車内エッセイ ~京都旅行①~

エッセイでも書きますか、と、車内にて

晩秋、人肌恋しくなる時候
冷たい京都駅に降りた

向寒の刺すような寒さが好きだから、最高気温が11℃のそんな日、薄っぺらいベージュのカーディガンとネイビーのロングスカートで、手持ち無沙汰な哀惜を、離した途端に変質して仕舞ってどうしようもなく愛おしくなるその世俗的な享楽を味わった
特に京都駅には冬が似合う


市バスを使うのがセオリーらしいが、徒歩で北野天満宮へ向かう
凡そ7 km、遠くはない
1時間ぐらいで着くだろう

堀川通りは歩くには殺風景だ
殺風景だったはずだ
生活感もなければ目を惹くものも二条城ぐらいしかない
いや、景色を殺しているのは私の無教養かもしれない
しかし、そんなことはどうでもよかった
ともかく私は行路を楽しんでいなかった
徒然なる儘に、茫然と、考えごとならぬ考えごとが過る
それを捕まえようとしては逃し、捕まえたと思ってもそれは一時の思い込みに過ぎなくて

余所の街を歩くとき、そこに視線は充満していない
ここは私の街ではない
気楽で、しかし寂しい
いつもの私でないことは確かだ




そろそろ着くから、いったん筆を置こうと思う

まあ京都に行ったほんとの目的は京大に行くためだったのだけれど、それを書くかどうかはまた今度

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