庭本 ナオ

教育系企業勤めの社会人3年生です。 小説を読むのが好きです。 特に平野啓一郎さん、帚木…

庭本 ナオ

教育系企業勤めの社会人3年生です。 小説を読むのが好きです。 特に平野啓一郎さん、帚木蓬生さん、三島由紀夫が好きです。

マガジン

  • 【小説】本心

    地方出身の女子大生が主人公の恋愛小説です。自由恋愛と田舎のしがらみについて書いてみました。まだ書き途中で、不定期更新になってます。 平野啓一郎さんの『本心』とは内容が異なります。間違えて読んでしまってもお時間の返却は致しかねます。

  • 日記

    日記や回想録をのせてます。

  • フィクション入り日記

    少しばかり(?)フィクションをおりまぜながら、日記っぽいのを書きました。読んでもらえたらうれしいです。

  • 写真

    スマホにある写真の中からいくつか抜粋しました。

記事一覧

【読書感想文】三島由紀夫「手長姫」

これは新潮文庫から出ている三島の短編集のタイトルにもなっている、氏が26歳の時に書いた作品で、40ページ足らずと、忙しい社会人の方でも読みやすいので、もしまだ読んだ…

庭本 ナオ
2週間前
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2018年東京大学 国語大問1

こんばんは 日曜の夜ですが、皆さん良い夜をおすごしですか? これがアップされる頃には朝になっているかも、それとも月曜になっているかもしれませんね ともかく、これを…

庭本 ナオ
1か月前
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【読書感想】愛についての再考 『アルジャーノンに花束を』を読んで

わかりやすさはどうだかわからないが、それでも多くの人が共感するなにかを書きたいと思っている。私はこの感覚を、できるだけわかりやすく伝えたい、つまり、Amazonや読書…

庭本 ナオ
9か月前
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山邊鈴さんの文章を思い出す季節

夏になると山邊鈴さんを少し思い出して、シーズンに2つぐらいは過去記事を読んでみたりする。今回はこれ。まずは引用元の動画と文章をご参照くださいませ。 「すべてを忘…

庭本 ナオ
1年前
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【高校生あるいはその保護者向け】大学の選び方

別にこんな啓蒙的なものが好きってわけじゃなく、講釈垂れるのはむしろ嫌いなんですけどね。というかSNSという一方的な発信の場でまさにある程度社会的選択が終わった者と…

庭本 ナオ
1年前

倦怠感

やるべきことを後回しにする。 閉塞感が私の思考を奪う。 そんなこと事前に容易に予想出来た筈だ。 でも私は義務を果たさなかった。 他者から課された義務に逐一応答してい…

庭本 ナオ
1年前

トロッコ問題についての短い所感

トロッコ問題。 よく倫理の入門書などで言及される。 トロッコがそのまま走り続けるなら5人の人が死ぬけれど、眼の前のレバーを動かせばトロッコの進路が変更されて1人が…

庭本 ナオ
1年前
2

愛・男女の友情、あるいはルサンチマン ~『侍女の物語』を読んで~

男女の友情はあり得るだろう。 それを愛とも呼んでもいい。 人によっては違う言葉で微妙なニュアンスを表現したいかもしれない。 人との付き合い方は千差万別だから、それ…

庭本 ナオ
1年前
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車内エッセイ ~京都旅行①~

エッセイでも書きますか、と、車内にて 晩秋、人肌恋しくなる時候 冷たい京都駅に降りた 向寒の刺すような寒さが好きだから、最高気温が11℃のそんな日、薄っぺらいベー…

庭本 ナオ
1年前
5

緊張感を持てない

私は基本的に緊張というものを持たない。 尊敬している上司とかとぱたっと会ったときはそりゃあ緊張はするけれども、思辨的に歯牙にも掛けないようなこと掣り宣う上司に対…

庭本 ナオ
2年前
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【短編小説】新卒社会人の憂鬱④

これのつづきです 春は奇術師だ。 人を幻惑させ、高揚させるその明朗さは、人々を盲目にさせるという薬害を併せ持つ。そしてその害は社会的なものなのである。抑圧せらる…

庭本 ナオ
2年前
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【短編小説】新卒社会人の憂鬱③

↓ これのつづきです 本社の出で立ちは可もなく不可もなしであった。西洋風の内装も同様だ。手動の入り口、丁度一人分の幅のエスカレイター、稍らかの観葉植物、乳白色の…

庭本 ナオ
2年前
3

【短編小説】新卒社会人の憂鬱②

↓ これのつづきです 太陽はご機嫌だった。 一片の翳もないその顔と私との間には、遮るものがなかった。4月の日差しは強い。暑い。 風はご立腹であった。 しかし剝き出…

庭本 ナオ
2年前
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【短編小説】新卒社会人の憂鬱①

目醒める2秒前からその端緒を感じていた。そう表現したくなるのは覚醒という出来事がおそらくは相応の時間の幅を持っているからだ。ここ1ヶ月の間、日に々々増長してきたそ…

庭本 ナオ
2年前
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誰かに憧れられるようにはなれないけれど

