YouTuber織田信長(その②)
「みなさん、こんにちわ!
令和に転生した織田信長公や拙者たちが、いっしょに遊ぶというYouTube企画【令和の織田信長チャンネル】、今回はわたくし、明智光秀からお送りいたしますw
さて、肝心の上様こと信長様は…
これから入場します。
さあ、はじまります、今回のゲストは三河殿こと徳川家康殿、なんと上様(信長)のはからいで、プロレスに興じるという!
そういう企画でございます~。
実況がわたくし明智光秀。解説は、筑前守こと木下藤吉郎…」
秀吉「豊臣秀吉です。
当時は名前で呼ぶ習慣は、ないよねぇ。だいたい、官職名なんだけど、まあ令和だし。
家康殿はねぇ。何と呼ばれていたと思う?」
光秀「官職名ですか?」
秀吉「そう、官職名で呼び合ってたんですよ。ねえ、当時はねぇ、光秀殿も日向守。ワシは筑前。
家康殿はねぇ、なんやかんやでナイフですよ。ナイフ。」
光秀「内大臣ですねぇ!」
秀吉「そう、【内府】て書いてナイフと読む。キレてないですよ(長州力風に)。」
光秀「はい!?サルマネですか?」
秀吉「まあ、キレないナイフこと家康殿、そんな穏やかな人柄の家康殿を、われらが主君の上様こと信長様がどれだけキレさせるか。見所のひとつですね。」
光秀「さあ、そろそろ入場です!
そうですね。清洲同盟以来のタッグを組んできたこの二人。戦国の世でも決して相見え戦うことのなかった戦国の【三英傑】が、ついにYouTuberとなりプロレスで相見えることになるのですね。」
秀吉「その【三英傑】の一人はワシですけどね。」
光秀「かつて本能寺の変で、私に討たれ。天下統一の礎を作った上様こと信長様。
そして、その際に京都から逃れ後に天下を取った家康殿。
一方であの伝説の中国大返しを経て私を討ち、太閤として天下人となった秀吉殿。今日は、実況の光秀、解説の秀吉の「秀秀コンビ」でお送りいたしますが。
【織田がつき 羽柴がこねし天下餅 座りしままに食うは徳川】と言われますが、私を山崎の戦いでほろぼした秀吉殿も、子の秀頼殿が家康殿にほろぼされて一族がほろんだわけですが、因縁を背負い、どのようなバトルがこれからリングで繰り広げられるか!
【YouTuber織田信長】入場です!」
(秀吉「その節はどうも」
光秀「いえいえ、どうもその節は…」)
入場
光秀「さあ、讃美歌のコーラスとともに入ってきた信長様!おお、マントに身を包み、南蛮人の【ひだえり】をつけている。
今、エレキギターのサウンドが会場に鳴り響き、観客をあおってるー!」
(秀吉「【ひだえり】ていうのですね、あの南蛮人のエリマキトカゲみたいなエリ!」)
光秀「もういっちょまえのプロレスラー気分なのか、不遜な表情、何かさけんでいるぞ!」
秀吉「【ガッチャメーラエー!アイアム信長!】ですね!最近プロレスラーの蝶野正洋チャンネルがお気に入りだとラインで聞いてます。」
光秀「さすが上様、さあリングイン!マントを取ると、おお!なかなか鍛えられた体と、黒タイツに白字で、【第六天魔王】の文字が!」
秀吉「【下天の夢】とも書いてますね!気合い入れてますね!さすが用意周到!」
光秀「さあついに、家康殿の入場です!
おっと?一風変わって、三味線ですか?」
秀吉「愛知民謡、【岡崎五万石】ですね!」
光秀「おごそかな雰囲気から、上半身は裸、袴(はかま)にレスリングシューズの家康殿が!曲もロックに切り替わる!」
秀吉「ファンものって来ましたね!コールしてますよ!【ヨイコノシャンセ】!」
光秀「コロナ禍で歓声や応援の【声だし】が規制されてきましたが、今年8.14後楽園ホールで声だし応援が2年半ぶりに解禁されました。拍手応援だけでは物足りませんからね。
さあ、以外な家康人気に信長様も顔がいかつい!」
秀吉「何といっても江戸をつくり関東を開拓した東照権現様ですからね。関東の小学生は修学旅行先が日光東照宮らしいですよ!」
光秀「戦国の世から、現代の小学生事情まで、さらにはエリマキトカゲまで、事情通の秀吉殿を解説にして、さすが上様と思うわけですが。
秀吉殿から見て、二人の様子はどうですか?」
秀吉「信長様は細マッチョ、家康殿は太マッチョというところでしょうか。
二人の上半身、はじめて見ましたが、家康殿、思った以上にお腹が出てますね!」
ゴング
光秀「さて、リング中央にて対峙する二人!
