度言います、本当にプロなのか?


 ネタバレになりますが。
 後半、抜けていた場面になるのですが……。
 当時の映像技術、あるいは製作費の問題、監督さんのセンスもありますが。

 もの凄く、バカげた絵になっている。

 強盗をする前にビビって逃げ出したんじゃないか?
 そう思えてしまう感じに……。

 つまり、本当はたいしたことのないことを。
 さも大層で立派なもののように仕立てる……。
 まるで、どこかの国そっくり、この日沈む国そっくり。

 スピード感を伴う危機感を持って。
 かつてなく前例のない戦後最大のバイオレンス国産映画の製作を。
 あらゆる可能性と選択肢を排除せず、慎重に注視し見極め。
 2000年後までに最善を尽くし、完成させる計画を加速させる検討を現在しています。

 こういうのが好きな人には。
 たまらない映画だと、やっとわかりました。
 アメリカ人にはとても新鮮なんだと思います。
 笑えるほどに珍しく新しい。
 ですが、今の私には笑えない日常。

 ですから、最初にも言いましたが。
 是非、タランティーノ監督さんには。
 この国の国会、あるいは多くの人がしてるコミュニケーション。
 それを『7人の賢い日本人』だなんてタイトルで。
 小話を鍵とした映画を作ってくださったら……再び大ヒット間違いなし?

 冗談や皮肉に嫌味ではなく。
 本当にそうなったら、今度こそ私もこれは面白い!
 そう思える映画になるかも……と思っています。

 この映画では俳優としてもタランティーノさんは出演していましたが。
 かなり知的でいい人な印象で、名優って感じです。

 たしか、ブラウンでよかったはず……。
 『パルプ・フィクション』の時も、滅茶苦茶な二人が静かになるってのがよかったですね。
 『デスペラード』って映画にも出演していて。
 その時の小話は面白かったです。

 バーテンを怒らせず。
 むしろ喜ばせて、バーで放尿するって話。
 なるほど、と思いましたね。

 それで隣の人が撃たれた後の反応とか。
 もう完璧でした。
 汚れたトイレの壁を気にする仕草とか。
 俳優としても凄い。



 それに、このポスターです。



 まるで、『オーシャンズ11』そっくり。

 この映画が1992年1月18日の公開で。(アメリカで)
 オーシャンズ11が2001年12月7日。

 ということは、この映画が与えた影響もあったり?
 とにかく、1992年にこれはかっこよ過ぎます。

 きっと、オーシャンズ11よりもスマートながら。
 オーシャンズ11にはない危なさが……。

 そう思いましたが。
 残念ながら今の私には見つからなかったです。

 タランティーノ監督さんの映画。
 『パルプ・フィクション』に『ジャンゴ 繋がれざる者』。
 そして、今作と観ましたが、どれもイマイチ……。

 唯一、『ジャンゴ 繋がれざる者』という映画では。
 自分も物語を描きながら、こういうことやらかしているから気をつけよう。
 もちろん、私の方がそれをやり過ぎている、という意味で。
 そう気づけたのが大き過ぎる収穫。

 ですが、最近知ったのですが。
 ビデオショップから映画の世界を支配したという話には。
 凄い話だと思いました。

 何れ、私にとっての『スタンド・バイ・ミー』みたいに。
 その魅力に気づけたらいいと思いながら。
 一方で、真面目にタランティーノ監督さんなら。
 この国って欺瞞をどう映画にするのか。

 だなんて想像して楽しんでいます。

 ホント、タランティーノ監督さんの映画みたいに。
 あっさりと消え去ってくれたらいいのに。

 ああ、酷い夢を見たな、忘れちまおう。
 今日はみんなと『パルプ・フィクション』観に行くんだ。

 そういう朝に目覚めるように。





 それでは、また次の機会にお会いしましょう。










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