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ドブス顔面キモ人間 最終話
「通り過ぎた幸せ」「これは一体なんだ?人の家で勝手に何をやっている」
佐原は、真っ赤になった彼の浴槽を覗き込み、呟いた。
「捌いた。心臓は、おっさんの仲間んとこで1000万くらいになるんだろ?だから残しといた、あとは全部バラバラにしてビニール袋に詰めたから、あとは川に流して終わり」
「やり方、分かったのか」
佐原は少し驚いたようだった。
「まあ、何回もやったし、覚えられるよ」
「そうか」
様子が、
ドブス顔面キモ人間 第12話
「崩壊」「ヨシダさん」
ヨシダは3、4人の女を連れて下校していた。
「何この人」
「もしかして知り合い?w」
この女どもめ!
「タチバナだよ、知らないの?」
ヨシダは擁護した。
「タチバナ、って誰だっけ?」
「女……貴様らに用はない!出ていけ!」
俺はそう叫び、ヨシダの手を掴んだ。
「ヒッ!」
「ヨシダさん、俺を裏切ったな」
「裏切るって、何……!?」
ヨシダの表情に困惑と恐怖が入り交じる。
「ち
ドブス顔面キモ人間 第11話
「HATE」く…………うっ、……ふ……………っ。
俺は急いでティッシュを手に取り、夥しい量の液体を拭き取る。
「ごめん………ヨシダさん……」
俺は罪悪感の中、立ち上がった。
「や、やめて!やめてーーー!!」
「うるさい」
「おいやめろよタチバナ!タチバナ!!これ学校に言ったら大問題だぞ分かってんのか!あんま調子に……」
俺はタカモトの口を抑えた。
「タカモト虚勢は見苦しいってー」
「やるぞ」
佐
ドブス顔面キモ人間 第10話
「ヤバい」いそいそと支度を始めた。自らが自分の服を本気で考えるのは初めてかもしれない。付けずに埃を被っている腕時計をクローゼットから取りだし、腕に巻き付けた。上半身には黒いTシャツの上に紅のカーディガン、下半身にはベルトをしっかり巻き付けたジーパン。靴は茶色のスニーカーを選んだ。
「なに、気取っちゃって」
母がニヤける。
「別に、友達んとこ行ってくるから」
「んねタチバナくん」
ヨシダさんがわざ
ドブス顔面キモ人間 第9話
「ドブス顔面キモ人間として」「おい」
ハッとした。我を失っていたようだった。
「……」
「何を見た?」
「……わからない」
「今のお前は、有名になる為の手段として殺人をしているだけに過ぎない。だから今何も感じないんだろう。今までは感情の思うがままに行ってきたんだろうが、今回は違うからな」
「あー……?」
俺の目の前には、頭が潰され、絶命したハマダだったモノが転がっていた。
「俺、どうだった?」
「
ドブス顔面キモ人間 第8話
「始動」「生命は、奪われるからこそ美しい。儚きモノは、美しいんだよ」
「そうかな」
「ガキにはわかんないだろうが、何れ分かる。お前も生命の強奪に、”何か”を見いだせ」
「快感、とか?」
「ああ、恐怖以外の何かを感じれば……」
「感じれば、何だよ」
「……いいか、ガキ。お前のことは信用しているからな。”ドブス顔面キモ人間”として胸張ってやれよ」
「わかってるから、大丈夫だって。これで俺も有名もんだし
ドブス顔面キモ人間 第7話
「爆誕!ドブス顔面キモ人間!」「「偽名を使ってネットに殺人動画をあげた。今の若者はそういうのにすぐ釣られるから、すぐに話題になった」」
今の時代、若者はネットで簡単にスナップフィルム等を初めとした殺人の動画を見れる。だから、俺が話題になるにはそれを超える印象を植えつけなければならない。しかし、俺は高校生だ。高校生による殺人は、テロリストや普通の大人による殺人よりも話題性が高い。俺は、自分の武器を無
ドブス顔面キモ人間 第6話
「友達」あれから、どのくらい時間が経ったのだろう。体内時計を参考にすると、かれこれ1時間半程度は経っただろう。左の腕時計を覗く。午後6時27分。母がそろそろ心配し出すだろうから、連絡を入れておこう。しかし。それよりも、この”デカブツ”は重すぎる。目的地まであとどのくらいかかるのだろうか。しかも、そろそろこのブツを包んでいるブルーシートを不審に思う人も現れてくるような気がする。人目の少ない通りを敢え
もっとみるドブス顔面キモ人間 第5話
「現実」「「この前の少年殺人事件の犯人、お前だろ」」
昨晩聞いたこの言葉が頭でループする。佐原義和。元から不審な隣人だとは思っていたが、まさか殺人犯だったとは。
「アンタ、ニュース見た?」
「え?」
「池田さんの事件。知らないの?」
「……知らない」
あれは佐原義和がやったものだ。俺たちの隣人が。
「最近そういうの多いから、ホント気をつけてよ」
「分かってるよ」
佐原のアレを見てから、なんだか現実
ドブス顔面キモ人間 第4話
「幸せを奪いし者」朝。いつもの如く、空を見上げる。穢れなき、完璧な”青”が我々を支配している。ヒトは家畜のように、毎日同じ事を繰り返し、やがて死に至る。人生。ヒトは死ぬ為に生きる。そこに、幸せはいらない。
「佐原さん、回覧板、よろしくお願いしますね」
隣人が私に話しかける。私は家族を好まないが、この隣人はシングルマザーのようで、死んだ魚のような目をしたガキを1人で育てている。だが、そんな事は私に関
ドブス顔面キモ人間 第3話
「痛み」あの後、俺はすぐに帰宅した。ササモトの家を出てから、自宅に着くまでの記憶は無かった。
「おかえり、遅かったね」
母が俺に言う。
「うん、クラスで集まりあったから」
「そう」
俺は平常を装ったつもりだった。しかし、装ったつもりの”平常”は装われたモノでは無かった。この平常さは、自分の奥底に埋まっている平常心。そう、その時の平常心はホンモノだった。もしかしたら、ササモトの殺害は幻覚だったのかも
ドブス顔面キモ人間 第2話
「殺!殺!殺!」手が濡れている。一体、これは何だ?何が起きた?鼻にこびり付く、この癇に障る臭いはなんだ?何があった?何が
その日、俺はいつも通り登校した。体は随分と軽くなった。ササモトという友達が出来たからだ。まさか、自分が学校に行くことが楽しくなるとは思ってもみなかった。ササモトには感謝しかない。ありがとうササモト。
教室に入る。おはよう、と俺はササモトに言った。ササモトは、返してくれなかった
ドブス顔面キモ人間 第1話
「始まり」
朝。カーテンの隙間から尖った陽射しが目を焼き、俺は目覚める。体を伸ばし、呻き声をあげた。毎日同じ事の繰り返しだ。しかし、朝目覚められるということに感謝をしなければならない。今日は月曜日。高校の入学式だった。だから、少し早く起きた。そして緊張すると腹を下してしまうため、朝食はパン1枚のみ。玄関を出て、自転車に跨り、漕ぎ始める。俺は、中学生時代は友達が少なく、絶望の毎日だった。しかしもう違