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ドブス顔面キモ人間 第9話

「ドブス顔面キモ人間として」

「おい」
ハッとした。我を失っていたようだった。
「……」
「何を見た?」
「……わからない」
「今のお前は、有名になる為の手段として殺人をしているだけに過ぎない。だから今何も感じないんだろう。今までは感情の思うがままに行ってきたんだろうが、今回は違うからな」
「あー……?」
俺の目の前には、頭が潰され、絶命したハマダだったモノが転がっていた。
「俺、どうだった?」
「お前みたいな華奢なガキが人間の頭をかち割れたんだ、悪くないだろう」
「良かった、あとはアップロードするだけだ」
ハマダの顔に被されていた布を取る。ハマダは大きく目鼻口を開き、絶命していた。目は充血し、痛みからか口からは舌が飛び出していた。いつもとは違い、無様な格好となりあの世に行ったハマダの滑稽さに笑ってしまった。

「ドブス顔面キモ人間……っと」
俺は某YouTubeに動画を投稿した。当然、すぐに削除されるだろう。だが、最初はYouTubeのように人目にすぐつくようなサイトに投稿した方が話題になりやすいと思った。そして、残念ながら俺は闇サイトのようなヤバいサイトにアクセスする手段など分からなかった。取り敢えず寝ることにした。もうクタクタだった。殺人は、疲れる。

目が覚めた。朝の5時17分。急いでスマートフォンを手に取り、自分のYouTubeアカウントを覗く。
”惢”。
アカウント名は謎めいた感じにしようと、適当に見たことの無い漢字を選んだんだった。しかし、自分のプロフィールにその漢字は見当たらなかった。そればかりが、例の動画も消えている。そうだ、”消された”んだ。当然の結果だが、まさか一晩で消されるとは思いもしなかった。仕方が無いので、Googleでエゴサをしてみる。あった。ヒットした。
”謎のドブス顔面キモ人間による犯行がこちらww[グロ注意]”
所謂掲示板サイトだった。やはり夜行性の人物が多いサイトなだけあって、なんとか取り扱って貰えたようだ。ただ、やはり信じてもらえてないようだ。それもそのはず、ここに掲示されている動画にはモザイクがかかっており、俺の渾身の一撃がよく分からなくなっている。余計な事をされたものだが、信じている者も多少は居るようだった。取り敢えず、インターネットに爪痕は残せた。あとは、繰り返すだけだ。

「おい」
また目が覚めた。どうやら1時限目の授業の終盤から意識を失っていたらしい。ところで、何故呼ばれたんだ。
「なに……えっと」
「なに、お前、クラスメイトの名前も覚えてねーの」
「……ごめん。で、何で?」
「なんか隣ン女子が呼んでる」
隣ン女子?まさか………
「ヨシダさん!?」

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