私はきっと誰かに憧れられるような人間にはなれない 可愛くもないし、可愛くなろうともしない 特技もない 空気も読めない 突然三島由紀夫とか平野啓一郎とか、観念的な話を…

庭本 ナオ
2年前
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こい

なんでもないですが、こいという音の響が好きなので鯉の写真を貼ります かわいいですよね わたしも鯉みたいな顔になりたいなりたくない

庭本 ナオ
2年前
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【読書感想文】三島由紀夫「手長姫」

これは新潮文庫から出ている三島の短編集のタイトルにもなっている、氏が26歳の時に書いた作品で、40ページ足らずと、忙しい社会人の方でも読みやすいので、もしまだ読んだことがない人がいたら是非読んでもらいたい。読むのに時間がかからないという意味で、中高生には夏の読書感想文にもオススメである。この感想文は中高生にはやや難しく感じるかもしれないが、これが読めなかったからといって三島の「手長姫」を楽しむことができないというわけでもなく、自己流解釈で読んでもらえればよいので、やはりオスス

2018年東京大学 国語大問1

こんばんは 日曜の夜ですが、皆さん良い夜をおすごしですか? これがアップされる頃には朝になっているかも、それとも月曜になっているかもしれませんね ともかく、これを読んでくれる皆さん(2~3人ぐらい?)が良い夜を、平和とは言えずとも、なにか感傷に浸れるような、良い意味でも悪い意味でも情緒に浸れるような夜をお過ごしであれば、それは将来のご自身にとって不可欠な、かけがえのない夜であることかと思います 本日は酔ったノリで東大現代文解いてみます 解くのは私が好きな野家啓一さんの出典、

【読書感想】愛についての再考 『アルジャーノンに花束を』を読んで

わかりやすさはどうだかわからないが、それでも多くの人が共感するなにかを書きたいと思っている。私はこの感覚を、できるだけわかりやすく伝えたい、つまり、Amazonや読書メーターなどで屡々見られる感想、この本を読んで「チャーリイは私だ」と直観した人で、しかしそれを説得的に言葉にすることができない人の感覚に妥当性をもたらす解釈を提示したいのである。また、本稿は都会と田舎のいわゆる”教育格差”問題の一部と同型の問題を有しているであろうし、経済格差、希望格差の問題でもある。社会人になっ

山邊鈴さんの文章を思い出す季節

夏になると山邊鈴さんを少し思い出して、シーズンに2つぐらいは過去記事を読んでみたりする。今回はこれ。まずは引用元の動画と文章をご参照くださいませ。 「すべてを忘れて寝てるのかな?」という落合氏の発言には嘲笑のニュアンスすら感じられる。このとき周りの大人もよく窘めなかったものだと思う。不利益を被っている者は政府が行動を起こすまで活動しないといけないんですか? 中高生の場合なら、学校の時間を削ってまで。そんなことできる余裕が中学生はまだしも高校生にありますか? ないですよね。そ

【高校生あるいはその保護者向け】大学の選び方

別にこんな啓蒙的なものが好きってわけじゃなく、講釈垂れるのはむしろ嫌いなんですけどね。というかSNSという一方的な発信の場でまさにある程度社会的選択が終わった者としての無形で無根拠な権力性を帯びてしまうのは私が忌避したいところではあるが致し方なし。 今回、就職率や平均年収などのデータを見せて「就職が良いからここの大学の何学部がいいね」とかは書きません。「弁護士とか医者とかは取得するのが困難な資格でしかも(少なくとも現状の実態としては)年収が高いから法学部や医学部医学科がいい

倦怠感

やるべきことを後回しにする。 閉塞感が私の思考を奪う。 そんなこと事前に容易に予想出来た筈だ。 でも私は義務を果たさなかった。 他者から課された義務に逐一応答していたらキリがないという言い訳が、これまでの私の怠惰を正当化していた。 いや、そんなことは我儘で、法の鉄仮面は人情を裡に秘めているのではないかとの楽観が屹立する義務の観念の存在を希薄にし、私を机に向かわ使め、ペンを走らす助けとなるのである。この義務に対する不感症は、私を信用に足らざる者という椅子の軋み音のような認識を実

トロッコ問題についての短い所感

トロッコ問題。 よく倫理の入門書などで言及される。 トロッコがそのまま走り続けるなら5人の人が死ぬけれど、眼の前のレバーを動かせばトロッコの進路が変更されて1人が死ぬ、というやつ。 その1人と5人がいずれも私が素性の知らない人なら、レバーを引くかな。 私がレバーを引くのを見ている人がいるかいないかに関わらず。 その1人の人の運命を変えたとか、1人の人の遺族に責められるとか、罪に問われるとか、そういうことがその時の自分に予想できたとしても、レバーを引くのではないかと、朧気に謂

