[短編] 口口口

どうも落ち着いて喋れない。普段人と会話することが少ないから、話したいことが募ってしまってマシンガンのように一方的に捲し立てる。そのとき、自分のこと、身の回りのことを話しすぎてしまうのがいけない。例えば、今日会った友人に死んだ父親の兄のことを話した。私が生まれる前のことだったから記憶も話すこともそうあるわけではなく、ただ死んだことを伝えただけだ。つまり、私は父の兄を使って自分を主人公に仕立てた。私の人生の一つの悲劇としてそれを持ち出した。

喉が痛い。それは罪悪感からなのか、単に風邪を引いたのか。前者であって欲しいと願う。それを二度と口にしないことを願う。


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