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日本三大地鶏を食べ比べしてみた

 唐揚げも焼鳥も出来立てが美味しいと思う今日この頃。たまには贅沢に地鶏を塩コショウだけで味付けして焼いて食べたくなります。

日本三大地鶏

 比内地鶏(秋田県)、名古屋コーチン(愛知県)、薩摩地鶏(鹿児島県)。
 各地で親しまれている食べ方で味わいました。

比内地鶏(秋田県)

 主に秋田県北部で飼育されています。江戸時代、軍鶏として誕生した比内鶏。1942年、天然記念物に指定されたため、雄の比内鶏を雌のロードアイランドレッドと交配させ、品種改良して誕生したブランド鶏。比内鶏は現在は天然記念物のため、食することを禁じてます。縄文時代から秋田県北部に存在している日本固有の鶏です。
 1m3あたり5羽以下と広々とした環境で、放し飼いしています。雄は100日間以上、雌は150日間以上じっくりと育てられます。
 秋田県内で親鳥の選定から食肉加工まで一貫して行うほどの徹底ぶり。

きりたんぽ

 秋田県北部の大舘市、鹿角市が発祥の秋田県を代表する郷土料理。地元では冠婚葬祭で出たり、農家の一年の労いで食べられます。江戸時代、訪れていた南部藩の殿様へのおもてなしのため、接待役のマタギや木こりが弁当に入れていたごはんをつぶして丸めて焼いて作った団子を杉の棒にはりつけて香ばしく焼いて、鳥、キノコ、山菜など山の幸とともに煮込んで鍋として提供したのが始まりという説があります。その料理を気に入った殿様に木こりが料理名を尋ねたとき、とっさに「きりたんぽ」と答えたため、命名されたといわれています。特に秋から冬にかけては新米やキノコなど旬の食材がそろっておいしく、体も温まります。
 串に丸めて焼いたご飯の形がガマという植物の穂に似ていたため、団子のことを短穂(たんぽ)と名付けられ、それを切って鍋に入れていることから、きりたんぽという名前になったともいわれています。きりたんぽは、余ったご飯を保存する知恵でもあります。
 現代のきりたんぽは、鶏がらベースの醤油スープ。肉も比内地鶏。きのこ、ゴボウ、長ネギなど秋田で採れた野菜も使用。きりたんぽは、秋田県で最も生産されている「あきたこまち」を使用。7~8割ご飯をつぶしたもの(半殺し)を棒に巻き付けて囲炉裏で焼くのが伝統的なきりたんぽですが、お店や家庭によってこだわりがあります。最後にセリをたっぷりと鍋の上に乗せるのがポイントです。
 しょうゆベースのスープは、比内地鶏のコク深い味わい、肉は程よい歯ごたえと旨味を感じます。きりたんぽは香ばしい焼き目、汁を吸っており、噛むと徐々に甘みがわかります。ボリューム満点で1本でも、腹持ちがよいです。セリの爽やかな香りとシャキシャキ食感は名脇役といって過言ではありません。
 今回訪れた「秋田きりたんぽ屋」では、一人前からきりたんぽ鍋を味わうことができ、きりたんぽについての昔話も聴くことができます。さらに、いぶりがっこ(燻製たくあん)やハタハタのしょっつる鍋、比内地鶏など秋田県の郷土料理も楽しむことができ、秋田の食を満喫できます。

きりたんぽ鍋(小鍋) 1738円

秋田きりたんぽ屋 秋田駅前本店
営業時間 11:30~15:00(日、祝日)、17:00~24:00
定休日  年中無休
アクセス JR秋田駅から徒歩2分

名古屋コーチン(愛知県)

 1905年に誕生した名古屋コーチン。名古屋周辺で飼育されていた地鶏と中国原産のバフコーチンを交配させて誕生しました。里山に野鳥が多かったことから、江戸時代から養鶏が行われ、明治時代に名古屋コーチンが誕生。
 ひなから加工まで愛知県によって徹底的に管理し、他の鶏と混血させず、100年以上純血を守り続けています。
 適度な運動+120~150日間におよぶじっくり飼育によって筋肉質で赤みを帯びた肉質になります。
 卵も1羽あたり250個と多く産み、味は濃厚です。

