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広報PRの5年間を振り返ってみる。「本田事務所5周年」に寄せて。

本田事務所は今月、5周年を迎えた。

2019年4月。「令和」の訪れとともに、日本初のPR戦略立案に特化したファームとして本田事務所は始動。おかげさまで素晴らしい仕事と仲間に恵まれ、5周年を迎えることができた。感謝しかない。ありがとうございます(設立の趣旨や僕の想いはこの記事に詳しい)。

というわけで、この節目に、広報PR領域と本田事務所の5年間をざっくり振り返ってみようと思う。

2020年。「コロナ禍」がすべてを変えた

2020年があけるなりやってきたのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。独立した矢先にどうなることやらと思ったが、先行き不透明な世の中になったことで、むしろ本田事務所への相談案件は増加した。物理的なオフィスを持たずリモートベースで進行するサービススタイルなども、結果的にはコロナを経て確立したと言えるだろう。ともあれ、コロナ禍で広報PR領域のサービスや働き方も大きな影響を受けた。

「オンライン記者会見や非対面のメディアリレーションズが日常に」という今は当たり前のことが、当時の調査でも予測されている。そんな中、本田事務所として立ち上げた事業が、成長型PR人材データベースの「SCALE Powered by PR」だ。ベクトルグループと共同事業として始動した(2023年にプラップジャパンも参画)SCALEは、PR人材マッチングとアカデミーの両輪構造。今年5期目に入り、会員登録は1200名を突破している。

2021年。「パーパス」への関心が高まる

引き続き世界的なコロナ禍で迎えた2021年。ニューノーマルという言葉も定着し、広報PR領域にもいろんな変化が訪れていた。この年、関心が高まった概念のひとつが「パーパス(企業の社会的存在意義)」だ。経営、マーケティング、そしてPR領域では特に企業広報・コーポレートコミュニケーションの領域に密接なパーパス。すでに存在していた概念ながら、日本では『パーパス経営(東洋経済新報社)』をはじめ、パーパス関連書籍の刊行が相次いだ。

そして、企業経営においてパーパスと密接な概念でもある「ナラティブ」。2021年5月に、コロナ禍の中で書き進めていた僕の『ナラティブカンパニー(東洋経済新報社)』が刊行された。

パーパスやナラティブは、現代的な経営レベルの概念だけれど、その実装においてはパブリックリレーションズとの関係も深い。こうした概念がビジネス界に広く浸透し始めたことは、「PR=パブリシティ(メディア露出)」と捉えがちな日本では、広報PRの価値向上につながることだったと思う。

2022年。「ひとり広報」への注目

さて、パーパスやナラティブがどちらかといえば大企業の文脈で語られていたのに対して、スタートアップ界隈では日々孤軍奮闘する広報担当者が増え続けていた。パーパスもナラティブいいけれど、とにかく目の前のリリースを明日の朝までに書かなきゃいけないーー「ひとり広報」の急増だ。

スタートアップが増え、広報の重要性も以前より認識されるようになったこと、広報のカバーする領域が広がったこと、などがその背景にはある。広報PR従事者の底上げと見れば業界的に喜ばしい面もあるが、右も左もわからない担当者の苦悩も顕在化しつつあった。こうした中、2022年には「ひとり広報」関連書籍の発刊も相次ぎ、また日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)も実態調査を行うなど本腰を入れ始めた。

2023年。コロナが終息し、「広報の定義」発表へ

3年に及んだコロナ禍にも、ようやく終息の兆しが見えた2023年。大型連休明けの5月に、新型コロナウイルスは「5類」に移行し、日本はその長いトンネルを抜けたのだった。そんな中、6月には日本広報学会が最新の「広報の定義」を発表した。広報を「課題解決」の手段としたこと、SNSでの発信も加味して主体を「組織や個人」としたこと、「経営機能」だと位置付けたことなど、ここ数年の潮流が反映された定義となった。

さて、コロナ終息後の本田事務所はというと、相変わらず忙しい毎日を過ごすことになった。前年末に発刊した『パーセプション(日経BP)』の影響もあって、コーポレートであれ商品であれBtoBであれBtoCであれ、PR戦略の狙いには「パーセプションの獲得や変容」がある、という共通認識が強まった。

そして、2023年8月にはアジア太平洋全体への業務拡大を目的に、シンガポールに「Honda Office Singapore」を設立。僕自身もシンガポールに移住して、文字どおり「本腰」を入れることになった。迎えた2024年、アジア市場でのプロジェクトもいくつか始動。さらに嬉しいことには、直近の仕事が、アジア最大級の広告祭「ADFEST」のPR部門でグランプリを受賞するという快挙にも恵まれた。

というわけで。毎日を必死に仕事をしてきたけれど、こうやって振り返ってみると、本当にいろいろな事があったし、さまざまなチャレンジもさせてもらった。コロナ禍という世界的な共体験を経た、皆さんの5年間はどうだったろうか?

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最後に、これまでお世話になったクライアントの皆さん、パートナー企業の皆さん、フレキシブルチームの仲間の皆さん、そして業界の全ての皆さん。本当にありがとうございました。次の5年に向けて、走り続けたいと思います。


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