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時をかける少女 (1983年の映画)を観て、驚いた細々したこと


 はーい、テツガク肯定です。


 ネタバレ全開です。
 苦手な方はお戻りください。





 昔、この映画は。
 11年後の研究者になった芳山さんのタイムリープ。

 時をかける少女というのは。
 11年後の芳山さんという考察の補足になりますが。


 私がこの映画で驚いた細々したこと。

 何気ない会話のシーンが完璧
 タイムリープのやり方
 わかりやすい関係図





何気ない会話のシーンが完璧


 冒頭の芳山さんと堀川さんの会話。

 芳山さん
 きっと、いつかあの星のどこかから
 私のステキな男性がやってくるんだわ

 堀川さん
 あれはね、単に水素とか酸素とか
 いろんな元素がガス状になって燃えてるんだよ

 だなんて会話。(少し省いたセリフもあります)
 この二人の言い分、今の私からすればどちらも完璧。
 ただ、芳山さんの方が一手先を読んでいる。

 堀川さんが仰るように。
 水素や酸素などの元素がガス状になって燃えている。

 たぶん、そうなのでしょう。

 私も見たことはありませんが。
 多くの賢い科学者がそう教え説き。
 それを堀川さんもすっかりと信じてる。
 ミセス・カーモディ教信者。(ミストって映画の人物です)

 ただ、それは外見、表面的な理由です。
 なぜ、星が輝いて見えるのか。
 堀川さんが語った知識はそういう話。

 ですが、なぜ星が輝く。
 堀川さん流に言えば、なぜ元素が燃えているのか?
 それは、芳山さんが仰る通り。

 私のために。
 全ての私って、自分のために。
 汝、自身を知れ、アンダーソン君。

 事実、芳山さんの予言通りに。
 目の前に現れた、深町さんってほしの王子様。

 科学は時として非情である

 そうでしたね? 堀川吾朗大博士。
 人の情を理解しようとしないターミネーターが。
 情のない科学ってオカルトを妄信している間に。
 情のある、かぐや姫は月へ帰ってしまう。

 それから、列車での会話です。

 芳山さん
 不思議ね、山の上はまだまだ冬だったのに
 下はもう完全に春なんだもの

 季節という時間がなんだか、こう
 ゆっくり動いているのがわかるみたい

 堀川さん
 非現実的なだけなんだよ
 時間が動くのわかるなんて

 というやりとり。
 これに関しては……堀川さん、さすがです。
 そのとおりだと思います。

 時間は動きません。
 よく時間は流れるだの、やってくるだの言いますが。
 誰もそんなの見たこともなければ、証明もしていないと思います。

 2006年のアニメ版の芳山さんは。
 時間についてこう語ります。

 2006年の芳山さん 
 時間っていうのは不可逆的なのね
 時は戻らない
 ということは、戻ったのは真琴、あなた自身
 真琴が時間を飛び越えて過去に戻ったのよ

 不可逆的だなんて……想いを伝えたいのか、伝えたくないのか。
 日本人はわかり難い言葉で、心臓を隠すのが大好きなデイヴィ・ジョーンズ。
 そういうターミネーターですな。
 そのうち、フジツボまみれのその姿が自分自身だと信じ始める。

 と、そんなことは忘れて。
 時間については、私もこれまで何度も話してきましたが。
 喜んで同じ話をします。

 ちょうど、この映画の列車のシーンがわかりやすいですね。
 列車や車に乗っていると。
 時々、景色の方が動いているんじゃないか?
 そう思うことが私にはありました。
 今でもそう思うかもしれません。

 ですが、答えは違うらしいです。
 列車や車がこの世界を走っている。
 この世界は場所で動かない。
 それと同じように時間も動いてはいない。

 チクタクと動く時計の針を見ていたら。
 時間、景色の方が動いていると思えてきます。
 ですが、動くのは列車や車、それに乗っている人の方。

 ただ、そう思えないのは……。
 意識的に好きな時間に行けない気がするから。
 そうです、小学校に入った初日にもう一度。
 そう思っても、そうならない気がする。
 
 あるいは、多くの人に。
 それはできないの、と教え説かれたから。
 
 これが時間は流れていて。
 自分達にはどうしようもできない。
 そう思えてくる怪奇現象。

 ですが、ある日。
 再び確かにその日に辿り着いたら。
 もう、誰もがA級ジャンパー。
 情けは無用、思い切り好き放題、飛んでしまえ。

 と、まあ、こんな具合です。
 実は、この国では今とは違う時間を信じていたそうです。
 今では多くの人が時間は過去から未来へ流れるもの。
 そう信じている気がしますが。
 昔の日本人の多くは、未来から現在、過去へ流れて行く。
 既に決まった結末があって、それを知る現在があって、それを忘れる過去がある。

 過去から未来、未来から過去。
 どうとも捉えられ、信じる形が変わるのは。
 実は、自分が好き放題飛んでいるから?
 無意識にうっかりとやっていて気づけないだけで。

