内省 4


内省 3からの続き


子どもから見て、ある年齢以上の大人は、かなり年齢の識別が難しい。 髪型や服装、イメージ、立場などから、主観的に見ることが多いと思う。

当時の私から見ても、おじさんは、お城先生よりも見た目ではかなり年上に見えた。
だけど、おじさんはお城先生を「先生」と呼び、敬語を使っている。
ふるまいも、お城先生を尊敬して、立てているように見えた。

いつも習っているお城先生は、おひげで、寡黙で、髪の毛モサモサでちょっぴり厳めしい雰囲気のある、いわゆる、画家そのもの!なイメージの先生。お年は、見た目でいえば、自分のお父さんくらいに見えた。

対して、現れたおじさんは、小柄で、丸顔で、顔のパーツが真ん中寄りで、頭がツルッとしてて、顔色が良く、ニコニコしていた。
年の頃は、子供の私の目からは、自分のおじいちゃんと同世代に見えた。

「年上の、お弟子さん…??」
広い世界を知らない小学生の私は、少し混乱した。


紹介されたおじさん先生は、ゆっくりと教室の中を歩いて廻った。
幼稚園のお教室を借りているため、生徒が使うのは6人がけの長机。3人ずつが向かい合って座るような、低くて広い、横に長いものだった。

その低い机にスケッチブックを広げ、絵を描いている子供ら一人一人のところへ行って、一人ずつ絵を覗きこんだ。そしてそれぞれに気さくに話しかけ、質問をしていた。
そして問いかけるときも、答えをきいたあとも、おだやかな笑みを浮かべていた。


そのうち、自分のところにもおじさん先生が廻ってきて、
何を描こうとしているのか、たずねられた。

「○○です。」と、小さめの声で答えたと思う。題材はさすがに忘れてしまった。

「○○かあ…。 ○○が、好きなの?」

相変わらず、静かな笑みを浮かべていた。
少し突っ込んだおじさん先生の問いに、困ってしまい、
はにかみ笑いをして首をかしげた。

おじさん先生は静かに待っていた。

絵の題材に深い動機や、思い入れがあるわけではない。
なんだか、私は困った。

「……、わかんない。」


特に言葉の出ない私を見て、お城先生がなんとなくおじさん先生を、目で促した。
何か、お城先生が助け船のようなものを出してくれて、解決したような気もする。

「ーそっかあ。」

その後も、うなづいたり、無難な受け答えをしたりして終わった。
そして、おじさん先生の問いに、きちんと答えの出ない自分をなんだか恥ずかしく思った。。。


口数も少なく、威厳のある感じのお城先生と比べると、おじさん先生はよく喋った。口調も明るく親しみやすい感じだが、お年のせいもあるのだろうか?浮わついた感じではない。

そしておじさん先生は、子どもたちによく話しかけ、同じような目線で対話をしていた。

そのおかげか、お教室の生徒からはかなり慕われていたが、
そのいでたちから、特にやんちゃな男の子たちにからかわれるようなことも多かった。
「ツルツルー!」などと、囃し立てられるようなことも有った。

おじさん先生は、半ば嬉しそうにヤンチャ坊主たちを構い、
いたずらの度が過ぎてくると「コォラーっ!!」とニコニコして追いかけていた。
ヤンチャ坊主の方も、「ウワーッ!!きたー!!」とか叫びながら逃げて、楽しそうにしていた。

おじさん先生は、絵画教室の先生というよりも、お教室の人気者になっていった。
いじられ上手のコミュニケーション上手。

私も、おじいさんに近いが、親しみやすい明るいオーラを放ち、ニコニコしていて優しい雰囲気のおじさん先生はすきだった。


あるとき、いつものように大人しく描いている私の前の席に、
珍しくおじさん先生が、幼児用の小さい椅子の背もたれを前にして腰かけた。

いつもはあるいてゆっくり巡回し、一人一人の描いてるものをたずねたり、ほめたりで、こんな風にしっかりと座ることはほぼ無かったと思う。


ーーーーーーーー

その頃わたしは、小学校の中学年くらいだった。

元々、本を読むのは好きなほうで、図書室で借りる童話の世界や、アニメ、サンリオキャラクターなどが大好きになっていった。
その影響かはわからないが、だんだんと描きたいものが、メルヘンチック、ファンタジックなものになっていく。

色んな動物が服を着て集まっていたり、パーティーしていたり、お菓子の家があったり。。そんな感じ。きっとどこかで見たようなものだったのだと思うが、好きな世界なので描いていて楽しかった。 
前よりも、描きたいものが決まるようになり、お教室にいくのが楽しく、自分自身も明るくなってきていた。

前と違って、好きな世界を描いていると、色々な場面を思いつき、描く題材に困らなくなったのだ。

一般的な絵画教室では、どのように絵を習うのかを私は知らないが
特に題材を与えられず、完全に自由に毎回自分で決めるのは、
今思うと、珍しい方法なのかもしれない。

絵画というよりもイラストに近い物だった私の絵は、何回か回数を重ねたあと、

例の連絡帳に、
「絵というよりも、イラストレーションなので、たまには、実際に有るものも描きましょう」
というニュアンスのことを書かれていた。

「こういうのは、あんまり良くないのか。。。」



内省 5 につづく


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https://note.com/tekumakumayak9on/n/nd22819383944



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