親子丼

 大きな肉と色鮮やかな卵のコントラストが親子丼。
 今回は、鳥開総本家で特選名古屋コーチン親子丼を味わいました。親子丼は、1761年頃、東京人形町の「玉ひで」で提供されたのが元祖といわれています。玉ひでは、250年以上経った2023年現在、営業中です。
 特選は、名古屋コーチンの卵も肉も両方味わえます。ノーマルの名古屋コーチン親子丼(1540円)は卵が国産のものを使用しています。
 肉は引き締まった身。かみしめるほど旨味があふれます。卵は濃厚です。
 スープは名古屋コーチンの旨味たっぷり、余計なものはいらない、優しい味です。

特選名古屋コーチン親子丼 1860円

手羽先

 名古屋メシの代表例として挙げられる手羽先。1963年、福岡県小倉(現在の北九州市)出身の夫妻が名古屋で唐揚げのお店を出していました。当時は鶏の半身を揚げてタレにつけた「ターザン焼き」を販売していました。ある日、鶏肉の発注を忘れたため、代用として手羽先を揚げてタレにつけてみたところ、評判になりました。ここから、名古屋の手羽先文化が発展しました。
 名古屋には、「風来坊」と「世界の山ちゃん」の2大チェーンがあります。最近では、個人の居酒屋などで独自の手羽先を出すお店も多くなってます。2014年には、名古屋の手羽先の食べ比べイベントである「手羽先サミット」が開催されました。愛知県も公認するほどのイベントに成長し、2022年は6月4日~5日に行われました。
 今回、鳥開総本家で食べた名古屋コーチンの手羽先は、肉厚でジューシー。噛むごとに旨味が広がります。胡椒の効いた塩味が、名古屋コーチンの味を引き立てます。

名古屋コーチン手羽先唐揚げ 3本720円

鳥開総本店 名駅エスカ店
営業時間 11:30~21:00
定休日  エスカに準ずる
アクセス JR名古屋駅太閤口すぐ新幹線口地下街エスカ内

かしわのひきずり鍋(鶏すき鍋)

 名古屋の郷土料理。名古屋コーチンを使用したすき焼きのような鍋料理。濃いしょうゆベースのかえしでグツグツ煮えた具材を溶き卵に絡めて食べます。
 ひきずり鍋と呼ばれるわけは、昔の包丁は切れ味が悪いため、鶏肉の皮がしっかり切れず、一切れ持ち上げようとすると、皮ごと引きずってくっついてきた説や、すき焼き鍋の中で、引きずるように鶏肉を焼くからという説、昔、村の若者がほかの家の鶏を盗んだときに、ばれないように後ろで隠しながら引きずるようにして持ち帰ったからという説などがあります。
 昔は、来客があったときに飼っている鶏をしめて作るもてなし料理でした。現在では、その年のうちにやり残したことを片付けて新年を迎えようということで、大晦日に食べることが多いです。
 もも肉が薄く切られているため、火が早く通ります。コーチンの旨味を感じ、コリコリ食感が特徴。具材の旨味が移り、軽く煮詰まったタレを余った卵に混ぜてご飯にかけると美味しくいただけます。

鶏すき鍋和膳 2180円

純系名古屋コーチン樞 栄店
営業時間 17:00~24:00
定休日  年中無休
アクセス 名古屋市営地下鉄東山線、名城線栄駅から徒歩3分

さつま地鶏(鹿児島県)

 鹿児島県で小国鶏と軍鶏との交雑から闘鶏用に作られたのが薩摩鶏。1943年に国の天然記念物に指定されたため、別の種の鶏と掛け合わせて品種改良して誕生したのが、鹿児島県のブランド鶏であるさつま地鶏。
 鹿児島県で徹底管理されています。150日間というじっくり飼育も特徴。アミノ酸が豊富です。

炭焼き

 今回味わった料理は、炭焼き。
 炭火で一気に焼き上げるのが特徴。表面が炭で真っ黒に染まった時が食べごろです。燻製のような香りが食欲をそそります。
 旨味も強く、柔らかさも感じますが、歯ごたえも感じます。

さつま地鶏の炭火あぶり焼き 600円

炭焼 鳥将軍 天文館店
営業時間 17:00~25:00(火~金)
     17:00~28:00(土日)
定休日  月曜日
アクセス 市電高見馬場駅から徒歩5分

 秋田のきりたんぽ鍋。愛知のひきずり、手羽先。鹿児島の炭焼き。それぞれ地域にそれぞれの鶏料理があり、どれも美味しかったです。
 ふるさと納税でも購入可能ですので、節税にもなり、ご当地のおいしいものにも出会えるので一石二鳥です。

参考文献




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