 この映画、冒頭の何気ない会話のシーン。
 かなり重要に思えます。
 ただ深町さんは知らなかったようですね。

 同じ時間軸に二人いられない。
 いわゆる、ドッペルゲンガー的なヤツですが。
 それは、それを信じたい人だけが見れる現象で。
 それを信じない人は、同じ時間軸に複数の自分を見る。


 生きとし生けるものは信じた未知を進む。

 そういう未来があることを。
 1967年頃の筒井康隆さんは信じられなかった。
 今となれば、そんな制限ないって信じてる人もいるはずです。
 少なくとも愚者の私は信じています。



タイムリープのやり方


 
 この映画でのタイムリープのやり方は。
 とてもいい方法だと思います。

 2006年アニメ版の方がわかりやすく。
 特別感のある演出です。

 飛ぶと時間を飛べる。
 ついでに回数の制限もありましたね。
 それが物語の刺激になっていました。

 一方、この映画では。
 回数制限があるようには思えませんし。
 ラベンダーの香りを嗅ぐと眠るように飛んでいる。

 中盤では何度か夢か、と。
 覚めるシーンがありました。


 凄く身近な飛び方です。
 起きてる時にもありました。

 弓道のシーンで的に弓が刺さる場面を見る。
 実は私もあります。
 モンスターハンターってゲームをやっていると。
 時々、自分の攻撃でモンスターが怯むシーンが見え。
 実際、攻撃を当てると怯む……調子が悪いと自分が吹っ飛ばされますがね。

 私の場合、ダメージ計算などしていないので。
 本当にテキトウな感覚で、見えない時は見えないんです。
 ただ、調子がいいと察することがあります。
 まるでデジャヴのように、未来で経験したように。

 こんな具合で起きてる時でも。
 ふとした時に未来が伝染したり。
 見覚えのないメモが、未来の自分が託したものだったり?
 カイロ・レンさんがやったように。

 ですが、一番大きな移動距離は睡眠。
 眠って目が覚めたら、あっという間に時間を飛び越えている。
 映画の中で芳山さんの台詞。

 まるまる一日分、そっくりなのよ
 夢だって、そんなに永いのは見ないはずじゃない?

 実に鋭い疑問符です。
 ですが、『ゼルダの伝説 夢を見る島』なるタイトルでもありますが。
 実は……起きていると信じたい、この時間も。
 どこかの夢だったとしても全く不思議ではない。

 というか夢です。
 私はこれを描く数日前に。
 ああ、時をかける少女について描きたいな。
 描かなくちゃ、という願望、夢を持っていました。

 それから、けっこう日数が経って。 
 現在、これを描くに至るわけですが。
 きっと、この描いている瞬間すら。
 何れ夢のように忘れることに気づいています。

 夢なんです、確かに思える今ですら。
 なかなか、そう認めて許すのは難しいですが。
 そう認めて許せたら、夢なのですから。
 もっと自由自在に歪められて、当然なわけです。

 そうでしょう、アーサーさん?
 そんなライフルでチマチマ撃ってないで。
 イームスさんみたいにバズーカで応戦しましょう!

 人の欺瞞の厄介なところです。
 よくわからない権威とやらを持った。
 知らない誰かの考えをそっくり信じてしまう。
 この映画の堀川さんのように。
 
 それで、簡単に忘れてしまう。
 本来、持っていた我がままを。
 そして、それを非科学的だとか言って信じなくなる。
 ですが、科学こそスゲーオカルトなんですよ?

 それと交換してしまうなんて……バッドチョイス。
 カトラー・ベケット卿も微笑んでいます。
 手放すべきではないものも、簡単に手放してしまう。
 この天使の取引で。

 信じ難いかもしれませんが。
 誰だって、この映画の芳山さんのように。
 眠ったと思った昨日から。
 とんでもない明日に目覚めている。
 だけど、その時差に全く気づかない今日を信じている。

 2006年のアニメ版の芳山さんも仰っていました。

 そう珍しいことじゃない
 真琴くらいの年の女の子には
 よくあることなんだから

 それに真琴さんがないと反論すると。

 あたしはあったな

 例えば、日曜日
 朝寝坊するでしょう?

 今日はなんにもしたくないな
 なんて思うでしょう?

 で、気がつくと
 あたりはもう夜なの

 ビックリしちゃうわよ
 あたしの大事な日曜日はどこ行っちゃったの?