信長様はいかつい顔、家康殿はすました表情のようですが、どうですか秀吉殿。」
秀吉「信長様のは顔芸でしょう。」
カーーーーン!
光秀「静かにゴングが鳴り響く!
おや?動きませんね?」
秀吉「どうしようか、困ってるんですね。」
光秀「いわゆる、【テンパる】でしょうか?」
光秀「信長様、手をあげた。かまえたか。おや、何かつぶやいてる?」
信長「エヘヘヘへ、エヘヘヘへ、」
秀吉「あれは【蝶野正洋の呼吸法】ですね。呼吸とリズムを整えてるのでしょうが、いきなりパクりですね。」
光秀「一方で終始無表情の家康殿。
あげた信長様の手を、ついにつかんだ!
力比べだ!
そこから、家康殿が羽交い締め!
力でくずし、腕をとる信長様!
普通に、プロレスしてる!
いやあ。
何と言うか、その。
はじめて見る上様の表情に、ちょ、ブフォw」
秀吉「顔芸ですね。YouTuberとして努力してるのでしょう。笑ってはいけません。草生やしても。」
光秀「…おお!家康殿の腰投げ!
からの、アームロック!決まりそうか、決まってませんか!?」
信長「あ“あ“あ“あ“!」
秀吉「決まってますね!顔芸でなく素で悶絶してます。」
光秀「やはり慣れないことだらけ!上様は相撲は好きと聞いてますが。
幸い、ロープに近いぞ、爪先がロープに伸びてロープブレイク。レフリーがほどきに行く。
肩をさする、上様。
おあ!
家康殿、すかさず腕ひしぎ逆十字!
ロープに足をかけている信長様、レフリーがほどくも、家康殿、ほどきません!」
秀吉「光秀殿も、なかなかプロレス勉強したのですね!」
光秀「観せられましたね、大量のDVDを。上様の無茶ぶりには慣れてますからね、織田一門はだから強い!
反則にレフリーはカウントをとる。5カウントだったらプロレスは反則が許されます。
さあ、ほどくも。
再度、腕ひしぎ!
観客はブーイングではなく、歓声だ!
湧いてるぞ!」
秀吉「下剋上を、見たいのでしょうね!」
光秀「さあ、レフリーの力づくで、やっとほどいた。立って建て直す、すずしい顔の家康殿。一方、上様。ブッハァ、はげしくゆがむいかつい顔www 顔芸の余裕がでたか、本当に痛いのか。」
秀吉「信長様への腕ひしぎがキレイに決まりすぎて驚いてるんでしょうね、内心。」
中盤
光秀「さあ、また信長様が手をあげて、また力くらべだ!
からの、信長様、ロープに振った!
ロープから返る家康殿、体当たり!
これは空振る、信長様もロープの反動でラリアット!
家康殿、倒れない!」
秀吉「ペチンッ!いい音ですね!」
光秀「ペチンwwwすずしい顔の家康殿に、いかつい顔芸の信長様、家康殿に体当たりの要求! 自分の体を叩きながらロープを指差しかかってこいや!
家康殿、乗りましたね。ロープから走る家康殿、信長様はラリアットか、ああー!!」
秀吉「必殺技、『永楽通宝』出ましたね!」
光秀「なんだか、漫画ドラゴンボールのかめはめ波、ゲームストリートファイターの波動拳のようなポーズですが、解説よろしいでしょうか?」
秀吉「永楽通宝て当時の銭、お金は、真ん中に穴があいてますね。あの穴を空けるイメージの技らしいです。
信長様の旗印は『永楽通宝』ですからね。
一週間前に信長様からのメールにPDFで送られた「技名リスト」の資料です、見ますか?」
光秀「殿、秀吉殿だけでなく拙者にも送ってくださいw 家康殿の技もありますね。打ち合わせはしっかりしてますね。
さあ、まるでカナダ人プロレスラーのケニーオメガの波動拳のような技に、倒れた家康殿の目は宙に浮いてるようだ!?
レフリーが止めてる間、信長様はリングを降りて、おや? リング下に入り込んだぞ?
家康殿、立ちましたね!
リング回りを見ていますが、うしろー!
うしろー!!」
信長「楽市楽座!!」
光秀「リング下からパイプ椅子を持ち出した!家康殿、再度ダウン!
