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「認知」だけの時代は終わった。新刊「パーセプション 市場をつくる新発想」の「はじめに」を発売前に全文公開!!

11月7日に、僕の新刊『パーセプション 市場をつくる新発想』が刊行されます。パーセプションとは「客観的な認識」のことです。

「このお菓子、昔からあるから知ってる。でも子供向けのものだから買わない」「あの会社、有名だから知ってる。でもブラックらしいから入社したくない」ーーこれらはすべて、知名度や認知度はあるが、認識(パーセプション)が好ましくないため成果が出ない、ということ。マーケティングや広報PRのみならず、企業経営や事業開発にもとっても重要な考え方です。もはや、「知ってもらってる」だけではダメなんですね。

パーセプションは結果的に世の中や消費者の中で生まれるものですが、世の中でヒットした商品や話題になったことの背景には、何らかのパーセプションが関係していることが少なくありません。

「ヒット商品や世の中の話題を、PR専門家の視点で切っていく連載ができませんかね?」ーーコロナ禍になる直前の2019年に、日経クロストレンド さんにそうお声がけいただいたのが始まりです。「だったら、”パーセプション”を主題にしましょう!」と僕が提案して、連載は開始されたのでした。ありがたいことに人気になった連載も2年を超え、それをベースに生まれたのが本書です。

本書では、パーセプションが形成されるメカニズム(5つの要素)や、マーケティングや企業経営、広報PRの実務で活かせる活用法を最新事例とともに、とことん解説しています。

パーセプションをつくる5つの要素

その詳細は、もちろん本書でしっかりと学んでいただきたいわけですが、今回は「はじめに」の部分だけを以下に全文公開したいと思います。

はじめに

なぜ、「みんなが知っている」だけでは、モノやサービス売れなくなったのか?

これが、本書が一貫して問いかけるテーマであり、その解決策として提示されるのが、本書のタイトルでもある、「パーセプション=客観的な認識」という発想だ。

冒頭の課題を、もう少し分解してみよう。

ー認知度は100%近いのに、なぜ売り上げが上がらないのか
ー歴史あるブランドが、どう若年層(Z世代)にアピールすべきなのか
ー社会の中で、ブランドの存在意義をどう定めればよいのか
ースタートアップは、とにかく広告で認知度を高めればよいのか
ー新しい市場をどうやって生み出せばよいのか

これらに思い当たる節があれば、本書を読む価値があるはずだ。

詳細な定義は1章で解説するが、「認識」や「知覚」と訳されることの多いパーセプションとは、平たく言えば、「モノゴトの見え方や捉え方」だ。物理的なモノや事象は、それ自体の存在と「見え方」は話が違う。見え方や捉え方というものは、人によって異なり、時代によっても移り変わるからだ。

現代的なマーケティングにおいて、パーセプションの正しい理解は不可欠である。SNSが浸透し、企業と消費者が対等になった世界で、企業・ブランドからの一方的な情報発信の価値は下がっている。顧客起点の重要性がこれまでになく説かれる中、企業は「あちら側=お客さまの目に自分たちがどう映っているか」から目を背けてはならない。市場や自社商品・ブランドを、「客観的に把握する」ことが求められている。そうした客観的な視点で、商品・ブランドに向けられる「世の中の認識を変える」ことが、新しい市場をつくる上では欠かせない。

本書は、『日経クロストレンド』に掲載した、2019年から21年にわたる連載をベースに構成されている。筆者はPR(パブリックリレーションズ)の専門家だ。過去には20 年近く、世界的なPRグループに所属していた。06年に戦略PRの専門会社をグループ内に新設し、13年間にわたって代表を務めた。09年に上梓した『戦略PR(アスキー新書)』が、ありがたいことにベストセラーとなり、広告やマーケティングに従事する皆さんにPRの価値を再認識していただく一助となれた。そして19年に、戦略立案に特化した「本田事務所」を設立し、独立。大企業からスタートアップまで幅広い企業をクライアントに、コミュニケーション戦略立案やコンサルティングを手がけ、現在に至る。コンサルティング業務において、クライアントから持ち込まれるマーケティングや企業変革の相談は、そのほとんどが何らかの形で「パーセプション」にまつわる悩みだった。それが、連載企画のテーマをパーセプションとした理由だ。

以下が、本書の構成となる。1章の「パーセプションの正体」では、パーセプションの定義、パーセプションを形成する5つの要素や、その重要性が増す背景などを解説し、基本理解を深める。続く2章の「マーケティングに活用する」では、マーケティングにおけるパーセプションの発想について、ブランド管理などの既存モデルとの関係性も踏まえて解説する。

3章から7章は、いわば本書の〝本体〞だ。パーセプションの活用を5つの段階に分解し、豊富な事例を通じて各章で解説する。3章のパーセプションを「つくる」では、新たに生み出したパーセプションを活用して、市場創造に成功した事例を取り上げる。4章のパーセプションを「かえる」では、商品やサービスが持つ既存のパーセプションを、何らかの状況変化や仕掛けによって変化させること、すなわちパーセプションチェンジ(認識変容)について解説する。

続く5章のパーセプションを「まもる」では、企業やブランドが、いかにして好ましい認識を敵対する相手や時代の流れから守るかを主題とする。6章のパーセプションを「はかる」では、目に見えないパーセプションをどのように計測・分析し、マーケティング活動に活用するかを紹介する。7章のパーセプションを「いかす」では、企業の社内向け施策やイノベーション領域など、マーケティングの領域にとどまらない、パーセプションの応用範囲について解説する。

最後の8章では、「『パーセプション発想』がもたらすもの」として、パーセプション発想が企業経営やビジネスに与える影響を、「4つの視点」として考察する。なお、本書で取り上げた事例におけるデータや取材対象者の肩書きは、連載における取材時点のものであることをあらかじめ記しておく。

ではいよいよ、始めていこう。マーケティングに従事する皆さん、そして企業経営や事業開発にチャレンジしている皆さんには、ぜひ、本書を読むことで「パーセプション」への理解を深めてほしい。そして本書が、あなたの既存のパーセプションを少しでも変えることができたのなら、筆者としてこれほどの喜びはない。

2022年10月吉日
本田哲也

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