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テニス上達メモ473.集中力は「対人関係」だ!


▶対人関係しだいで、「不健康」でも悩まなくなる?

 
心理学者のアドラーは、「すべての悩みは対人関係」と言ったそうです。
 
こう聞くと「いや、そんなことはない!」
 
「お金の悩みや、健康の悩みもある!」
 
「見た目のコンプレックスもある!」などと反論したくなるけれど、それらは「人と比べた場合」に生じる悩み。
 
相対性の世界です
 
いくら貧乏でもブサイクでも、この世に自分一人だけだったら、悩まない
 
あるいは不健康でも、自分以外の人が「もっと不健康」だったら、悩まない
 
と言った感じの趣旨だったと思います。
 
「孤独感」でさえ、周りに人がいるから、余計に深まるのでしょう。
 
一人で部屋にいるときには感じなくても、パーティーのにぎわう場に一人でいると、募ったりしますね。
 
このように「すべての悩みは対人関係」。
 
そうであるならば、「集中できない悩みも対人関係」だとここでは提唱して、話を進めていきたいと思います。
 

▶集中できない原因は「人の目」

 
というのも集中できない原因は「人の目」
 
比喩的にいえば、肉眼でボールを見るよりも、心眼で人の目を見てしまうのです。
 
要するに、他人に見られて気になる
 
そのせいで、ボールに集中できなくなる
 
自分の集中よりも、他人の目を優先してしまうのです。
 
だから集中力問題は、すなわち対人関係問題なのです。 


▶自己肯定感が低いと、他人を「無視」できない

 
ですから結論からいうと、ボールに集中するには、他人を「無視」すればいいのです。
 
だけどいわゆる「いい人」は自己肯定感が低めだから、自分よりも他人を優先してしまうでしょう。
 
他人を無視なんてしようものなら、「罪悪感」を覚えてしまう。
 
嫌われる勇気」がない。
 
だから到底、無視などできるものではありません(この罪悪感を乗り越える方法を後述)。
 

▶「壁依存」になってませんか?

 そうでなくてもテニスは対人競技ですから、人間関係力が問われます。
 
ですから一人でやる「壁打ち」などでは、テニスは上達しないといつも申し上げています。
 
「壁打ち名人」と言われる人もいるけれど、対人関係で行うオンコートに連れ出されると、もうさんざん。
 
それで打ちひしがれて、自信を取り戻したくなってまた壁打ちに戻ってくる壁依存についても、これまでに指摘してきました。

▶「壁打ち名人」ほど、オンコートで苦しむ

 
アドラーは言いました。
 
「すべての悩みは対人関係」だと。
 
一人で行う壁打ちでは、人の目はありません。
 
ボールへの集中を妨げる原因がない、言い換えれば対人関係の悩みがないから、壁打ち名人はボールに集中できるけれど、そのぶん、人目にさらされるオンコートに連れ出されると、途端に苦しむのです。
 
何も「壁打ちが悪い」と、言いたいわけではありません。
 
体を動かすエクササイズ目的などでやるぶんには、いい運動になりますからね。
 
だけどそれでテニスの上達を期待するのは危険。
  

▶「チャンスボール」なのに、ミスしていませんか?

 
話を少しだけ逸らしますが、そもそも相手に打たれた「生きたボール」と、壁から跳ね返ってくるだけの「死んだボール」とでは、質が違うから、「イメージのズレ」を助長する恐れもあります。

相手から打たれたボールは、たとえフワッと力なく浮いてきたチャンスボールであっても、壁から跳ね返ってくるだけではない、「生きたボール」
 
だから「チャンスボール」とは名ばかりに、ふかしたり、ネットに叩きつけたりするのです。
 
思い当たるフシは、ありませんか?

イメージがズレたら、テニスは必ずミスします。
 
ですからチャンスボール「なのに」ではなく、チャンスボール「だから」、ミスするといえるのです。
  

▶「自己肯定感」が集中力を高めるカギだった!


話を戻して人と関わることが絶対条件のテニスにおいて、集中力を高めるにはどうすればいいでしょうか?
 
他人の目よりも自分の集中を優先できるように、「自己肯定感」を高めることです。
 
ボールに集中するには、「他人を無視する」と述べましたね。
 
とはいえそのために、他人を「さげすんで無視する」というのでは逆効果

それでは自分がイライラして、自己肯定感は低まるだけですからね。

印象に反しているかもしれませんけれども、他人を無視するために、「リスペクト」するのです。
 
すなわち、相手の「寛容度を信じる」
 
「こちらが無視しても、それを気にして嫌がるような相手ではない」といった具合。
 
これがいつも申し上げている「スルー力」です。
 
「スルー力」とは、さげすむ「陰湿な無視」とは全然違っていて、相手に対する敬意を払った「誠実な無視」と、ここでは呼ぶことにします。
 
そうすると、集中力が上がります。
 
それのみならず副次効果として、自分が相手に無視されても、イライラしなくなります。
 
「相手には相手の集中したい事情があるんだな」と、むしろポカポカとした「温かな心持ち」で、「無視を受け入れられる」ようになるからです。
  

▶集中力は日常生活で高まる。そのための「誠実な無視」


この「スルー力」はテニスに限らず、日常生活でも鍛えられるでしょう。
 
いえむしろ日常生活が人生の大部分を占めるのですから、そのほうが実践的です。
 
日常生活も対人関係ですからね。
 
すなわち自分が集中して作業したいときには、人に近寄られても話しかけられても、その作業がひと区切りするまでは「スルー(誠実な無視)」を決め込むのです。
 
緊急度や重要度に応じて「自分の都合を優先する=自己肯定感の高さ」なのですから。
 
ところが自分が作業中でも、話しかけられたらすぐに何でも「ハイ! ハイ! ハイ!」と答えるいわゆる「いい人」は、「無視すると嫌われるのではないか…」という不安を抱えた自己肯定感が低い人といえるのです。
  

▶オンコートでも「誠実な無視=スルー力」を発動すれば、怖いものはなくなる!


 アドラーはすべての悩みは対人関係に由来すると言いました。
 
それにならって集中できない悩みを、対人関係問題であるとこの記事では提唱してきました。
 
そしてテニスは対人関係競技である以上、一人で行う壁打ちなどでは向上しないので、人間関係をコントロールできる実感が備わる自己肯定感を高める、というご提案でした。
 
そのために具体的には、相手をリスペクトする「誠実な無視=スルー力」を、日常生活で発動するのです。
 
最初のうちはちょっぴり、「嫌われる勇気」が必要かもしれません。

だけど大丈夫。
 
文字どおり、最初のうちだけです。
 
特に、「1回目」です。
 
2回目、3回目と回を重ねるにつれ、罪悪感(抵抗感)は薄れてきます。
 
そうすると、オンコートでも「集中力」を、言い換えれば「誠実な無視=スルー力」を、発揮できます。
 
もう、何も怖くありません!

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero