[短編] 素敵な海岸
渚に立った。白砂青松の圧倒的な美しさに、私は息を呑んだ。ここは街から外れた、大きな岩に囲まれた砂浜。日も傾いてあたりが段々と夜に飲まれていく。藍色の空と波立つ海が地平線で溶けて混じり合っている。海岸線に沿って歩く。右手には大きな岩が突出していて、岬になっている。波の花が絶え間なく咲いては散って、とても静かだった。岩場に登って先端に腰掛ける。遮るものがないから砂浜にいた時と、景色は大して変わらなかった。岩の表面にはいくつもの溝ができていて、それは世界中からやってきた船が通るため