アフリカの知恵 癒しの音
僕がへっぽこなりにも続けてきた西アフリカの太鼓ジェンベ Djembe(私の師によると正式名はJebe Bara)に関する本を紹介します。
「The Healing Drum - African Wisdom Teachings」 Yaya Diallo and Michell Hall とその翻訳「アフリカの知恵 癒しの音」(西アフリカのダンスの優れた踊り手である柳田知子さんの訳)です。
ママディ・ケイタ(Mamady Keïta)氏(映像1*)の登場による世界的なジェンベの広がりによって影が薄くなってしまったが、西アフリカ以外の世界にはじめてジェンベという太鼓とその文化を知らしめたのは、ヤヤ・ジャロYaya Diallo氏(映像2*)だろうと思います。
彼は若い時にマリの村でジェンベ、バラフォン(木琴→映像3*)、タマ などの伝統打楽器 の修行を受けた。学業優秀で科学者となりカナダに渡り、伝統とは距離を置いて暮らしていたが、ある時から伝統文化 へと回帰していき、自分の師の名前を冠したアルバム"Nangape"(1980年)によって、音楽家として広く認められた。 (有名になる前はコンガを持ち歩いていたというから、このアルバムでは、もしかしたらジェンベではなく、コンガを演奏しているのかもしれないとも思います。しかし音色から、タッチ(奏法)がジェンベのものである事が、はっきりと聴いてとれます。バラフォンも演奏しています。)
この本はその 数奇な人生 と西アフリカの村の生活、伝統 が率直に語られています。ヤヤ氏による語りと、聞き取りを行ったミッチェル・ホール氏による簡潔な解説がついていて、とても分かりやすく、かつ興味深い内容になっています。とても分かりやすい英語なので、英語版もおすすめですが、柳田知子さんの翻訳も素晴らしい。簡潔な言葉だから訳しやすいとは限らない。むしろ難しいかもしれない。それに西アフリカの文化に造詣の深い柳田さんだからこそ、訳せたのだとも思います。素晴らしい本です。
ヤヤ・ジャロは、他の多くの著名なジェンベ奏者ととても異質だと思います。西アフリカ諸国の国立舞踊団などで、ステージ上での演奏を学んだ奏者ではないし、柳田知子さんの師、故アブドゥライ・ジャキテ(Abdoulaye Diakité)氏(映像4*)やギニアの名人ファマドゥ ・コナテ翁Famoudou Konaté(映像5*)のように、様々な村の伝統に造詣が深いといった人でもない。自分の村の伝統的な奏者であったのが、そのまま他の世界で演奏をするという立場に置かれた。しかも、伝統芸の修行中に外に出てしまっていた。唯一近いといえるのは、ナイジェリア の太鼓奏者、ババトゥンジ・オラトゥンジ(Babatunde Olatunji)氏(映像6*)だろう。(ジェンベとは違う伝統だが)
しかし、そんなヤヤ氏の演奏が、僕は何とも好きです。先に上げたものとアルバム"Dounoukan"には、他にはない良さがあります。
*本文中にリンクさせて頂いた映像
映像1 Mamady Keïta - Kuku
映像2 Fulani Djembe Funk by Yaya Diallo
映像3 Soungalo Coulibaly Live (Part 4)
映像4.Abdoulaye Diakite playing Dununba.WMV
映画5 Famoudou Konate and Jim Banks on Djembe
映像6 Babatunde African Drum Performance.
昨年5月にブックカバーチャレンジがはやった時に、ただ本のカバーを紹介すれば良かったのを知らずにinstagram(philosophysflattail)に書いた記事その④でした。
ジェンベを叩く私。↓