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睡眠のプロフェッショナル、マシュー・ウォーカーが教える正しい睡眠の仕方、昼寝とコーヒーを武器にする

このシリーズでは睡眠について約20年以上睡眠に関して研究をされているマシューウォーカー教授が、毎度お馴染みのアンドリューヒューバーマンと共に6つのエピソードに分けて面白い解説をしてくれていますので、日本語に翻訳、要約しています。


難しい化学的用語については都度解説しているので、気になる方は最初の記事「睡眠のプロフェッショナル、マシュー・ウォーカーが教える睡眠」から読んでいただくのがいいかと思います。

このエピソード3 ①/③では前回に続き、睡眠のプロフェッショナル、マシュー・ウォーカーが教える睡眠についてお話ししてくれています。このエピソード3では正しい睡眠の仕方、昼寝とコーヒーを武器にするという題名で、どのように睡眠を取るのがベストなのか?昼寝の取り方やカフェインについて解説していきます。


人間の生存期間で変化する睡眠スタイル

皆さんが考える『睡眠』とはどういったものでしょうか?
「夜空に月が浮かんでいてお布団やベットで睡眠をし、朝起きる」そのような描写を思い浮かべるのではないでしょうか?
ですが、『睡眠』というものは複数あると考えて良いそうです。そしてそれは人間の生存期間をフェーズ別に注目すると見えてくるそう。先に説明すると

  • モノフェイジック(Monophasic)

  • バイフェイジック(Biphasic)

  • ポリフェイジック(Polyphasic)

この3つに分けられる。
これは1日に行う睡眠の回数を元にされているそうな。

  • モノフェイジック→1日1回の長時間の睡眠

  • バイフェイジック→1日2回(夜に長時間&昼寝、夜&昼に半分ずつなど)

  • ポリフェイジック→乳児などが行う1日複数回の睡眠

というようだ。上記のような並びで説明をしたが、人間の生存期間で最初に行われるのはポリフェイジック睡眠であるそう。

ポリフェイジック睡眠とは起きる・眠るという行動を2、3時間ごとに繰り返すことです。
ではなぜ最初から1回での睡眠で済ますことはできないのか?これには大きく分けて理由は2つあります。

理由その1-乳児は食事をし、効率よく吸収しないといけない
理由その2-視交叉上核が十分に発達していないから

である。この理由その2の視交叉上核というものであるが、これは、 脳の視床下部にある非常に小さい領域で、哺乳類の概日リズムを統率する時計中枢としての役割を担っている(wikipedia)
乳児は1日が24時間で、外が暗く睡眠をするべき..朝は明るく行動するべき..という概念が体に懐いていないのだ。

バイフェイジック睡眠というものは、睡眠の回数が大体2回にまとまっている状態である。2、3歳児くらいからまとまった睡眠が取れるようになり夜にまとまった睡眠ができるようになり、夜の睡眠と幼稚園でのお昼寝というパターンが主流だという。これは日本に限らず、お昼寝の時間は世界中の幼稚園、保育園で取られているものになる。

モノフェイジック睡眠 は大体、5、6歳くらいから可能になり、成人まで夜に長時間、睡眠とる一日サイクルが主流になる。

↑この人間の睡眠パターンの変化というものは日常的に目にするものの、(赤ちゃんがベビーカーの中でずっと寝ている、幼稚園児がお昼寝をとっているetc)あまり深く考えなかったことではないでしょうか?

ちなみに胎児1−6ヶ月の赤ちゃんは1日に14-17時間ほど眠るそうだ。
そして、お腹を蹴ったり、声をあげたりなど、妊婦の方が気づく「胎児の動き」ですが、これは起きて活発に行動しているのではなく、睡眠中でも脳の活動が活発になっているREM睡眠中に起こっていることなのではないか?
と言われているそう。

現代社会のミッドナイトとは?睡眠危機の時代

さて、ここまで睡眠というものの奥深さをみて行きましたが、現代の睡眠スタイル(もちろん仕事での徹夜や、朝の通勤ラッシュを避けるために眠い目を擦って起きるなど)人間の欲のままには生きれなくなってしまっています。これは良いことなのでしょうか?

