【1話完結小説】SBGz

「鬼はー外！」
節分の日、元気なかけ声と共に外に向かって撒かれる豆。

視える人には、パラパラと地面に落ちる豆に群がる可愛い子鬼達の姿が確認できるでしょう。

実は鬼族は、節分の日にこうやって子鬼の食料を確保しているのです。子鬼は豆1粒で1ヶ月生き抜く事ができます。12粒の豆を集めれば、その子鬼は無事に1年間生きながらえる、という訳です。

おや、あそこに「夜になってもまだ豆が5粒しか集まらない」と泣いている可哀想な子鬼がいますね。

遠い昔に一部の人間と鬼の間で結ばれた豆撒きの約束。節分行事を日本中に広め、せっかく定着していたのに、年々豆を撒く人が減っています。このままでは、食糧不足に痺れを切らした鬼達がいつ人間に牙を剥くか分かりません。

自分達のSDGs (持続可能な開発目標)を声高に叫ぶのも結構ですが、お腹を空かせた鬼達の為にSBGz(節分行事)の継続もよろしくお願いしますね。


2022年2月3日　　鬼のお母さんより最後通告

end