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小説

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町について、物語をつくりました。キャラの落書きもあります。
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YouTuber織田信長(その②)

YouTuber織田信長(その②)

「みなさん、こんにちわ!
令和に転生した織田信長公や拙者たちが、いっしょに遊ぶというYouTube企画【令和の織田信長チャンネル】、今回はわたくし、明智光秀からお送りいたしますw

さて、肝心の上様こと信長様は…
これから入場します。
さあ、はじまります、今回のゲストは三河殿こと徳川家康殿、なんと上様(信長)のはからいで、プロレスに興じるという!
そういう企画でございます~。
実況がわたくし明智光

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津久井湖に沈んだ集落 ~タイムトリップの旅③~完結編

津久井湖に沈んだ集落 ~タイムトリップの旅③~完結編

※6300字程度の小説です。

 はあ、はあ。
息が切れる。足がもつれる。今日どれくらい歩いたっていうんだ。足がただでさえ辛くなっているのに、なぜ僕はこんなところでダッシュをしているのだろう。

という余計なことが頭でよぎるが、早くわが子を助けなければならない。
わが子、健(たける)は連れ去られた。三井の小学校の校庭で、珍しく彼は興味津々に昔の学校の様子に見入っていた。
もっと傍に居てやればよかっ

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津久井湖に沈んだ集落 ~タイムトリップの旅②

津久井湖に沈んだ集落 ~タイムトリップの旅②

この物語はフィクションで、実際の町の様子をできり限りの資料から妄想で作りました。5000字くらいですが写真多め。
津久井湖編の第二話です。第一話は下のリンクにて。

無口な子に育ちました祖父はよく「俺の村はな、ダムに沈んだんだ」と言っていた。
子供を連れ実家に帰っても、僕の子供のころのように祖父はアルバムを見せようとする。最初は白黒の写真を怖がっていたが、さすがに小学生ぐらいになると怖がらないとい

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近所のたかしくん

近所のたかしくん

あれは、幼き頃の妖精だったのだろう。

僕とたかしくんとの思い出は、僕の中の最も古い記憶にある。
なんでこいつなのか、それぐらいインパクトがあったのだろう。

たしか、3歳ぐらいだったか、曖昧であるが、僕はうちの前の坂を三輪車でキコキコと上っていた。
うちは長崎の海の見える高台の、坂の田舎町だ。僕はそこで大人になるまで、なんとなくボヘッと過ごしていた。

幼い僕は坂の上の何でもない距離を一生懸命

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官能小説~司法浪人・太郎の憂鬱

官能小説~司法浪人・太郎の憂鬱

うなだれながら、太郎は起きた。​

もう世間では夏、巷には美女が薄着となり、汗ばみからその体つきの様子が服からもにじみ出す頃。

そんな世間とは無縁の太郎は、外に出ては冷房病で倒れてしまうくらいに受験勉強にうちこんできた。

大学に入って以来独り暮らしで卒業してからも親の少ない仕送りを食みながら、とにかく勉強に励んだ。贅沢はできぬ。だから彼女もつくったことがなく、いかがわしい店にも行ったことのない

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