愛・男女の友情、あるいはルサンチマン ~『侍女の物語』を読んで~

男女の友情はあり得るだろう。 それを愛とも呼んでもいい。 人によっては違う言葉で微妙なニュアンスを表現したいかもしれない。 人との付き合い方は千差万別だから、それでも構わない。 言い回しの適用の仕方を一律にすることに興味はないのだから。 マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』を読んだ。 ディストピア小説の古典として有名な作品だ。続編の『誓願』もずいぶんと前に邦訳されたとのことだが、未だ読んでいない。 ディストピア小説としてはやはり言論統制の卓越さを評してオーウェルの『19

車内エッセイ ~京都旅行①~

エッセイでも書きますか、と、車内にて 晩秋、人肌恋しくなる時候 冷たい京都駅に降りた 向寒の刺すような寒さが好きだから、最高気温が11℃のそんな日、薄っぺらいベージュのカーディガンとネイビーのロングスカートで、手持ち無沙汰な哀惜を、離した途端に変質して仕舞ってどうしようもなく愛おしくなるその世俗的な享楽を味わった 特に京都駅には冬が似合う 市バスを使うのがセオリーらしいが、徒歩で北野天満宮へ向かう 凡そ7 km、遠くはない 1時間ぐらいで着くだろう 堀川通りは歩くには

緊張感を持てない

私は基本的に緊張というものを持たない。 尊敬している上司とかとぱたっと会ったときはそりゃあ緊張はするけれども、思辨的に歯牙にも掛けないようなこと掣り宣う上司に対しては、私は耳を喪って了ったかのようだ。 だけれども正味そんなことはどうでもよくて、私が大問題だと謂っているのは、自分の人生に対してまったく本気に成れないことだ。 希死念慮に支配されたときが確かにあって、その名残がいまでも残っているからか、いや、間違いなく残っていて、晨死ねることができるのならまあ多少の罪は宥され

【短編小説】新卒社会人の憂鬱④

これのつづきです 春は奇術師だ。 人を幻惑させ、高揚させるその明朗さは、人々を盲目にさせるという薬害を併せ持つ。そしてその害は社会的なものなのである。抑圧せらる他者に対する暴力の残虐性は、春に因って矮小化されるのである。 冬は私の凭る辺であった。 冬はアパートの一室の債権を私に握らせ、その手を上から包んでくれる。孤独の時間を、歩みだすその一歩を、逐一蠱惑的なものに変えていく。厳しさへの反動から抽出された自己愛は私を亦一つ大人にし、冬の終わりにも頃く会わぬ元カレに対する変らぬ

【短編小説】新卒社会人の憂鬱③

↓ これのつづきです 本社の出で立ちは可もなく不可もなしであった。西洋風の内装も同様だ。手動の入り口、丁度一人分の幅のエスカレイター、稍らかの観葉植物、乳白色の石材が施された壁面……、画一的で無聊をも喞つような清廉潔白の断片は、しかし縁故を感ずるほどでないにせよ、その一片の媚態をも思わせぬ佇まいが私の気に入る處となるのである。 由なき誇張は己を滅ぼす。 私はこれを寄す処としていた。だからといって常に己がそれに準じているという無謬を表すのではない。あくまで道標なのである。由

【短編小説】新卒社会人の憂鬱②

↓ これのつづきです 太陽はご機嫌だった。 一片の翳もないその顔と私との間には、遮るものがなかった。4月の日差しは強い。暑い。 風はご立腹であった。 しかし剝き出しの脚を撫で髪を掻き乱すその官能的な風は、太陽の無邪気な暴力性よりはずっと好ましく思えた。 この好ましさというのは、聊か都会風のものである。私の出生地はこの種の官能を兼ねていない。田舎、それも地方都市ですらない田舎に特有の、公的空間・私的空間の何れにも漂泊する、相対化を宥さぬ覇権的な当為の言説がそれを然らしめる。

【短編小説】新卒社会人の憂鬱①

目醒める2秒前からその端緒を感じていた。そう表現したくなるのは覚醒という出来事がおそらくは相応の時間の幅を持っているからだ。ここ1ヶ月の間、日に々々増長してきたその憂いは、最早睡眠という最大の逃避を宥さぬほど直ぐ其処に迫っていた。 卯月の朔日、本日は出勤初日なのだ。 南に大きめの窓が、西に室外機のスペースしかないベランダがあるこの部屋である。東経135度よりも東に在るこの都市で充分な光量を取り入れる余地があるこの部屋ならば、春分の日を過ぎた午前5時半は充分明るい。 天井を

誰かに憧れられるようにはなれないけれど

私はきっと誰かに憧れられるような人間にはなれない 可愛くもないし、可愛くなろうともしない 特技もない 空気も読めない 突然三島由紀夫とか平野啓一郎とか、観念的な話を始める オクタヘドラルがどうだとか、結晶場分裂の話も勝手に始める ハイペースで酒を飲んで深酒しては、そんな共有できる相手がいないことを話し出す 友人以外だと、大抵相手は困惑する 私は人と話すのがものすごくニガテだ 拙いものだけれど、いつも自分なりの論理を構成してから話そうとする 納得してからじゃないと話し出しに

こい

なんでもないですが、こいという音の響が好きなので鯉の写真を貼ります かわいいですよね わたしも鯉みたいな顔になりたいなりたくない