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時をかける少女 (1983年の映画)を観た


 はーい、テツガク肯定です。

 YouTubeにて『時をかける少女 (1983年)』を観ました。
 これを描き終えている頃には。
 公開期間が過ぎているのが残念ですが……。
 観終えた私なりの考察を残したいと思います。

 つまり、ネタバレ全開ってわけです。
 どうか、苦手な方はお戻りください。





 この映画は2006年のアニメ版より難解だと思います。
 何が難解かと言いますと……タイトルの意味がわからない。

 時をかける少女なのに。
 誰が、いつ飛んでいるのか、わかり難い。
 少なくとも愚かな私には全くわからない。

 観終えて。
 なんか変だな……と考えて。
 やっと、最近気づきました。

 これは11年後の研究者になった芳山さんのタイムリープ。
 そういう物語かもしれない、と。


 まず、冒頭はかなりわかりやすい導入になっています。
 物語は、白黒のシーン、ゲレンデから始まります。
 そこで深町さんって少年に出逢います。

 そうです、出逢います。
 おそらく、この時、深町さんが未来から飛んで来たんだな、と。
 それは私でも気づきます、愚かな私でも観たらすぐに。

 深町さんの分のスキーがなかったり。
 同級生との距離感があったり。
 というより、深町さんがぎこちなかったり?
 今日、初めて出会った人のように。同級生の方は自然ですが。


 それから列車のシーン。
 ここから映像に色がつき始めます。

 君は中間色……ではなくて、『君は天然色』。

 想い出はモノクローム
 色を点けてくれ
 もう一度そばに来て はなやいで
 美しの Color Girl

 この映画の場合『Color Girl』というより。
 『Color Boy』かもしれません。

 そうです、『Color Boy』。
 深町さんが芳山さんの記憶。
 その想い出に色を点けていく。

 つまり、このカラー映像の部分は。
 特別ということだと今の私は思います。
 『メメント』って洋画のように白黒とカラーでは違う。

 今の私からすれば、この映画の場合は。
 白黒は記憶で、カラーがタイムリープ。

 白黒のゲレンデから始まり。
 後半にはカラーの実験室がモノクロになる。
 それから、時間を大きく飛んで芳山さんは薬学の研究者。


 深町さんのタイムリープ?
 となると、タイトルが不思議ですし。
 本編でも深町さんは。
 芳山さんがタイムリープしている、と言います。
 (深町さんもしてきましたがね)

 ですが、映画を観ていると。
 芳山さんが意識的に、時をかける、という具合ではありません。
 時をかける少女というより、時を彷徨う少女、夢遊病の如く。

 中盤の夜道で助けてくれたのは。
 本当に深町さんかもしれません。
 あの時点で、無意識に同じ個所を彷徨い続けていた。

 時系列がぐちゃぐちゃですが。
 後半、深町さんと一緒に飛ぶ前に受けた警告。

  時空間を彷徨う、時の亡者になっちゃうんだぞ?

 これは後半の台詞ですが。
 深町さんの心配通り、中盤の夜道のシーンは。
 土曜日の実験室へ行くはずが。
 何度も同じ日を繰り返す芳山さんを助けに来てくれた?
 土曜日より地震の前後(月曜日)の方が、印象の重力が強いのかもしれません。

 時間って想像よりもバラバラのようです。
 『メメント』って映画のようなものかもしれません。
 ただ、盲目的に1、2、3、4、5へ自分が進んでいると思っていますが。
 本当は、3、1、4、5、2と進んでいても、それに自分が気づかなければ。
 なんの問題もありません。

 初めて、この手の映画を観るのなら。
 それでも、時をかける少女だと思うのかもしれませんが。
 アニメ版の意識的に自由自在に飛ぶ姿を知ってしまうと。
 やはり、かなりの疑問符でした。

 それで、しばし考えて気づきました。
 これって研究者の芳山さんのタイムリープ?

 映画の後半で。
 深町さんと一緒に飛んだ高校生の芳山さん。
 独りはぐれて、これまでの記憶を辿ります。
 種明かしのシーンですね。

 あんな具合で、自分の記憶を辿れるとしたら?
 そうです、この映画のカラーの部分は。
 最後のシーンで振り返った芳山さん。
 研究者の芳山さんが、あの人、どこかで見たな?
 そう思い出し始めて、意識的に飛び始めている。

 そういう時をかける少女が、この映画。
 だなんて、今の私は思っています。

 そうなると……。
 つまり、あの二人は再び出逢ってる。

 深町さんは忘れて気づかないと言いましたが。
 ちゃんと芳山さんは薬学の道を進んだ。
 しっかりと痕跡を覚えていた。

 見つけたぞ、エイハブ船長。
 浮かぶ時間だ……だなんて具合に。



 実に馬鹿げた考えのはわかっています。
 それが、ターミネーターの日本人には理解し難いのも。
 ただ、この映画の冒頭の文言。

 ひとが、現実よりも、
 理想の愛を知ったとき、
 それは、ひとにとって、
 幸福なのだろうか?
 不幸なのだろうか?

 だなんて、観た人に託すような始まりなのですから。
 好き放題に捻じ曲げてしまうのは基本じゃないですか、『坂本文法』。

 どうでもいいですが、私も物語を描いていて。
 自分でも気づきもしなかった答え。
 それに後から気づいて、それを活かすために描き直すことは多々あります。

 なんと言いますか。
 まるで、その時は無意識にITを使ったけど。
 後になって見たら、ITは未来からの贈り物だったり。
 それくらい、話の基礎になっていたり、ペニーワイズ現象。

 その時、いくら考えても。
 絶対に気づけないけど、その先ではそれが最も重要だとわかる。
 そういうことはよくあります。

 私がこの映画を11年後の研究者になった芳山さんのタイムリープ。
 そう考えるに至った細々とした理由は他にもありますが。
 それはまた後日。


 もちろん、監督の大林宣彦さんが。
 そういうつもりでこの映画を作った、だなんて思えませんが。

 なぜなら、あまりに丁寧でわかりやすい導入だったため。
 11年後の研究者の芳山さんのタイムリープの話なら。
 もっと、ハッキリとスッキリとオーバーステアで決めてくる……。
 そうアンダーステアの使い手の愚者は考えています。


 それでは、また次の機会にお会いしましょう。









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