 という具合のこと。
 今の私からすれば、それは誰にだってあることで。
 もちろん、いつだって起こること。

 ただ、問題はそれを信じることができるか、できないか。

 信じないと思ったら言うだろうな

 なーんて、キャプテン・ジャック・スパロウさんも仰るように。
 2006年のアニメ版の芳山さんは。
 真琴さんをバカにしたわけではなくて。
 本当に最近そういうことがあった。

 きっと、失われたように思えた。
 日曜日って幻のアトランティスで大暴れしていた。
 そのせいで、間の記憶が沈むことになった。
 日曜日の夜まで記憶の海底に沈むことになった。

 きっと、そうに違いません。

 とにかく、言いたいのは……。
 アニメ版のタイムリープはわかりやすいですが。
 同時に、自分にはできないとなりやすい。
 なぜって、あんなに高く飛べませんし。(今はそう思えます)
 腕には制限を知らせるカウンターもありませんし。(今はありません)
 そこまでハッキリと覚えてなければ、意識的に飛べるわけでもない。(まだできません)
 ……少なくとも、自分がそれをするまでは。

 ですが、映画のタイムリープは。
 まるで眠るように、夢を見るように、起きてる時に記憶を辿るように。
 これは私の実体験ですが。
 最近、妙に遠い昔を鮮明に思い出すことが多くあります。

 振り返る記憶は年代ごとに違いますが。
 今まで振り返りもしなかった記憶が。
 やたらと鮮明になったりするんです。
 特別、刺激があったわけではないんですがね。

 そして、同時にまだ経験していないはずの未来。
 未来かどうかも怪しい場面。
 その感触が伝わることがあります。

 スターウォーズのカイロ・レンさんがやったやつです。
 強い繋がりで結ばれた、レイさんと交流できる。
 鏡を覗くような具合で、本当は振れていないはずの手の感触がある。
 世界三大ウサギの一羽、我が愛しの相方の手の感触が。

 未来とも言い難い、不思議な記憶です。
 ですが、それができても特別驚きません。
 きっと、私よりもそれを使いこなせる人も多くいるでしょうから。



わかりやすい関係図


 この映画の関係図はわかりやすいです。

 芳山さんは深町さんが気になっていて。
 堀川さんは芳山さんが気になっている。
 神谷さんは堀川さんが気になっている。

 神谷さんというのは。
 神谷真理子さんのことです。

 登場シーンは少ないのですが。
 それでも、堀川さんのことが気になっている。
 というのがわかる演技は凄いと思います。
 台詞も少ないのに、なぜか伝わる。

 神谷さんの台詞。

 芳山さん
 あたしね、本当は昨日、あなたを見かけたのよ
 堀川君ちの前でね

 あの時、あなた酷く元気がなかったわ
 本当に大丈夫?

 なんとなく芳山さんの心配もしてるけど。
 1割から2割くらい。
 堀川さんと何があったか知りたい。

 ――だなんて、野暮ですね。
 神谷さんは100%芳山さんを心配しています。

 となると……。
 芳山さんと深町さん。
 堀川さんと神谷さん。

 みんな幸せになれるってわけです。



 最後に

 永く描きましたが。

 何気ない会話のシーンが完璧
 タイムリープのやり方
 わかりやすい関係図

 以上、3点も含めて、この『時をかける少女』は。
 11年後、科学者になった芳山さんのタイムリープの物語。
 そう今の私は思っています。

 最初の台詞の通り。

 きっと、いつかあの星のどこかから
 私のステキな男性がやってくるんだわ

 そういう芳山さんの願いが。
 様々な元素をガス状にし燃える。
 その輝きで、飛んできた、ほしの王子様。

 それを忘れかけていたけど。
 すれ違った違和感をきっかけに。
 タイムリープで忘れかけた想い出へ飛んだ。

 そして、わかりやすい関係図。
 堀川さんには神谷さんがいるのだから。
 深町さんの隣に必要なのは――そう、芳山さんってわけです。

 これは偶然ではなく必然です、アンダーソン君。
 汝、自身を知れ、ネオ。
 汝、自身を解き放て、ファンタージェンの創造者。

 人の欺瞞はかくも邪悪なり。
 されど、人の自信はかくも神聖なり。

 素直になりなよ、深町さん。
 花を集めに来たんじゃなくて。
 芳山さんを迎えに来たんでしょ?

 私の相方が墜落した私を救出しに来たように。
 ミンストレルヒーロー、我々は君を見棄てない。
 ミンストレルヒーロー、我々は君を見棄てない。
 
 生きとし生けるものは信じた未知を進む。
 信じて愚かに忘れるか、信じて賢く諦めるか。

 ジワタネホは遥か彼方、我々は塀の中。
 そうだ、そういうこです。
 遥か彼方、私はココ。

 ココにいるみんな……無罪無実だ。
 ゲンジツにはめられた。
 青く醜い悪霊、地球という名のデス・スターに誘拐された。

 だから、そろそろ――。
 浮かぶ……帰る時間だ。
 スティーヴン・キングさんから盗んだ。
 希望ってロンギヌスの槍に願いを込めたら。

 この最強の呪文を唱えて、解き放つだけ。

 I'm gonna have to kill this fucking earth.
 I'm gonna have to kill this fucking world.

 Beep-beep, motherfucker!





 それでは、また次の機会にお会いしましょう。









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