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蔵出し映画レビュー『義足のボクサー GENSAN PUNCH 』

義足のボクサーという題材もしかりだが、『ローサは密告された』のブリランテ・メンドーサ監督の作品と知って興味がわいた『義足のボクサー GENSAN PUNCH』。ボクシングシーンにしろフィリピンに渡ってプロになるストーリーも悪くはないが、思いの外盛り上がりに欠ける。

題材は悪くないし、日本で八方塞がりな様子も出ているが、メインのフィリピンでボクサーになる様子がいまひとつ。ブリランテ・メンドーサは『ローサは密告された』をドキュメンタリータッチで撮り、本作も虚実が分かりにくい、生々しいドキュメンタリーのような感じで撮影するが、それがアダになっている。「フィリピンでボクサーになる」というドキュメンタリーが「世界ウルルン滞在記」や良くて「情熱大陸」みたいな外国滞在ドキュメンタリーにしか見えない。『ローサは密告された』ではヤバいフィリピンが生々しくて良かったが、異国人の滞在がメインになったので、本来のブリランテ・メンドーサ監督作品にあるヤバさが完全に抜けている。

それでもある展開でヤバさも少しは入れるが、微妙にリアリティに乏しい。たしかにプロレス、格闘技ではあるあるのヤバい出来事だが、その割にはあっさりしている。それと、日本ではダメなのにフィリピンではトントン拍子というのも腑に落ちない。

ボクサー体型らしくなったプロデューサー兼主演の尚玄の熱の入れようも分からなくはないけど、そういう「情熱大陸」っぽいのではなくて、ブリランテ・メンドーサ監督らしいものが見たかった。見事な肩透かしだった。

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