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#私の作品紹介

【1話完結小説】SBGz

【1話完結小説】SBGz



「鬼はー外!」
節分の日、元気なかけ声と共に外に向かって撒かれる豆。

視える人には、パラパラと地面に落ちる豆に群がる可愛い子鬼達の姿が確認できるでしょう。

実は鬼族は、節分の日にこうやって子鬼の食料を確保しているのです。子鬼は豆1粒で1ヶ月生き抜く事ができます。12粒の豆を集めれば、その子鬼は無事に1年間生きながらえる、という訳です。

おや、あそこに「夜になってもまだ豆が5粒しか集まらな

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【1話完結小説】アルコール噴霧器

【1話完結小説】アルコール噴霧器

会社の玄関に人感センサーのアルコール噴霧器がある。それが最近、誰も居なくてもプシュと音を響かせアルコールを吹き出す時があるのだ。

 同僚達は「外国製の安いヤツ買ったから誤作動だな」と笑って話していたが、私には一つ気になる事があった。誤作動するのは大体いつも火曜の昼頃。最近全く姿を見せなくなった移動販売のパン屋のおばさんが来ていた時間帯だ。

 火曜の昼頃、アルコール噴霧器は誰もいない空間に2回ア

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【1話完結小説】炬燵蜜柑

【1話完結小説】炬燵蜜柑

昨夜のXmasパーティで食べたチキンの残りで、母は炊き込みご飯を作ってくれた。美味しかったけれど、それはもうただの夕飯に過ぎなくて。冷蔵庫のシャンメリーも甘いだけの気が抜けた液体に成り下がっている。
切り替えの早いTVでは、もう正月特番のCMが流れだした。あと6日もすれば、僕はこの炬燵で寝転んで除夜の鐘を聞いているのだろう。今年も1年お疲れさん…誰にともなく呟いて蜜柑をむぐむぐと頬張った。

【1話完結小説】八朔

【1話完結小説】八朔

…ぽぽぽ。

2歳の息子は果物が大好き。最近は特に柑橘類にハマっている。

「はっしゃく!はっしゃく!」

その日も彼は朝からうるさかった。

「はいはい、八朔ね。またばぁばに送って貰おうね。今日はこれしかないよ。」

洗濯物を干そうとしていた私は、息子の前に膝をつきなだめすかした。八朔の代わりに買い置きのオレンジを持たせてみる。ぽぽぽ。

「はっしゃく!」

先日、田舎の母から送られてきた八朔を

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