秀吉殿、解説を!」
秀吉「『楽市楽座』は殿が行った【自由な取引を許した】政策と、歴史の本を読み殿が作った技です。資料にそう書いてますね!」
光秀「ただの、普通の反則ですね!レフリー、パイプ椅子を取り上げる!」
秀吉「言ってみたかったし、やってみたかった、とも書いてます。」
終盤
光秀「さあ、倒れこんだ家康殿が心配ですが。殿www観客あおるがブーイングwYouTubeのコメントに【炎上系かよ】とw
さあ、殿、もとい信長様、コーナーポストに登った!
レフリーに促され、立ち上がったぞ家康殿!」
信長「桶狭間ーーーッ!!」
観客「オーーーッ!!!」
光秀「観客の歓声!
コーナーポストからの、ドロップキック!」
秀吉「『桶狭間の戦い』ですね!
あの騎馬での奇襲突撃と言われる!」
光秀「決まっ
らない!空振ったー!!よけましたね、家康殿!
からの、またアームロック!
リングは真ん中、ロープから遠いぞ!
悶える信長様、顔芸の余裕がない!素で苦しそうだ!
おっと、
おお!家康殿、即座に腕ひしぎに移行!
腕が伸びる、決まるか!?」
秀吉「学習能力高いですね!左手で右手をロックして、右腕が伸びないようにしてますよ!」
光秀「腕を伸ばそうと力をこめる家康殿。さあ、信長様は苦しそうだ!
おおっと?
おやや!
何がおきた?
火!?」
秀吉「【延○寺焼き討ち】ですね!」
光秀「あのときパイプ椅子と同時に、火種を持ち出した!?」
秀吉「オイルを布にひたして火をつけたようですね。本人もびっくりしています。」
光秀「古くはアメリカプロレスの【怪人・ザシーク】の火炎攻撃、最近ではグレートニタこと大仁田厚やグレートムタの火炎攻撃。それらを彷彿させますが。
YouTubeのコメントには【信長、本能寺の炎上を克服したんだね】とか【まさに炎上系YouTuber】とかのコメントが。」
秀吉「つい最近、我々と同じく転生した武田信玄公と、山梨でゆるキャン△したとき、【光秀の炎など克服したわ!】と燃え盛るバーベキューを楽しんでましたからね!」
光秀「殿、すいませぬ。
さあ、その企画に拙者を呼んでくれなかったのが地味に落ち込む私ですがw
さあ、あまりの火力に本人の顔が青ざめてますが、YouTubeでも炎上してます。
【今こそ本能寺の再来】とか、【何度も江戸は火事を克服しただろ!】とか、YouTubeのコメントも、一気に家康殿への応援が。これが世論というものか?」
秀吉「家康殿、立ち上がりましたね。」
光秀「家康殿、信長様の髪をつかみ、立ち上がり、信長様の細マッチョにチョップを叩きこむ!
おお、マシンガンチョップを乱射!」
秀吉「『長篠の戦い』ですね!」
光秀「弱った信長様をつかみ、高角度からのドリルアホール(垂直に落とす)のパイルドライバー!」
秀吉「『旧・利根川』だ!利根川が東京湾に流れていた頃の水害の勢いを表してます。」
光秀「そして、また『旧・利根川』か、
おおっと、そのまま体を真横にすべらせ、家康殿の腰を膝に落とす、バックブリーカー!」
秀吉「『利根川東遷』ですね!銚子へ流路を変えました!」
光秀「さあ、このままフォールか?
1、
2、
ああ!
信長様、毒霧だー!
毒霧を噴射したぞー!!」
秀吉「『天下布武』ですね。天下を自分の色に染める、ということでしょう。」
光秀「いったいこの、グレートムタばりの奇想天外、これが信長という男なのか!?」
秀吉「え?
効いてない!? 効いてませんね!
これが家康という男、幼少から人質となり、信長様につかえ、ワシこと秀吉につかえ、60歳で天下をとったタフネス!」
光秀「再び、『利根川』か、急角度の、
おおっとーーーッ!!
渾身の、パワーボム~ッ!!」
秀吉「これがフィニッシュホールド、家康殿の旗印『厭離穢土欣求浄土』ですね!!」(光秀「技名、何て!?)
光秀「1、
2、
3!!
勝ったのは、家康殿だーッ!」
秀吉「どうなるかと思いましたが、ちゃんとしたプロレスですね!」
光秀「以上、木曽川土手仮設リング会場にてYouTubeで独占配信しました!
つぎは、武田信玄公との『ゆるキャン△』企画になるか、YouTuber織田信長、「令和の織田信長チャンネル」、高評価とチャンネル登録よろしくお願いいたします!」
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