そこで活用できそうな情報が狩猟採集民の睡眠スタイルです。現代社会のプレッシャーやなんとなく、従わなければならないルールなど人工的な進化に干渉されなかった狩猟採集民はどのような睡眠をとっているのでしょうか?

夜は大体日が落ちてから2−3時間後に睡眠が始まり、朝は朝日が昇る少し前に起床。

というのが大まかなパターンだそう。この睡眠パターンだと英語のMidnight
(ミッドナイト)という言葉の意味が正しく聞こえてこないでしょうか?
(大体、19時,20時〜4時,5時が睡眠時間)
ですが、現代社会ではこのパターンは崩れ、各々の社会的義務によって睡眠のスケジュールが変わってしまっているのではないでしょうか?

遺伝とクロノタイプ、適切な睡眠はどれなのか?

上記でお話ししたように、睡眠のサイクルは現代社会のおいて、狩猟採集民(より、動物としての自然な状態)より違ったものになっています。
これはこの社会的義務(仕事や学校など)に左右されてしまいがちですが、そもそも睡眠スタイル:クロノタイプ(何時ごろ眠くなり、何時ごろ起きるのか)というのは遺伝するそうである。
例えば、母親、父親両方ともが朝型タイプの人間である時、その子供も、どこかのタイミングで朝型になる可能性が非常に高いというのだ。

この遺伝に関しては高確率の遺伝。となっており、完全に100%遺伝という訳ではないようだ。なので、その朝型リズムという情報を担った遺伝子がなんらかの理由で編集されてしまう可能性もあります。
または、光(夜に人工的な光を大量に浴びる)やカフェイン(寝るべきタイミングで大量のカフェインを摂取する)などの行動を繰り返してしまうと、このクロノタイプの遺伝を引き継がない可能があるが、基本的に、クロノタイプは遺伝的なものであるそうだ。

昼寝は悪い?良い?

ところが昼寝には良い点だけではなさそうな。
悪い点もあるそうです。

ある研究で、昼寝をしたグループと昼寝をしなかったグループに同じような学習プログラムを5時間後に与えた。
結果は昼寝をしたグループは20%ほどパフォーマンスが良かったそうだ。

また、昼寝は学習能力を向上させるのみではなく、感情コントロールのパフォーマンスも良かったそうだ。
同じように、昼寝をするグループと昼寝をしないグループを作り、怖い動画を見せた。
昼寝をしたグループはその怖さに対して、昼寝をしなかったグループより怖さへの反応が少なく、怖いものに対しての威嚇度も低かったのだ。

認知的な能力と感情のコントロールの部分では昼寝はとても有効に使えるとのそうだ。

ただ、悪い場面もある。
人間は起きている最中にアドネシンという成分を分泌している。このアドネシンというものが溜まっていくと、人間は眠くなってくるのだ。
それが、昼寝をしてしまうとその夜に自然に眠くなるように頑張って貯めたアドネシンは昼寝をしてしまうと、これを消費してしまうことになる。
なので、「夜眠くならない」や「よく夜中に起きてしまう」という方は、アドネシンが上手く溜まっていない可能性があるので、昼寝をするのはあまり良くないそうだ。

まとめ

このシリーズでは睡眠のエキスパート、マシューウォーカーとUCバークレイ校脳神経学教授のアンドリューヒューバーマンが6つのエピソードに分けて解説してくれているものを共有しています。今回は3エピソード目の中の①を解説しました。

人間の睡眠スタイルは生涯の中で3パターン変わり、クロノタイプというものは遺伝的なものだということがわかりました。そして、昼寝は適宜必要に応じて取ることが大事ということでした。

いかがだったでしょうか?次回はエピソード3 ②/③です。お楽しみに!


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