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大学中退して独立したら独立なんて必要なかった話⑫

福岡で最も人が集まると言っても過言ではない天神から、少し離れた親不孝通り。親不孝通りは元々昔近くに予備校があり、浪人生が集まっていて、その名で呼ばれるようになったらしい。今は昔ほど賑わいがなく、居酒屋、クラブ、ライブハウスがポツポツと存在している場所だ。そんな親不孝通りににあるライブハウスに僕は向かっていた。バイクを走らせ、親不孝通りの近くにある長浜公園のバイク専用駐輪場にバイクを止めた。

バイクを止め、親不孝通りに入っていく。親不孝通りの天神方面に歩いて行った。鳥部の送ってくれたライブハウスの住所を頼りに歩いて行った。メールで送ってくれた住所に行ってみると、雑居ビルについた。

「うん、どこがライブハウスなんだ?」

と戸惑いながらあたりを見回していた。どうしても今まで行ったことのないライブハウスに行くのは慣れない。一度行ったことがある場所ならある程度勝手がわかるが、初めての場所はどうしてもわからない。場所もそうだし、ライブハウスのシステムもそうだ。入場するとドリンクチケットをもらうのだが、洒落た感じを出しているせいか、言われなければ単なる小さなラミネートされた紙だ。ラミネートされた紙ならまだ良い。小さな経験を頼りにすればドリンクチケットだとわかる。ライブハウスによっては、ライブハウスの看板が書かれた缶バッチを、ドリンクチケットとして渡されるところもある。そんなもの渡されたら、初めて行く人は説明されなければわからない。ライブの音が漏れて聞こえてくる受付で、説明が聞こえづらい状況。独特の雰囲気でなかなか聞き返すのも勇気がいる。初めての人には優しくないところだ。そう考えると小さめのライブハウスは、ライブハウスの常連と出演バンドのコミニティーで成り立ってるのだろう。強烈な身内乗りの常連によって成り立っている個人店の居酒屋に似ている。常連しか受け付けない雰囲気で初めての人間はすぐ出たくなる。

どうにかならないものかと、疎外感からうがったことを考えていると、僕を見つけた鳥部がやってきた。出てきた扉から、そこがライブハウスだったのかなんて思いながら鳥部からチケット受け取った。

「じゃあ20:00からが俺らのバンドだから」と端的に情報を伝えて鳥部はライブハウス内へ入っていた。


携帯電話の時計を見るとまだ30分以上あった。疎外感を感じるライブハウスで30分以上いるのは、人見知りの僕には辛すぎる。近くのコンビニにいき缶コーヒーとタバコを買い、コンビニ前の灰皿でコーヒーを飲みながらタバコを吸い時間をつぶした。

タバコを吸い終わり、灰皿に吸い殻を入れ、携帯電話を開け時間を確認する。くそ!まだ10分ちょっとしか経ってない。このまま時間までタバコを吸い続けても気分が悪くなる。僕は意を決してライブハウスに向かうことにした。


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