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農業・漁業の技術

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2022年12月の記事一覧

灰色かび病菌

灰色かび病菌

植物はそれぞれ独自の免疫機構を持ち、抗菌物質を作って病原菌から身を守る。そのため、多くの病原菌は特定の植物にのみ感染できる。
ところが、灰色かび病菌はトマトやピーマンなどの野菜、ブドウなどの果物、花卉(かき)など1400種類を超える植物に感染する。

名古屋大学の研究チームは、灰色かび病菌内にある、植物が作り出す抗菌物質を解毒する酵素を合成する遺伝子をつきとめた。

これまで、灰色かび病菌への対策

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農業知識の共有

農業知識の共有

「プランテクト」は、温度、湿度、CО2、に日射量などハウスで重要な環境を見える化して、農作物の病害リスクを予測するシステムを開発している。

さらに、今回プランテクトユーザーコミュニティという、農業の知識と経験を共有できるプラットフォームを立ち上げた。
質問を写真とともに簡単に投稿することができて、メンバーからの回答によって知識や経験をシェアしていくことができる。
これによってユーザー生産者の悩み

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キノコからレザー!?

キノコからレザー!?

キノコの根には、菌糸体と呼ばれる綿のような繊維が生えている。この菌糸体の繊維を使ったレザー代替素材「Mylo(マイロ)」を使い、adidasがスタンスミスを2021年から発売している。

レザーとは違い、菌糸は再生可能かつ2週間弱で成長する高効率な素材だ。

生産工場内の中で、おがくずや有機物を与えつつ、約2週間をかけて菌糸体を育てると、袋に入れてつぶした綿あめのような状態になる。これを収穫し、着

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海藻の光合成

海藻の光合成

海藻は海底でどのように光合成しているのか。その仕組みを解明する手がかりとなる研究結果が発表された。

大阪公立大学の藤井律子准教授らは、光が届きにくい海中で海藻の一種が効率よく光合成する仕組みを解明した。

たんぱく質に含まれる色素「クロロフィルb」の数がホウレンソウのように陸上で育つ植物と比べて多く、色素も青緑色の光を吸収しやすいような配置になっているようだ。

今後は、海藻を効率よく育て食品と

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食糧危機に備えて

食糧危機に備えて

国連食糧農業機関(FAO)は2013年、コオロギの育成に伴う環境負荷が牛や豚などの家畜と比べて小さいとする報告書を発表した。
必要な水やエサ、土地が大幅に少なく、温暖化ガス排出も0.07~0.7%程度にとどまるという。食料としてのコオロギの可能性に一気に注目が集まった。

日本トレンドリーリサーチによると、日本人の90.9%が今後も昆虫を食べたいとは思わないと答えている。私も、積極的には食べたいと

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植物のCO2センサー発見

植物のCO2センサー発見

植物は、二酸化炭素と水を取り込み、太陽の光をエネルギーにして酸素とデンプンなどの養分を作る「光合成」を行いますが、大気中に0.04%しかない二酸化炭素を取り込む詳しいメカニズムは分かっていません。

名古屋大学の研究チームは、シロイヌナズナという実験植物で、気孔の開閉に関連するたんぱく質を調べたところ、CO2の濃度に応じてMPK4とHT1という2種類のたんぱく質の結合が変わることを突き止めた。(こ

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イネの収穫量を制御

イネの収穫量を制御

甲南大学の研究チームは、イネの遺伝子構造に温度センサーの役割を果たし、温度に応じて構造を変えるRNAがあることを突き止めた。夜間の温度に応じてイネは土壌から栄養分を取り込む量を制御している。

今後は、このRNAに作用する農薬を開発することで、農作物の遺伝子を組み換えなくても温暖化などの気候変動に対応できるようになるかもしれない。

遺伝子組換えに頼らない手法が、こうやって研究されているのが、あり

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