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TechDoctorが取り組むストレスの可視化

これまで、業界予測の為の企業分析や論文などをnoteでまとめてきましたが今回は私たちが具体的に何をしているのかについてまとめようと思います。TechDoctorは2018年に始動して以来データを活用したうつ病などの精神的な体調不良に対するソリューションの提供と研究に取り組んでいる企業になります。

以前日本経済新聞さんにも紹介頂きました。

TechDoctorが目指すもの

昨今仕事や人間関係のストレスから気を病んでしまうことへの理解が深まりつつありますが、それでも尚問題の根本的な解決には至っていません。うつ病や双極性障害のような、一般に気分障害と呼ばれるものはストレスが原因になりますが、これは人によって感じ方が異なる上に視認することが出来ません。その為にTechDoctorではそれらをデータ化して分析、可視化した上でお互いを理解し合えないかと考え取り組んでいます。

これまでの記事で紹介したように個人のストレスレベルや脳内の活動は脈拍や睡眠サイクルから大まかに計算することが可能です。

これらを踏まえ、現在普及しつつあるウェアラブルデバイスを用いて取られる脈拍データから私たちはまず個人のストレスレベルの可視化に挑んでいます。

脈拍から診る生活とストレス

交感神経活動の指標として挙げられるLF/HFと、呼吸による循環血液量の変化を表すCVRRの一日の変遷をグラフにしたところ、下の様になりました。

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LF/HFは高いほど交感神経が活発で低いほど副交感神経が活発であることが知られています(高いほど緊張状態で低いほどリラックス状態)。

CVRRは低いほど交感神経が活発であることを示します。悩みを抱えていたり自律神経失調者の場合はCVRRが低くなる様です。ストレスは交感神経を過度に活性化する為、これらの変遷から一日の中でいつ、どの程度ストレスを感じていたかを知ることが出来ます。

しかし交感神経の活性度とは単純にストレスによってのみ決まるものではなく、その日の運動量などにも左右されます。そこで上記のCVRRと歩数データを重ねたものが下図になります。

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ちなみに、個人が毎日の生活でどの程度LF/HFに差が出るのか検証したところ平日の記録では以下の様になりました。これにより、起床, 睡眠, 出勤などの時間がよくわかります。

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日中心拍のタイプ分類

上記に示したLF/HFやCVRRの日内変動には当然個人差があります。そこでその個人差からクラスタリングを行い変動パターンから個人を特定すること、健常者と疾病者との違いを明確に見分けることの可能性を弊社メンバー15人で検証しました。その結果が以下になります。

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これをみたところ弊社メンバーには朝に元気なタイプが多い様です。

以下の記事にはまた別の角度から弊社代表の睡眠検証についてまとめられています。

睡眠から診る健康状態

上の睡眠に関する記事でも紹介されている様に、入眠時間や睡眠時心拍数なども個人の体調を知る上で重要な要素になってきます。うつ病患者と健常者ではホルモンバランスが異なり、うつ病患者の場合は覚醒時間や入眠までの時間が長いことがわかっています。

そこで一定期間毎に集計したデータをまとめて個人内での比較を行なったところ以下の様になりました。

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この様な比較による可視化はわかりやすい反面、個人で比較しても周りと比較して良いのか悪いのかわからないと意味がないという理由から、全体との比較にも取り組むことになりました。

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睡眠と活動量の検証

睡眠のデータは個人の体調を知る為の重要なファクターですが、これは飲酒量や活動量に依るところも大く、単純に体調や精神状態を図る媒体には出来ません。そこで上記の様なデータを社内メンバー15人分集めた上で、一週間の期間を設けて以下の仮説から検証を始めました。

仮説:「動きを伴う日中の心拍変動よりも睡眠中の心拍の変動には何らかの特徴が現れている」「健常者と疾病者のさいが際立つ」
検証方法:睡眠データの入眠、 離床時はノイズになりやすいので前後30分は省く。計算量削減の為5分間隔へいきん心拍数データに再計算する。クラスタ数はデータ量に応じて5~7程度。個人, 日時によって睡眠時間に大きな差があるため当初5~9時間に限定し、最終的に6~7時間, 7~8時間の2パターンでクラスタリングを行う
結果:入眠時間を短くするのに効果的な運動時間帯は午後。軽い運動(特に10:00~15:00)は寝付き、目覚めをよくする一方でハードな運動は寝付き, 目覚め双方を悪くする方に働く。入眠前の安静状態は目覚めをよくする。

また、睡眠時の心拍には動きを伴う日中のものよりも特徴が現れやすく、健常者と疾病者の差異が際立つことから睡眠中の心拍波形と睡眠時間を考慮してクラスタリングを試みたところ以下の様に分類されました。

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ここ最近の体調の可視化と対外比

ここ最近は弊社コミュニティー内で毎日自分の体調の変化を周囲の人と匿名化された状態で比較してみることができる様になっています。

以下の睡眠偏差値ランキングでは睡眠を6つのファクターに分類してそれぞれを全体の平均と比較して自分の睡眠を客観視できることや、それが偏差値というかたちでランキングにもされているので自分の行動や睡眠への意識が高まります。これと同様に他に「活動量ランキング」や「ストレス回数ランキング」, 「ストレスフリーランキング」, 「瞬間ストレスランキング」などがあります。

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先日PRTimesでも取り組みの紹介をさせてもらいました。


最後に

このnoteでTechDoctorの取り組みを紹介させてもらいました。ウェアラブルデバイスを用いた脈拍や睡眠から分析した個人の客観的な健康状態の可視化は健康意識の高まりと他への理解に繋がると考えています。冒頭で述べた様にストレスによる気分障害の様な脳の異常を可視化することで自他の状態を把握し、お互いに理解を深められ社会を目指してこれらに取り組んでいます。

読んで頂きありがとうございました。


弊社ではウェアラブルデバイスのデータを活用した研究のデータ取得から解析までのサポートをしております。ご興味ある方は是非お気軽にこちらのリンクからご連絡下さい。TechDoctor株式会社:https://www.technology-doctor.com/







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